関係代名詞主格, 所有格, 目的格を解説 | 例文付

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※この記事内の例文は、World Englishes の考え方に則り、英語ネイティブにとって正確であることより、あらゆる人に分かりやすいことを優先しています。

今回は、関係代名詞について、例文を交えながら、ゼロからわかる関係代名詞の使い方について解説します。
この記事と合わせて「関係代名詞 “whose”, “what” っていつ使うの?その他、英語上級者でも苦戦する “前置詞合体型” もまるっと徹底解説」、「関係代名詞はどう使うもの? “which””who””that”の使い方を徹底解説!」も参考にしてくださいね。

そもそも関係代名詞って何?

関係代名詞は、中学英語の半ばに登場する文法事項です。『総合英語FOREST』では、このように説明されています。

【私を手伝ってくれた】 → 女性
the woman ← 【who helped me】

日本語では、「女性」という名詞を説明したければ、単純に名詞の前に「私を手伝ってくれた」を置くだけでよい。それに対して英語で同じことをする場合は、次の2点に気をつけなくてはならない。
①名詞(the woman)の後ろに節を置く。
②説明に使う節には、who を使う。
このように、「名詞を説明するのに使う節」と、「説明される名詞」を結びつけるために使われるのが関係代名詞である。
出典: 総合英語FOREST(第7版) P290

関係代名詞と主格、所有格、目的格とは?

関係代名詞は、関係代名詞に修飾される名詞や代名詞を先行詞と言い、関係代名詞には、以下の表のように種類と分類されます。

先行詞の種類 主格 所有格 目的格
who whose whom(who)
もの・動物 which whose/of which which
もの・動物・人 that that
先行詞を含む what what

主格の関係代名詞 “who”, “which”

英語の格とは、その単語と動詞との関係で決まります。「主格」は、その名詞が「主語という役割」を持っていることを表わしています。
実際の例を見てみましょう。
(11) I have a friend who lives in Hong Kong.
I have a friend.(私には友達がいる)
→どんな友達?
who lives in Hong Kong(香港に住んでいる)

⇒つまり

I have a friend who lives in Hong Kong .
(私には香港に住んでいる友人がいる)

関係代名詞も代名詞ですから、なにかの代わりになっているはずです。今回の場合、この “who” は、“friend” の代わりになっています。

つまり

I have a friend, the friend lives in Hong Kong .
(私には友人がおり、その友人は香港に住んでいる)

と考えることが出来るのです。

この時 “who” は、動詞 “live” の主語になっていることがわかります。後ろに来る動詞の主語になっている関係代名詞を「主格」と言います。「主格」の関係代名詞は人や物の状態を表わすことが多いです。

(12) They live in a house which stands on a hill.

これも『総合英語FOREST』からの引用させていただきました。

They live in a house.
(彼らは家に住んでいる)
→どんな家?
which stands on the hill(丘の上に立っている)

⇒つまり?

They live in a house which stands on the hill.
(彼らは丘の上に立っている家に住んでいる)

この文も

They live in a house, the house stands on the hill.

と考えることができるため、“which” は “house” の代わりをしていると言えます。“house” は “stand” の主語ですから、これは「主格」の関係代名詞なのです。

主格の関係代名詞で気をつけなければいけないのは、省略が出来ないということです。

× I have a friend lives in Hong Kong.

× They live in a house stands on the hill.
このように書くと、後ろの動詞 “live” や “stand” の主語がなくなってしまいます。英語では、ごく一部の例外を除いて主語の省略はできません。ですから、主語の役割をしている主格の関係代名詞は省略できないのです。

所有格の関係代名詞 “whose”

“whose” は、前に来る人やモノの所有や性質を表わします。イメージとしては、「その人の○○は××である人は~」もしくは「そのモノの◯◯は××であるモノは~」という時に使います。

A man whose wife is beautiful.

(その人の妻は美しい男性=美しい妻を持つ男性)

このように “A whose B” の形で、そのAという人やモノがBを所有していることを表わすのです。

なぜこんな形をいちいち使うのでしょうか? 例えば “whose” は “who have” を使って置き換えられることがあります。“whose”を使うと、その直後の冠詞(a/the)が必要なくなることに注意してください。

I want to marry a person whose house is big.

(「その人の家は大きい」人と結婚したい→大きい家を持っている人と結婚したい)

I want to marry a person who has a big house.

