最近、にわかに注目を集めている「語源学習法」って聞いたことがありますか?「語源学習法」とは、英単語をパーツに分解し、そのパーツごとの意味から単語全体の意味をつかんでいくという学習方法。英単語は主に接頭辞、語根、接尾辞の3つに分類されます。
例えば“prepaid”という単語は「pre+paid」と2つのパーツに分解可能。「前もって、あらかじめ」を意味する「接頭辞」“pre”と「支払った、払われる」を意味する「語根」“paid”が組み合わさり、「前払いの・前納の」という意味になるのです。
丸暗記とは異なり、単語を深く理解することができるため、記憶に残りやすくなります。脳科学の見地からも、理解して覚える「意味記憶」を得意とする大人に大変有効だと言われています。
そこで今回は、知っておくと便利な7つの語源をご紹介します。語根を中心に、その前後につく接頭辞や接尾辞について学んでいきましょう!
耳馴染みのある単語の語源から語彙力を高める
「tract」 引く、引っ張るの語源
語根「tract」はラテン語“trahere”が由来で、「引く・引っ張る」を意味します。日本語にもなっている“tractor”(トラクター・牽引車)は、「tract(引く)+or(【接尾辞】名詞化:〜する人・物)」から成り立つ単語です。
attract
at(【接頭辞】〜の方へ)+tract(引っ張る)
⇒引きつける
=attract[動]:(注意・興味などを)引く、魅了する
extract
ex(【接頭辞】外に)+tract(引っ張る)
⇒引き出す
=extract[動]:抜く、抽出する、抜粋する
distract
dis(【接頭辞】離して)+tract(引っ張る)
⇒気持ちを引き離す
=distract[動]:そらす、 紛らわす
contract
con(【接頭辞】一緒に)+tract(引っ張る)
⇒共に引き合う
=contract[動・名]:契約をする、契約
retract
re(【接頭辞】後ろへ)+tract(引っ張る)
⇒引っ込める
=retract[動]:取り消す、撤回する
subtract
sub(【接頭辞】下に)+tract(引っ張る)
⇒引き下げる
=subtract[動]:〜を減じる、引く、引き算をする
接尾辞は、単語の品詞を判断するのに役立ちます。仕組みやパターンを理解しておけば、学んだ単語の品詞を変化させることができるため、芋づる式に単語量を増やしていくことができます。
【例】attract[動]
・attractive[形]:魅力的な
attract+ive(【接尾辞】〜の傾向のある、性質をもつ)
・attraction[名]:引きつけること、魅力、アトラクション
attract+ion(【接尾辞】名詞化:〜もの・こと)
「mit / miss」送るの語源
語根「mit / miss」はラテン語“mittere”が由来で、「送る」を意味します。接頭辞や接尾辞と一緒になり、さまざまな単語を形成しています。「-mit」という綴りの単語は数多くありますが、接頭辞の持つ意味をイメージすることで、それぞれの意味の違いが分かりやすくなり、記憶の手助けとなります。
admit
ad(【接頭辞】〜の方へ)+mit(送る)
⇒ 〜へ送り入れる
=admit[動]:〜を認める、〜入ることを許可する
※admission[名]:入場、入会、認めること
commit
com(【接頭辞】完全に)+mit(送る)
⇒全てを送る
=commit[動] :委任する、委ねる
※commission[名]:委員会
emit
e(【接頭辞】外に)+mit(送る)
⇒外に出す
=emit[動] :放出する、出す、吐く
※emission[名]:排出、放出
omit
o-=ob-(【接頭辞】下へ)+mit(送る)
⇒入れない
=omit[動] :〜を省く、抜かす
※omission[名]:省略
permit
per(【接頭辞】通して)+mit(送る)
⇒通過を許す
=permit[動] :〜を許す、許可する
※permission[名]:許可
transmit
trans(【接頭辞】向こう側へ)+mit(送る)
⇒別のところへ送る
=transmit[動] :〜を送信する、伝える、伝染させる
※transmission[名]:送信、伝達
「sur」上、超過、上位の語源
接頭辞「sur」はラテン語“super”が由来で、「上の・超えて」を意味します。“survive”“surprise”など、皆さんにもお馴染みの基本単語も「sur」から成り立っています。
survive
sur(【接頭辞】上、超えて)+vive(生きる)
⇒超えて生きる
=survive[動]:生き残る、生きのびる
※survival[名]:生存、生き残ること
survive+al(【接尾辞】名詞化/形容詞化:性質、〜の性質をもった)
surprise
sur(【接頭辞】上、超えて)+prise(つかまえる)
⇒上からつかまえる
=surprise[動・名]:驚かす、驚き
surface
sur(【接頭辞】上、超えて)+face(面)
⇒上の面に
=surface[名]:表面、外見、うわべ
surplus
sur(【接頭辞】上、超えて)+plus(加えた)
⇒上に加える、加えすぎる
=surplus[名]:余剰
surcharge
sur(【接頭辞】上、超えて)+charge(積むこと、詰める)
⇒超えて積む
=surcharge[動・名]:積みすぎる、過重・追加料金
surpass
sur(【接頭辞】上、超えて)+pass(通過する)
⇒超えて通過する
=surpass[動]:〜を超える・上回る、〜よりまさる・優れている
関連する言葉を知れば単語を覚えるのが楽しくなる
「fer / port」運ぶの語源
語根「fer」はラテン語で“ferre”、「port」は“portare”が由来で、どちらも「運ぶ」を意味します。運ぶもの=フェリー(ferry)、船で荷物が運ばれる場所=港(port)という単語からも、意味を想像しやすいのではないでしょうか。
