※この記事内の例文は、World Englishes の考え方に則り、英語ネイティブにとって正確であることより、あらゆる人に分かりやすいことを優先しています。
みなさんこんにちは。No.1オンライン英会話スクール「レアジョブ英会話」が運営する、英語情報メディア「Rarejob English Lab」ライターの石田です。
前回までは、関係代名詞のシステムについて、2回にわたって解説してまいりました。
今回はより実践的に、テーマを「実用」に絞って、関係代名詞の使い方について考えてまいりましょう。
今回もキーになるのは、「日本語と英語の違い」です。
1. 関係代名詞の感覚
2. “that” “which” “who” の使い時
3. 所有格“whose”の使い時
4. こなれた英語のカギを握る “What”
5. 前置詞合体型
6. まとめ
1. 関係代名詞の感覚
以前のコラムでも解説しましたが、日本語は「前の言葉で後ろの言葉を説明する」というシステムを採用しています。
(1) 彼がアメリカで買った靴。
「靴」という単語を、「彼がアメリカで買った」という言葉の塊が説明しています。
(2) × 靴。彼がアメリカで買った
このような言い方は、どう見てもおかしいですよね。
(3) The shoes which he bought in America.
(彼がアメリカで買った靴。)
ところが、英語ではこのように、関係代名詞を使って後ろから説明します。
日本語の原則にはない「後ろ → 前」の説明の仕方であることから、日本人には関係代名詞が使いにくいのです。
しかしながら、現実には、日本語でも後ろに修飾語(説明のための言葉)を持ってくることはよくあります。
(4) この靴なんだけどさ、彼がアメリカで買ったんだよね。
このように、何を話題にしたいのかを最初にはっきりさせておいて、後から説明するパターンです。日常会話の中では非常によく耳にする話し方ではないでしょうか?
(5) この本?有名な作家が書いたやつだよ。
(6) このパソコン、ずっと探してたやつだ。
このように、「後ろ → 前」の説明は、現実の日本語ではありふれた言い回しであることがわかります。
(7) The book which was written by a famous author.
(有名な作家が書いた本)
(8) The computer which I have been looking for.
(私が探していたコンピューター)
英語では、このような言い回しが基本になります。1つの形容詞で言い表せないような複雑な説明は、「後ろ → 前」で説明しなければいけません。
英語話者に日本語を教えると、「日本語は英語の反対だ」とよく言われます。よく指摘されるのは、動詞が先の言語である英語に対して、日本語は目的語が先の言語であるという違いです。しかし、どうやら彼らが悩まされるのはそれだけではないようです。
「修飾語の付け方が反対なので話しにくい」
このような意見をよく聞くのです。ここまで見てきた通り、彼ら英語話者にとっては、先に話題にするモノを決めて、後からそれを説明するのが自然な話し方だそうです。
この、「先に話題にするモノを決めて、後からそれを説明する」という話し方は、たしかに英語の特徴ではあります。しかし、先ほど(4)~(8)の例文で挙げた通り、日本語話者にとっても、実は難解な話し方ではありません。私たちが無意識にしている話し方を、英語という言語は明確なルールにしているというだけのことなのです。
このように考えれば、関係代名詞が全く恐れるに足らないことがよくわかります。「何を話題にするかを最初にはっきりさせて、後から説明する」話し方は、私たちが意識していないだけで、実は日英共通のものだからです。
先に何を話題にするかを言っておいて、後からそれについて説明する。このスタイルに慣れ、意識的に使えるようになることが、関係代名詞習得の道です。
もし語順になかなか慣れないようであれば、普段から日本語を話す際もこの関係代名詞の語順(先にトピックを言って、後から説明する語順)で考える癖をつけるのも、語順に慣れるためのひとつの手段かなと思います。
2. “that” “which” “who” の使い時
この三種類の使い方は基本的に同じです。「何かをまとまった言葉で説明したい時」に、これらの関係代名詞が出てきます。
(9) 先週家族で行った島が、すごくきれいだったんだ。
「島」を説明している言葉はまとまった長さがあって、1つの形容詞では言い表せません。この「1つの形容詞には任せられない、まとまった長さだ」を感じ取れるようになることが、関係代名詞を使う上では大事になってきます。
(10) 島にさ、先週家族と行ったんだけど、すごくきれいだったんだよね。
このように、トピックにしたい名詞を前に出してみましょう。
(11) The island that I visited with my family last week was very beautiful.
(先週家族で訪れた島がとてもきれいだった)
自然に関係代名詞を使った文になりました。
(12) 彼が買ってきてくれたカメラはとても使いやすいよ。
「彼が買ってきてくれた」という意味の形容詞はありませんから、ここも関係代名詞の出番です。
(13) カメラなんだけどさ、彼が買ってきてくれたんだけど、使いやすいよ。
トピックにしたい名詞を前に出して、後から説明する形を想像してみてください。
(14) The camera which he bought for me was quite easy to use.
