多民族国家のカナダは、外国人にやさしく比較的治安もよいため、日本からの渡航先として人気な国。海外旅行やワーキングホリデーなど休暇の旅行先に考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、安全な国とはいえ、旅行にトラブルはつきもの。ケガや病気は思いがけない瞬間にやってきます。もしカナダで大ケガをしたり急病になったりしたら…。
そんなときに英語が話せなくてもしっかり対応できるよう、カナダでの病院のかかり方と病院での「サバイバル英語」についてご説明します。
どうやって病院にかかればいい?… 緊急時の病院の探し方・かかり方
カナダではかかりつけ医(Family Doctor)制度があり、基本的に完全予約制です。
しかし、旅先の急な病気の場合には予約はできませんよね。そんな時に予約なしでもかかることができる「Wall-In Clinic(ウォークインクリニック)」。小規模クリニックがたいていの街にはあります。カナダの人々でも予約なしで医師にかかりたいときにはウォークインクリニックに出かけます。
まずは、自分が加入している海外旅行保険のコールセンターに電話してみましょう。
ふつうは通話料無料の電話番号があり、コレクトコールも受け付けてくれます。トロントやバンクーバーなどの大都市であれば、保険会社と提携している現地エージェントが通訳者や提携クリニックを手配してくれ、キャッシュレス治療を受けられる場合があります。
緊急事態の時はどうする?
「現地エージェントがいない田舎」や「通訳者を待てないくらい緊急」の場合はどうすればいいのでしょうか。その場合は、滞在ホテルにウォークインクリニックの場所をきいたり、「walk-in clinic +街の名前」をキーワードにして自分でネット検索をしたりすることになります。
一般に、ウォークインクリニックは診察中心です。ひどいケガで「出血が止まらない」場合や、「骨が折れたか?」と検査の必要性が感じられた場合は、総合病院(General Hospital)の救急外来(Emergency Service)にかかることをおすすめします。この場合は即日必要な検査と治療を受けることが可能です。
タクシーなどに乗って自力で総合病院に行けない場合は救急車(Ambulance)を呼びましょう。貴重品を抱きしめてうずくまって横になり、
“Call an ambulance.”救急車を呼んで
と繰り返せば、周囲の人が救急車を呼んでくれるでしょう。
これだけで伝わる!症状を伝えるための基本フレーズ
クリニックや総合病院の受付に着いたら、まず症状を伝えなくてはなりません。
痛みがある場合は
I have a pain here(ここが痛いです)
といって痛む場所に手を当てましょう。
「painかacheかhurtか」と悩まなくても、一般的な痛みを意味する「pain」だけで問題ありません。
余裕があるときは
I have a pain in the (stomach / head / throat / chest / arm / leg / back / lower back).
(おなか / 頭 / のど / 胸 / 腕 / 足/ 背中 / 腰 ~が痛い)
と痛む場所の英単語をつけたせばOKです。
緊急事態!痛みや症状がつらい時には
ひどく痛む場合は “sharp / bad / strong pain”(激痛)
にぶい痛みなら “dull pain”(鈍痛)
焼けるよう痛みのときは “burning pain”(焼けるような痛み)
出血している場合は “bleeding”(出血)
といった簡単な単語で通じます。
そのほか、旅行中の体調不良でよくある「風邪」「お腹をこわした」「気持ちがわるい」と
いった場合には次のようなフレーズが使えます
I have a bad cold(ひどい風邪です)
I have bad diarrhea(ひどい下痢です)
I vomited (嘔吐しました)
などをおさえておけばひと通りの用はたせるでしょう。
これらのフレーズは受付だけでなく、医師に症状を説明する場合にも使えます。症状を相手に伝える際に重要なポイントは「文法や発音、多少の表現の違いを気にしない」ことです。「大便(feces)のフレーズがわからずshitで通じた」という人もいます。多少の失笑を買っても気にしないようにしましょう。
病院でよく受ける質問は?ヒアリングするときのフレーズ
受付や医師の第一声は「どうされましたか?」と症状をきいてくる質問です。
How are you today?
