「”イギリス”という国名を英語で言うと?」ときかれたらなんと答えるでしょうか。
ひょっとして「England」と答えていませんか?
実は、Englandは国名ではなく、イギリスという国の地域の一つ。私たちが普段「イギリス」と呼んでいる国は、英語では正式にはUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(略してUK)で、Englandではありません。
そして、このUKが、Europe(ヨーロッパ)の中に含まれないことがあるとしたら!?
知っているようで知らない、イギリスという国の不思議をご紹介します。
こんなにある「イギリス」の呼び名
「イギリス英語」のことを、英語でBritish Englishと呼んだりしますよね。
このBritishとは何でしょうか?いろいろある「イギリス」の呼び名を整理してみましょう。
「イギリス」の名称をおさらい
・United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(略してUK)
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国。国としての「イギリス」「英国」。
・Great BritainまたはBritain
大ブリテン島。England、Scotland、Walesが含まれる。
・Ireland
アイルランド島。北部のNorthern Irelandは「イギリス」の一部。それ以外は、「アイルランド」という国。
・Commonwealth Realm
英連邦王国。イギリスのほか、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど。これらの国では今でもイギリス王が「国家君主」で、現在はイギリスのエリザベス女王の誕生日が祝日。
Englandとその他の違い
Englandに住む人は自分たちのことをEnglish(イングランド人)と呼び、
Scottish / Scot (スコットランド人)
Cambrian / Welsh(ウェールズ人)
Irish(アイルランド人)
と区別します。
English(英語)というのは実は「イングランド語」で、もちろんスコットランド、ウェールズ、アイルランドも英語を話しますが、それぞれ
Scottish(スコットランド語)
Welsh(ウェールズ語)
Irish(アイルランド語)
という異なる言語が存在します。
Britain、Britishといった場合、厳密にはそこにIreland(アイルランド)が含まれていませんが、便宜的に「イギリス」という国全体を指すときに使われています。
例えば、イギリスのEU脱退を通称Brexit(ブレグジット)と呼びますが、これはBritainとexit(離脱)を合わせた造語。このBritainの中には、「イギリス」の一部である北アイルランドも含まれます。
要注意!イギリス人と話すときのDos & Don’ts
こういった事情を理解していないと、イギリス人と話をするときに思いがけないところで食い違いが出てくることがあります。例えば、次のようなことに注意してください。
England/Englishを気軽に使わない
– Are you from England?(イギリス出身なんですか?)
– No, I’m from Wales.(いいえ、ウェールズ出身です)
日本語だけ見ると奇妙なやりとりに思えますが、Englandは「イングランド」で、Wales(ウェールズ)とは区別されます。
– I like English actors, especially Ewan McGregor.
(イギリスの俳優が好き、特にユアン・マクレガー)
– He’s a Scottish.
(彼はスコットランド人だよ)
日本人としては、English(イングランドの)とScottish(アイルランドの)の区別は難しいですね。普段「イギリスの○○」と言いたいときは、EnglishではなくBritishを使うといいでしょう。
イギリスとヨーロッパの区別
イギリス人がフランスやドイツに行くとき、
I’m going to Europe.
(ヨーロッパに行ってくる)
と言うことがあります。
私たち日本人からすると、「イギリスもヨーロッパにあるんじゃないの!?」と戸惑いますが、実はイギリスはヨーロッパの中でも特異な位置を占めているのです。
英語にはContinental Europe(大陸ヨーロッパ)という言葉があり、これはcontinent(大陸)にあるフランスやドイツといった国々を指します。イギリスのようなisland country(島国)は含まれません。
イギリス人は「大陸に行く」というようなつもりでI’m going to Europe.と言っているのでしょう。
まとめ
意外に複雑な、イギリスという国の事情。こういったことを理解しておくと、イギリスがなぜ「ヨーロッパ」の連合であるEUから脱退することにしたのか、わかりやすくなってくるかもしれません。
このように、言語からその国の事情をひも解いていくと、意外な一面が見えてくることがあります。英語に別の角度から触れることも、楽しく勉強を続けていくための工夫のひとつ。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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