(彼が僕に買ってくれたカメラはとても使いやすい)
どんどん練習していきましょう。
(15) この間ばったり会った女性が、君の妹さんだったんだ。
「この間ばったり会った」という意味の形容詞はありませんから、ここも関係代名詞の出番です。
(16) 女の人、この間ばったり会ったんだけど、君の妹さんだったんだ。
(17) The girl who I met by chance the other day was your sister.
(この間ばったり会った女性が、君の妹さんだったんだ)
このように、「1つの形容詞で言い表せないまとまった説明」をしたい時、関係代名詞が出てきます。
口語では、「目的格」の関係代名詞は省略したほうが自然になります。「目的格」とは、わかりやすく言えば、関係代名詞の直後に主語がある場合のことです。
(18) The island I visited with my family last week was very beautiful.
(19) The camera he bought for me was quite easy to use.
(20) The girl I met by chance the other day was your sister.
このように、今までの3つの文は全て関係代名詞を省略できます。
~ おさらいです ~
英語では、1つの形容詞で言い表せる場合を除いて、「後ろ→前」で説明するのが基本です。この時、関係代名詞が出てきます。
● The island that I visited with my family last week was very beautiful.
日本語では「前→後ろ」の説明が普通なので、私たちは関係代名詞を見ると混乱してしまいます。
● 先週家族で訪れた島がとてもきれいだった。
ですが、日本語話者でも、先にトピックを出しておいて、後から説明する話し方は結構しています。
⇒ 島にさ、先週家族で行ったんだけど、とてもきれいだったよ。
英語では、こちらの話し方が基本になっています。それを理解すれば、日本語の感覚のまま関係代名詞を使うことが出来ます。
3. 所有格“whose”の使い時
前回の記事で解説した “whose” はやや上級の関係代名詞です。前に来る人やモノの所有や性質を表わします。イメージとしては、「その人の○○は××である人は~」もしくは「そのモノの◯◯は××であるモノは~」という時に使います。
(21) A man whose wife is beautiful.
(その人の妻は美しい男性=美しい妻を持つ男性)
このように “A whose B” の形で、そのAという人やモノがBを所有していることを表わすのです。
なぜこんな形をいちいち使うのでしょうか? 例えば ”whose” は ”who have” を使って置き換えられることがあります。“whose”を使うと、その直後の冠詞(a/the)が必要なくなることに注意してください。
(22) I want to marry a person whose house is big.
(「その人の家は大きい」人と結婚したい→大きい家を持っている人と結婚したい)
(23) I want to marry a person who has a big house.
(大きい家を持っている人と結婚したい)
一方、“who has” で置き換えられない例もあります。私が最近使った記憶があるのは、「中国語のネイティブスピーカーを探しています」という文を書くときに
(24) I’m looking for a person whose first language is Chinese mandarin.
(その人の第一言語は中国語である人を探しています。→中国語のネイティブスピーカーを探しています)
このように後に名詞が来る場合は、
“× a person who has Chinese first language”
とは言えませんので、”whose” を使います。
“whose” を “who have” で置き換えられるかどうかは微妙な問題ですが、英語学者でもない限りそこにこだわる必要は全くありません。私たちが外国人として英語を使う時に知っておくべきなのは、人/モノの所有・所属関係を表わすときには “whose” の方が便利だという事です。
① 人/モノの所有物
A man whose computer is old.
(その人のコンピューターは古い男性→古いコンピューターを持っている男性)
② 関係者
A woman whose subordinates are competent.
(その人の部下は優秀な女性→優秀な部下を持つ女性)
③ 能力
A girl whose sight is poor.
(その人の視力は弱い女の子→視力の弱い女の子)
④ 性質
A person whose first language is Japanese.
(その人の第一言語は日本語の人→日本語が第一言語の人)
このような場面で、“whose” を使う事になります。カギになるのは、“その人のAはBである人”, “そのモノのAはBであるモノ”と言い換えることができるかどうかです。自分が普段日本語で言っていることが、この形に言い換えられるとしたら、そこには必ず “whose” が出てくる余地があるのです。 “whose” を使いこなすためには、まずは自分の日本語を振り返ってみることが大切です。
「性格がきつい人」「腕っぷしが強い人」「床が古い家」「解答用紙の長いテスト」「給料のいい会社」などなど、思ったより多くの日本語が、“whose” の守備範囲に入ります。練習を兼ねて、是非調べてみてください
“whose” は英会話というよりは、ある程度まとまった書き言葉の方が多く出てくる印象があります。先ほど私が挙げた「中国語ネイティブを探しています」というのも、硬い文章を書いていて出てきたものです。
優先順位としては “that” “which” “who” を先にマスターしたうえで、更なるランクアップのために学ぶというイメージでいいと思います。
4. こなれた英語のカギを握る “What”
大学時代、英語の先生がおっしゃっていた言葉が今でも印象に残っています。
この言葉の通りで、“what” が使いこなせると、英語がこなれた印象になります。
文法説明的に言えば、“what” は “the things which” と言い換えることができ、先行詞(説明される言葉)と関係代名詞を兼ねるものです。一人二役で活躍すると言えます。日本語に訳せば「○○するところのもの」でしょうか。
しかしながら「○○するところのもの」という言葉は日本語でもあまり耳慣れませんよね?ですので、この翻訳を見ても“what”の使い方はイメージしづらいと思います。
実際に使うとなったら、“what” はどんな風に使えばいいのでしょうか? “what” の持つイメージは「それこそが~」という感覚です。
(25) Today, what I will talk about is A.