(大きい家を持っている人と結婚したい)

一方、“who has” で置き換えられない例もあります。私が最近使った記憶があるのは、「中国語のネイティブスピーカーを探しています」という文を書くときに

I’m looking for a person whose first language is Chinese mandarin.

(その人の第一言語は中国語である人を探しています。→ 中国語のネイティブスピーカーを探しています)

このように後に名詞が来る場合は、

“× a person who has Chinese first language”

とは言えませんので、”whose” を使います。

“whose” を “who have” で置き換えられるかどうかは微妙な問題ですが、英語学者でもない限りそこにこだわる必要は全くありません。私たちが外国人として英語を使う時に知っておくべきなのは、人/モノの所有・所属関係を表わすときには “whose” の方が便利だという事です。

① 人/モノの所有物

A man whose computer is old.

(その人のコンピューターは古い男性→古いコンピューターを持っている男性)

② 関係者

A woman whose subordinates are competent.

(その人の部下は優秀な女性 → 優秀な部下を持つ女性)

③ 能力

A girl whose sight is poor.

(その人の視力は弱い女の子→視力の弱い女の子)

④ 性質

A person whose first language is Japanese.

(その人の第一言語は日本語の人→日本語が第一言語の人)

このような場面で、“whose” を使う事になります。カギになるのは、“その人のAはBである人”, “そのモノのAはBであるモノ”と言い換えることができるかどうかです。自分が普段日本語で言っていることが、この形に言い換えられるとしたら、そこには必ず “whose” が出てくる余地があるのです。 “whose” を使いこなすためには、まずは自分の日本語を振り返ってみることが大切です。

「性格がきつい人」「腕っぷしが強い人」「床が古い家」「解答用紙の長いテスト」「給料のいい会社」などなど、思ったより多くの日本語が、“whose” の守備範囲に入ります。練習を兼ねて、是非調べてみてください

“whose” は英会話というよりは、ある程度まとまった書き言葉の方が多く出てくる印象があります。先ほど私が挙げた「中国語ネイティブを探しています」というのも、硬い文章を書いていて出てきたものです。

目的格の関係代名詞 “which”, “who”

This is the book which I bought at the book store.

この文を見てみましょう。

This is the book.
(これは[周知の]本である)
→どんな本?
which I bought at the book store
(私が本屋で買った)

⇒つまり?

This is the book which I bought at the book store.
(これは私が本屋で買った本である)

関係代名詞は前に来る言葉の代わりになるものですから、この “which” は “the book” の代わりをしていると考えられます。動詞(V)の “bought=buy(買う)” と、“the book はどのような関係でしょうか?「その本」は「買われた」ものですから “the book” は “buy” という動作の客体です。動作の客体を別名で目的語(O)と呼びます。

I bought(V) the book(O) at the book store.

この “which” は目的語の代わりをしているので、「目的格」と言います。目的格の関係代名詞は、後ろに来る動詞の目的語になっているのです。

The people who I met at the party

The people(その人々)
→どんな?
who I met at the party(パーティーで会った)

⇒つまり?

The people who I met at the party.
(パーティーで会った人々)

“who” は前にある “the people” の代わりをしていると考えられます。“the people”は、“met=meet(会う)”の主語ではありません。「会った対象」ですから、動作の客体であり、目的語になります。つまり、

I met(V) the people(O) at the party.
(私はその人たちにパーティーで会った)

と変形できるのです。これも目的格の関係代名詞です。

目的格の関係代名詞は、口語では省略するのが普通です。

〇 This is the book I bought at the book store.

〇 The people I met at the party.

これが、主格の関係代名詞との最大の違いです。実際に省略できるかどうかを見分けるには、関係代名詞の後ろに主語があるかどうかを見るのが簡単です。主語がある場合は目的格なので、省略が可能です。

また、目的格の場合のみ、“who” を “whom” と書く場合がありますが、これは絶対のルールではありません。前置詞が直前に来る“to whom”,“by whom”のような特別な言い方で使うことがあります。詳しくは、「英語の関係代名詞「whom」ってなに?whoとの違いや使い方を徹底解説!」の記事で紹介しています。

こなれた英語のカギを握る “What”

