“ブレグジット(Brexit)”と総選挙の影響は?グローバルコミュニケーションでの雑談力を上げる新語・キーワード講座

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イギリスはどこへ向かうのか?

昨年、イギリスのEU離脱を伝える“ブレグジット(Brexit)”という新語が世界中のメディアで取り上げられました。円相場、株などイギリスの動向が日本の経済にも大きな影響を与えたことは、記憶に新しいところです。

「Brit(Britain)」と「exit」を組み合わせた造語“Brexit”や、国民投票を表す“Referendum”は既にお馴染みの単語だと思いますが、このほかにも新たに登場した新語や関連ワードがあります。

6月8日に実施される予定の総選挙に向けて、再び注目を集める「Brexit」をはじめとするグローバルビジネスの雑談に役立つ新語・関連キーワードを紹介します。

国を二分する“Brexit”vs“Bremain”論争

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昨年の6月23日、EU(欧州共同体)離脱の是非を問うため、英国史上3度目となるReferendum(国民投票)が行われました。

世論を二分する投票の結果は「離脱」。48%が残留、52%が離脱を支持する接戦でした。投票に足を運んだイギリス国民は約3350万人。約72%の国民が票を投じ、国民の関心の高さが伺えました。

“Brexit”は日本でも「ブレグジット」として比較的浸透していると思いますが、EU残留を表す“ブリメイン(Bremain)”という新語も存在します。

Brexit[Britain + exit]
Bremain[Bretain + remain]

イギリスでは、離脱派を表す“Brexiteers/Brexiters” や“Leavers”、残留派を表す“Remainers” や“Remaniacs” も日常会話に浸透しています。また、EU離脱が決まった後も結果を受け入れられずに、嘆き続けている人たちは、Remoaners(残留派で嘆き続ける人たち)とも呼ばれています。

Remaniacs
・Remainers:残留派
・maniac:狂ったように熱中している人

Remoaners
・Remainers:残留派
・moan:不平を言う、嘆く

イギリス人に聞いてみると、RemainersとBrexitersは、国を二分しただけではなく、家族関係にも溝を生んでいるようです。

国民投票の結果を年齢別にみてみると、 イギリスの若年層(18歳から45歳まで)は残留を強く支持しているのに対し、50代以降のイギリス人は過半数が離脱を支持していることがわかります。

親世代は多くの人が離脱へ投票し、子ども世代は残留に投票をしたことによって、家族間でちょっとした諍いが生まれただけでなく、しばらく両親とは会話ができないという若年層もいたほどです。

割合だけで見ると、若い人たちの残留支持の割合は、ほぼ8割と大半を占めているのに対し、高齢者の離脱支持はたったの6割であるにも関わらず、人口比で高齢者の支持していた離脱派の数が上回っています。

イギリスが巻き起こした「EU離脱問題」は、ほかのEU加盟国にも少なからぬ影響を与えています。フランスのEU離脱問題は英語でFrexit[France + exit]、イタリアの離脱問題はQuitaly[Quit + Italy]、またギリシャの離脱問題はGrexit[Greek + exit]などと表現され、世界情勢を知るためのキーワードになっています。

“Post truth”“Fake news”がイギリスでも猛威?Brexitにまつわる嘘

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アメリカ、トランプ政権にまつわる新語、”Post truth”や”Fake news”については以前ご紹介しましたが、EU離脱の是非を問う国民投票の前にも、真実と事実、嘘について考えさせる出来事が起きました。

離脱派のリーダーの一人であり、キャメロン首相の後任と噂されていた元ロンドン市長、現外務大臣のBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)氏は、公約の一つとして“Let’s give our NHS the £350m the EU takes every week.” (毎週EUに支払われている350万ポンド(約5億円)をNHS(国民保険サービス)に回そう!)を常套句とし、離脱キャンペーンを牽引しました。

UKIP(ユーキップ:イギリス独立党)の元党首Nigel Farage(ナイジェル・ファラージ)氏も同様の文句を利用して離脱キャンペーンを推進した一人です。ファラージ氏は、トランプ大統領との親交が深く、ツイッター上で駐米大使に推薦されたことでも知られています。

〈実際のツイート〉
https://twitter.com/realdonaldtrump/status/800887087780294656?lang=en
「多くの人がナイジェル・ファラージ氏をアメリカの英国大使となることを望んでいる。彼は素晴らしい仕事をするだろう!」

ジョンソン氏もファラージ氏も、Brexitを語る上で欠かすことのできない政治家の一人なので、知っておけば、ちょっとした会話で役に立つことは、間違いありません。

〈ファラージ氏が、自身の掲げた公約を間違いだったと認めた動画〉

ファラージ氏:“I would never have made that claim. That was one of the mistakes made by the Leave campaign.”
アナウンサー:”Hang on a moment. That was on one of your adverts.”

解散総選挙の行方は?現在進行形のNEWSに注目!

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Brexit関連の最新ニュースといえば、メイ首相によって解散が宣言された、議会の総選挙でしょう。投票日は6月8日に予定されていて、こちらの結果も世界で大きく報じられることは間違いないでしょう。

“I have only recently and reluctantly come to this conclusion. Since I became prime minister I’ve said there should be no election until 2020, but now I have concluded that the only way to guarantee certainty and security for the years ahead is to hold this election and seek your support for the decisions we must take.”
(私がこの結論に至ったのは、ほんの最近のことで、かつ渋々の結論です。私は、首相になって以来2020年まで総選挙はないと言い続けてきました。しかし、これから先数年間の確実性と安全を確保する唯一の道は、この総選挙を行い、私たちが今後しなければならない決断のための支持を求むことだと結論づけました。)

メイ首相の解散総選挙表明、全文掲載記事より(出典:BBC)

メイ首相は、解散総選挙のアナウンスで、“渋々”この決断に至ったと表明しています。

本来であれば、2020年に行われる予定だった総選挙ですが、キャメロン首相の退任に伴い、「選ばれず」して首相となったメイ氏は、イギリスのEU離脱を円滑に進めるために、そしてConservative(保守党)政権における自身の首相としての地位を盤石にするために解散総選挙に打って出たと言われています。

総選挙では、二大政党である保守党と労働党の政権の奪い合いが予想されます。

イギリスの世論調査会社YouGov(ユーガブ)の世論調査では、メイ氏率いる保守党の支持率が44%、コービン氏率いる労働党の支持率が23%とも発表されています。いまのところ保守党優位との見方が多いようですが、いずれにしても、総選挙の結果はイギリス一国の問題ではなく、EU加盟国や世界経済、日本市場にも大きな影響を与えるはずです。

英語で最新の一次情報をチェックしよう

以上、BrexitとイギリスのEU離脱にまつわる新語・キーワードとその概要をご紹介しました。

グローバルコミュニケーションのキーワードとなっているBrexitは、日本人にとっても無関係とは言えません。EU離脱決定時、イギリスのポンドはドルに対し過去30年間で最低値をつけ、その影響により、一時はイギリス人の資産の約3割の価値が失われました。日本でも、1ドル=106円で推移していた為替市場が急変、2年7か月ぶりに99円台を付けるなど急騰したのです。

世界情勢を知るツールとして英語ほど有用なものはありません。近年では、トランプ米大統領をはじめ、多くの政治家が自身の意思や政策に関する発言をツイッターなどのSNSを通じて行っています。BBCなどの既存のニュースソースとあわせて、彼らのアカウントをフォローしていれば世界情勢を左右する一次情報にいち早く触れることができるでしょう。


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