英語を話しているなかで、「伝えたい言葉が出てこない」「言いたいことが頭に浮かばない」という体験は誰もがあると思います。このような状況を避けるためには、「語彙力」についての理解とその学習法が大切になってきます。
そもそも「語彙力」とは?
はじめに、英語の語彙力は大きく二つに分けられることを知っておくことが大切です。その二つとは「認識語彙(passive vocabulary)」と「運用語彙(active vocabulary)」です。「語彙力〇〇〇語レベル」など、英語の「語彙力」についての指標は大半が認識語彙についてです。むしろ、運用語彙について話題になることはほとんどないと言ってもいいくらいです。
一般的に認識語彙とはいわゆる多くの人の考える「語彙力」のことと考えて良いでしょう。つまり「意味を知っている」語彙のことです。一方の運用語彙とは「会話で使える」語彙のことです。
英語スピーキング力は「運用語彙」で決まる
「伝えたい言葉が出てこない」状態は運用語彙の数と密接に関わっています。そして、その運用語彙を増やすためには、まず認識語彙を増やすことが大切です。認識語彙が運用語彙に変化していくのです。いきなり運用語彙を身につけることはできません。
あらゆる国の外国語学習者の中でも、特に日本人は認識語彙と運用語彙の量に大きな差があると言われています。このことは、多くの外国人が、「英語を読む」ことに関する日本人のレベルの高さに驚く一方で、「英語で話す」ことに関しては、そのレベルの低さを感じている点からも明らかです。
では認識語彙と運用語彙の差をどのようにして埋めていくべきなのでしょうか。
話せるための「運用語彙」の増やし方
先述したように、英語を話すためには「運用語彙」を増やしていかなければなりません。そのためには英語を「知っている」から「使える」に変化させるトレーニングが欠かせないのです。そして、まさにこのトレーニングこそが最も日本人に不足している分野なのです。
英語を「使える」に変化させるトレーニングで絶対に欠かせないのが、「実際に声に出す」ということです。これを抜きにして「使える英語」を手にすることは不可能です。学習時間の確保が容易ではない社会人の方に、この「実際に声に出す」トレーニングが不足する傾向にあります。最大の理由はその学習環境にあるようです。
多忙な日々を送りながら、通勤中の電車内やちょっとした会議の空き時間などに、少しでも学習時間を捻出しようと努力されている方も多くいます。このような時間すべてにおいて、「使える英語」のトレーニング、つまり、「実際に声に出す」トレーニングを行うことは不可能です。だからこそ、一日の中でこの時間だけは「実際に声に出す」トレーニングに充てることのできる時間を作り出し、それらをルーティン化しておくことが大切です。
また、自分の周りの学習者たちを見ていると、ルーティン化された「使える英語」のためのトレーニング時間は、朝食前の散歩の時間、入浴後のストレッチの時間など、何かをしながらの時間の方が継続しやすい傾向があります。
ぜひ読者の方も、「使える英語」のためのトレーニング時間を確立させ、「伝えたい言葉が出てこない」を少しでも減らしていきましょう。
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