大学時代、英語の先生がおっしゃっていた言葉が今でも印象に残っています。

『関係代名詞の “what” は別に使えなくても生きていけるけど、使いこなせるとこなれた英語になっておしゃれだよ』
この言葉の通りで、“what” が使いこなせると、英語がこなれた印象になります。

文法説明的に言えば、“what” は “the things which” と言い換えることができ、先行詞(説明される言葉)と関係代名詞を兼ねるものです。一人二役で活躍すると言えます。日本語に訳せば「○○するところのもの」でしょうか。

しかしながら「○○するところのもの」という言葉は日本語でもあまり耳慣れませんよね?ですので、この翻訳を見ても“what”の使い方はイメージしづらいと思います。

実際に使うとなったら、“what” はどんな風に使えばいいのでしょうか? “what” の持つイメージは「それこそが~」という感覚です。

Today, what I will talk about is A.
(今日お話しするのはAです)

英語のスピーチや授業の決まり文句のようなものです。「これこそ今日話すことである」というように、今日のトピックを強調するようなニュアンスがあります。

The topic which I will talk about is A.
(お話しするトピックはAです)

これでも完璧に意味は伝わりますし、実際このように話す人も多いですが、人によってはちょっと冗長な印象を受けます。

What I really want to say is A.
(Aこそ私の言いたいことだ)

What I want to emphasize is A.
(Aこそが、私が最も強調したいことだ)

「○○こそが~」と言いたい時に、“what”を使った言い回しは頻繁に登場します。これも

The thing which I really want to say is A.

The thing which I want to emphasize is A.

のように “which” を使って言い換えることができ、それで100%理解することが出来ますが、“what”を使うとよりこなれた印象になります。

「関係代名詞の “what” は別に使えなくても生きていけるけど、使いこなせるとこなれた英語になっておしゃれだ」というのは当を得た言葉で、特にフォーマルな場で話をする方はマスターしておきたいところです。まずは「これこそ○○だ!」と言いたい時に使ってみましょう。

“what” に関しては、「英語whatの意味はなに?関係代名詞「What」を徹底解説」の記事も参考になさってください。

(応用編)前置詞合体型

前置詞合体型は、“in which”, “to whom” などの、前置詞と関係代名詞が合体した形です。前回のおさらいになりますが、このタイプは3段階の変形を経て作られます。

The person
([特定の]人)
→どんな人?
My brother sent a letter to him.
(私の弟は彼に手紙を送った)

→つまり?

The person who my brother sent a letter to
(私の弟が手紙を送った人)

このとき “who” は、直前の言葉である “the person” の代わりになっています。 “the person” は “send(送る)” という動作の目的語ですから、この “who” は目的格の役割を背負っています。そこで、

The person whom my brother sent a letter to

とすることもできます。さらに、末尾に残ってしまった “to” を関係代名詞の前に持ってくることで

The person to whom my brother sent a letter

と三段階で変形することもできるのです。

前置詞合体型は極めて硬い言い回しで、英会話ではまず使うことはないでしょう。私自身、口から出した経験は皆無です。目で見たときに、どういう構造になっているか理解できれば十分だと思います。

強いて挙げるとすれば、

By whom were you stolen your wallet?
(誰に財布を盗られたの?)

のように、受動文で「誰にやられたか」を尋ねるとき、

To whom it may concern.
(これが関係するかもしれない方々へ → 関係各位)

のような定型文では使う機会があるかもしれません。

「実用」という視点で言えば、学習の優先順位は決して高くありません。硬い文章を書くときに、「こんなのあったな」と思い出せれば十分かと思います。

まとめ

今回は、関係代名詞の主格、所有格、目的格を中心に紹介させていただきました。
しつこいようですが、英語は関係代名詞を使って「後ろ → 前」という説明の仕方をするので、日本人には慣れにくいものです。まずは、日本語でも「先にトピックを言って、後から説明する」話し方があることを意識することから始めると、効果があるのではないでしょうか。
やや上級の “whose”, “what”, 「前置詞合体型」は、自分の学習目的に合わせて徐々に練習していくのがいいと思います。これらは使用頻度が決して高くなく、「これがなければ会話ができない」というほどのものではありません。有限の時間を割くだけの価値があるかどうかは、それぞれの方の学習目的次第です。
日英のルールの違いを意識することで、自分の目的に合わせて関係代名詞を使いこなすため、忘れずにアウトプットしましょう。

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