differ
dif=dis(【接頭辞】離れて)+fer(運ぶ)
⇒別々に離して運ぶ
=differ[動]:異なる、相違する
・difference[名]:相違
differ+ence(【接尾辞】名詞化:〜もの・こと)
・different[形]:異なった
differ+ent(【接尾辞】名詞化/形容詞化:性質、〜の性質をもった)
infer
in(【接頭辞】中に)+fer(運ぶ)
⇒心の中に運び込む
=infer[動]:〜を推測する、推量する
※inference[名]:推測、推論
suffer
su=sub(【接頭辞】下に)+fer(運ぶ)
⇒苦しみを下から背負って運ぶ
=suffer[動]:苦しむ、悩む、害を被る
interfere
inter(【接頭辞】間に)+fer(運ぶ)
⇒間に運び込む
=interfere[動]:邪魔をする、干渉する
fertile
fer(運ぶ)+tile(【接尾辞】形容詞化:〜できる、〜に関係した)
⇒運ぶことができる=多くを生み出せる
=fertile[形]:肥沃な、繁殖能力がある
・fertilize[動]:肥沃にする、豊かにする
fertile+ize(【接尾辞】動詞化:〜化する、〜する)
・fertility[名]:肥沃なこと、出生率
fertile+ity(【接尾辞】名詞化:〜の性質、〜の状態)
portable
port(運ぶ)+able(【接尾辞】形容詞化:〜できる、しやすい)
=portable[形]:持ち運べる
transport
trans(【接頭辞】向こう側へ)+port(運ぶ)
⇒ある場所から別の場所へ運ぶ
=transport[名]:輸送する
・transportation[名]:交通機関
transport+ation(【接尾辞】名詞化:〜もの・こと)
海外にいくときに必ず必要なパスポートも、「pass(通る)+port(港)=港を通過する」から成り立っています。何気なく覚えていた単語も、語源の視点から眺めてみると新しい発見があるものです。これが語源の面白さでもあります。
「rupt」壊れる、破裂するの語源
語根「rupt」はラテン語“rumpere”が由来で、「破る・壊れる」を意味します。“bankrupt”という単語は、「bank(銀行)+rupt(壊れる・破裂する)=銀行が破裂する」ことから、「破産した」という意味になっているのです。
abrupt
ab(【接頭辞】離れて)+rupt(破裂する)
⇒離れて破れる=予期しないこと
=abrupt[形]:突然の、思いがけない
corrupt
cor=con(【接頭辞】完全に)+rupt(破裂する)
⇒完全に壊れる
=corrupt[形]:堕落した、汚職の、不正の
disrupt
dis(【接頭辞】離して)+rupt(破裂する)
⇒破って分け離す
=disrupt[動]:〜を混乱させる、中断させる、邪魔する
interrupt
inter(【接頭辞】間に)+rupt(破裂する)
⇒間に割って入る
=interrupt[動]:〜をさえぎる、中断させる
erupt
e(【接頭辞】外へ)+rupt(破裂する)
⇒外に破れ出る
=erupt[動]:噴火する、噴出する
「manu / mani」手の語源
単語の中には、人間の体の一部を起源とするものもあります。語根「manu / mani」はラテン語“manus”が由来で、「手」を意味します。女性がするマニキュアですが、実は「mani(手)+cure(治療する)=手を治療する」という語源を持った単語なのです。
manual
manu(手)+al(【接尾辞】名詞化/形容詞化:性質、〜の性質をもった)
=manual[名]:マニュアル、手引書
※manual work[名]:手作業、肉体労働
manuscript
manu(手)+script(【語根】書く、書かれた)
⇒手で書かれたもの
=manuscript[名]:原稿、草稿
manipulate
mani(手)+pul(【語根】満たす)+ate(【接尾語】動詞化:〜する、〜させる)
⇒要件を満たすために巧みに手を使う
=manipulate[動]:〜を操作する、操る
“手”に関する単語があるように、“足”を起源にした単語もあります。
・pedal[名]:ペダル
・pedicure[名]:ペディキュア
・pedestrian[名]:歩行者
・expedition[名]:遠征、探検
・impede[動]:妨げる
・peddle[動]:行商する、売り歩く
数に関連した「接頭辞」の語源
数を表す接頭辞にはさまざまなものがあります。今回は特に知っておくと便利な3つをご紹介します。
「uni」 ひとつの
・uniform[名]:ユニフォーム、制服
⇒uni(ひとつの)+form(形)
・unite [動]:結合させる、団結する
⇒uni(ひとつの)+ite(状態)
「mono」 単一の
・monorail[名]:モノレール
⇒mono(単一の)+rail(レール)
・monopoly[名]:独占、独り占め
⇒mono(単一の)+poly(売る)
「bi」2つの
・bicycle[名]:自転車
⇒bi(2つの)+cycle(車輪)
・bilingual[形・名]:バイリンガルの、2か国語話者
⇒bi(2つの)+lingua(言葉)+al(性質)
おわりに
以上、知っておくと便利な語源を厳選してご紹介しました。英単語を語源から理解すると、丸暗記で覚えるのとは納得感が桁違いです。頭の柔らかいうちに英語を身につけられる子どもたちと違い、大人はどうしても意味や理屈を先に考えがち。そこがつまずきポイントにもなりますが、裏を返せば理屈がわかれば身につくのも早いはず。
大人ならではの知識欲、好奇心を持って、語源から手持ちの語彙を増やしていきましょう。
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