How can I help you?
What’s the problem?
など、いろいろな表現がありますが、「How」「What」で始まる質問はほとんど症状をきいている質問です。
そのほかにもクリニックや総合病院ではいろいろな質問をされます。しかし、聞かれることはほぼパターン化されているため、以下のような頻出質問を覚えておけば大丈夫です。
Do you have any allergy?(アレルギーはありますか)
アレルギーがない場合は「No」と答えます。
アレルギーがあるなら
I have an allergy to ~ (egg / milk / buckwheat / pollen / latex / drug)
(卵 / 牛乳 / そば / 花粉 / ゴム / 薬物)
アレルギーがある場合は、通常の生活でも注意が必要なので、事前に英語で覚えておきましょう。
Do you take any medicines?(服用している薬はありますか)
ない場合は「No」で済みますが、ある場合は説明がやっかいです。自分が服用している薬を実際に持っていき、
This is a pain killer(これは鎮痛薬です)
This is a sleeping pill(これは睡眠薬です)
This is a tranquilizer(これは精神安定剤です)
This is an medicine for high blood pressure(これは高血圧の薬です)
と説明するのが簡単です。
もちろん、口頭で
I take medicines for ~(anemia / dizziness / menstrual disorder / diabetes / irregular pulse / palpitation / hypercholesterolemia)
(貧血 / めまい / 生理不順 / 糖尿病 / 不整脈 / 動悸 / 高コレステロール血症)
と答えても大丈夫です。持病がある人は病気名を英語で覚えておきましょう。
Are you pregnant?(妊娠していますか)
女性が聞かれる質問です。「pregnancy(妊娠)」の形容詞が「pregnant」です。
妊娠していなければ「No」、妊娠していれば
I am five months pregnant(妊娠5か月です)
となります。
医療費は?海外旅行保険の請求はどうする?
カナダで病院にかかる際、支払いは受付で前払いです。基本的には「Visit Fee(診察料)」がかかります。検査が必要な場合は検査施設で別途支払います。支払い後にもらえるレシートはなくさないようにしましょう。医療費の請求を海外旅行保険会社にする際に必要になります。
ウォークインクリニックの診察料はそれほど高くはありませんが、クレジットカードが使えない場合があるため、現金を多めに用意していった方がよいでしょう。一方、総合病院の診察料や検査料はびっくりするほど高いですが、クレジットカードが使える場合がほとんどです。
なお、2017年の情報ですが、オンタリオ州トロントにあるウォークインクリニックでの診察料が約100カナダドル、検査施設でのレントゲン検査料で約115カナダドルという例があります。
診断書をもらうには?
クリニックにせよ総合病院にせよ、病院を出る前にもらっておかねばならないのが、医師の診断書です。基本的に海外旅行保険会社に保険金の請求をする際には診断書が必要です。
診断書が欲しいときのフレーズは、
I want to claim this medical expense to my insurance company.
Can I have the doctor’s medical certificate?
保険会社に医療費の請求をしたいと思います。医師の証明書をもらえますか?
キーフレーズはdoctor’s medical certificate(医師の診断書)
doctor’s medical statement / document / report
などの表現でも通じます。医師か受付担当者にお願いしましょう。ここでも大切なのは相手に自分のリクエストをわかってもらうことです。
まとめ
海外に行ったときに急な病気や体調不良に見舞われると不安になりますよね。緊急事態時は「伝わる英語表現」が大切。簡単なフレーズでも伝わるので基本的な単語をしっかりと覚えておきましょう。
また、日本の公的医療保険制度は世界一ともいわれ、医療機関への支払いも海外とは事情がかなり異なります。医療保険制度は様々ですので、ビジネスや旅行で海外に行くときには渡航先の医療制度を調べておくと安心です。
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