(今日お話しするのはAです)
英語のスピーチや授業の決まり文句のようなものです。「これこそ今日話すことである」というように、今日のトピックを強調するようなニュアンスがあります。
(26)The topic which I will talk about is A.
(お話しするトピックはAです)
これでも完璧に意味は伝わりますし、実際このように話す人も多いですが、人によってはちょっと冗長な印象を受けます。
(27) What I really want to say is A.
(Aこそ私の言いたいことだ)
(28) What I want to emphasize is A.
(Aこそが、私が最も強調したいことだ)
「○○こそが~」と言いたい時に、“what”を使った言い回しは頻繁に登場します。これも
(29) The thing which I really want to say is A.
(30) The thing which I want to emphasize is A.
のように “which” を使って言い換えることができ、それで100%理解することが出来ますが、“what”を使うとよりこなれた印象になります。
「関係代名詞の “what” は別に使えなくても生きていけるけど、使いこなせるとこなれた英語になっておしゃれだ」というのは当を得た言葉で、特にフォーマルな場で話をする方はマスターしておきたいところです。まずは「これこそ○○だ!」と言いたい時に使ってみましょう。
“what” に関しては、こちらの記事も参考になさってください。
5. 前置詞合体型
前置詞合体型は、“in which”, “to whom” などの、前置詞と関係代名詞が合体した形です。前回のおさらいになりますが、このタイプは3段階の変形を経て作られます。
(31) The person
([特定の]人)
→どんな人?
My brother sent a letter to him.
(私の弟は彼に手紙を送った)
(32) The person who my brother sent a letter to
(私の弟が手紙を送った人)
このとき “who” は、直前の言葉である “the person” の代わりになっています。 “the person” は “send(送る)” という動作の目的語ですから、この “who” は目的格の役割を背負っています。そこで、
(33) The person whom my brother sent a letter to
とすることもできます。さらに、末尾に残ってしまった “to” を関係代名詞の前に持ってくることで
The person to whom my brother sent a letter
と三段階で変形することもできるのです。
前置詞合体型は極めて硬い言い回しで、英会話ではまず使うことはないでしょう。私自身、口から出した経験は皆無です。目で見たときに、どういう構造になっているか理解できれば十分だと思います。
強いて挙げるとすれば、
(34) By whom were you stolen your wallet?
(誰に財布を盗られたの?)
のように、受動文で「誰にやられたか」を尋ねるとき、
(35) To whom it may concern.
(これが関係するかもしれない方々へ → 関係各位)
のような定型文では使う機会があるかもしれません。
「実用」という視点で言えば、学習の優先順位は決して高くありません。硬い文章を書くときに、「こんなのあったな」と思い出せれば十分かと思います。
6. まとめ
三回に渡って関係代名詞を紹介させていただきました。
しつこいようですが、英語は関係代名詞を使って「後ろ → 前」という説明の仕方をするので、日本人には慣れにくいものです。まずは、日本語でも「先にトピックを言って、後から説明する」話し方があることを意識することから始めると、効果があるのではないでしょうか。
基本の “that” “which” “who” は、この「先にトピックを言って、後から説明する」話し方を意識すれば、問題なく使えるでしょう。
基本の関係代名詞にも、三種類の使い分けや省略などの、細かいルールがあることはあります。しかし、コミュニケーションを目的にするなら、「関係代名詞は “that” のみ、省略はしない」と決めてしまうのもいいでしょう。私の周りのノンネイティブ達は大抵そういう話し方をしています。
やや上級の “whose”, “what”, 「前置詞合体型」は、自分の学習目的に合わせて徐々に練習していくのがいいと思います。これらは使用頻度が決して高くなく、「これがなければ会話ができない」というほどのものではありません。有限の時間を割くだけの価値があるかどうかは、それぞれの方の学習目的次第です。
三回に渡って関係代名詞の文法解説をしてきたので、ルールの多さに嫌気がさしてしまった方もいらっしゃると思います。確かに英語には細かいルールがつきものです。しかし、ルールにそれほど囚われる必要はありません。
英語はあくまでツールであって、ルールに縛られるあまりその使い勝手が悪くなるのは本末転倒だからです。仮に多少英語がおかしくても、ネイティブスピーカーにだってあなたを笑う権利はありません。こちらは彼らの言語に貴重な時間とお金を割いて勉強しているのですから、それに対して敬意を払ってくれ、というくらいに考えても構わないと私は思います。
日英のルールの違いを意識することで、自分の目的に合わせて関係代名詞を使いこなし、英語への苦手意識を克服しましょう!
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