英単語を覚えるのって大変ですよね。ぶ厚い単語帳を必死に暗記しても、覚えたそばから忘れてしまう……。筆者自身、そんな経験があります。
本屋さんには本当にたくさんの単語帳が売っています。語学アプリも多様で、目移りしてしまうほどです。英単語の洪水のなかで、だんだん不安になってきます。
「英語を話せるようになるためには、一体いくつの単語を覚えればいいの?」
今回は、日常会話レベルの英語をつかうためには、いくつの単語が必要なのかについて考えてみたいと思います。英単語学習のゴールは、いったいどこにあるのでしょうか?
英語を話すためには、いくつの単語が必要?
日常会話ができるためには、どれくらいの単語が必要なのでしょうか?
実は、英語ネイティブは、日常会話の中でそんなにむずかしい単語をつかいません。
「whisper(ささやき声)」より「small voice(小声)」の方がよくつかわれますし、「complimentary(金銭を伴わない)」よりも「free(無料)」の方が普通です。日常会話でむずかしい単語をつかわないのは、英語も日本語もまったく同じです。
英語ネイティブの人に聞いてみると、「英語は2000個くらいの単語をマスターすれば会話ができる」とよくいわれます。
TOEIC高得点を目指す単語帳に出てくるような単語は、実はあまりつかわれません。「take」や「see」のようなよくつかう単語だけで、大体のことは言えるからです。
よくつかわれる単語は、全て中学英語までに習っています。今から英単語を勉強される方は、まずは中学英語レベルの単語にトライしてみましょう。それだけで、日常会話程度なら問題なくこなせます。
しかし、これはちょっと誤解を生む言い方かもしれませんが、「2000個程度のよくつかう単語をマスターすれば話せる」というのは、「2000個の単語を覚えるだけで話せる」というわけではありません。それをここから説明していきたいと思います。
組み合わせてつかう動詞
かんたんな動詞でむずかしい内容が言えるというのは、1つの動詞だけでいくつもの意味が表わせるというわけではありません。かんたんな動詞に別の単語をくっつけて、別の動詞に変えることが出来るのです。こうすることで、幅広いものをかんたんな言葉で表せるのです。
例えば「go over」というフレーズを見てみましょう。「go」も「over」も、中学1年生で習う単語ですね。ですが、「go over」の意味がすぐにわかるでしょうか。答えは「詳細に調べる」です。
「I will go over the thesis」= その論文をよく見ておくよ
英語では、このように動詞と前置詞がセットになって、まったく別の意味のフレーズに生まれ変わることがよくあります。
「go over」のかわりに、似た意味の「analyze(分析する)」をつかっても間違いではありません。ですが、このような言い方は英語ネイティブにとって「硬すぎる」そうです。日常会話では、かんたんな単語を組み合わせてつかうことで、よりカジュアルで自然な英語になります。つまり、英語ネイティブの人にとって、このような言い方がより自然なのです。
このような、組み合わせてつかう動詞には、2つのタイプがあります。
●単語から想像しやすいもの
「look up to A」という表現を見てみましょう。どの単語も中学レベルです。フレーズの意味も単語からかんたんに推測できます。「見上げる」というイメージで、「Aを尊敬する」という意味です。
「I really look up to my father」=本当に父を尊敬している
反対のフレーズは「look down on A」で、「look down」からわかるように、「Aを見下す」という意味です。
「I really look down on the people who are not honest」=不誠実な人は本当に軽蔑してしまう
そのほかにも、「move out」=「depart(出発する)」や、「back up」=「copy(バックアップを取る)」など、単語から意味がなんとなく推測できるものがたくさんあります。
●単語から想像しにくいもの
しかし、単語から意味がわかりにくいものもあります。
「hold on A」はどうでしょうか。それぞれの単語だけを見ると「抱いて、上に乗る」というように見えますね。でも実際は、「Aをやり続ける」と言う意味です。
「hold on studying」=勉強を続ける
「get out」はいかがでしょうか。「get out of here!」のように、「出ていく」という意味が有名ですね。しかし、「うわさやはなしが知れ渡る」という意味でもつかわれています。
「the rumor has gotten out」=うわさが知れ渡ってしまった
「take in」はどうでしょうか。まずは、「accept(受け入れる)」という意味でよくつかわれています。
「I have to take in my mother’s death」=母の死を受け入れなければ
しかし、「deceive(相手をだます」という意味でもつかわれることがあります。
「the fraudster took in a lot of people」=その詐欺師は大勢の人をだました
組み合わせ動詞も、いろいろな意味でつかわれているのです。
英語では、むずかしい単語なしでも、かんたんな単語を組み合わせることで色々なことを表現できます。ですから、「かんたんな単語だけで会話ができる」のは本当です。でもそのためには、かんたんな単語をうまく組み合わせる方法を知らなければいけません。
このような組み合わせ(参考書では「句動詞」とよばれています)を覚えなければ、2000個の単語だけで会話するのはむずかしいかもしれません。
日向清人著『英語はもっと句動詞で話そう』語研
この本では、組み合わせてつかう動詞についてとてもわかりやすく説明されており、おススメです。
組み合わせてつかう名詞
今度は、名詞について考えてみましょう。むずかしい名詞を知らなくても会話は出来ます。動詞と同じく、かんたんなものを組み合わせてつかうのです。
突然ですが、「服のセンスがいい」はなんというかご存知ですか?
He has a good ( ) in clothes.
かっこに入る単語は何でしょうか? センスですから「sense」でしょうか? はたまた、「服選びが上手い」という意味で「choice」でしょうか?
正解は「taste」です。むずかしい単語ではないですが、ぱっと思いつかなかった方もいると思います。「taste in clothes」で、「服のセンス」という意味になります。
「電力会社」はどうでしょうか。「会社」=「company」はいいとして、「電力」はむずかしいですね。電気ですから「electricity」でしょうか? あるいは「thunder」? 正解は「power company」で、電力の「力」しか訳されないのです。
会社ついでに、「会社を経営する」はいかがでしょう。「経営する」ですから、「manage」でしょうか? 「企業統治」のようなイメージで「govern」でしょうか? なんと正解は「run」なのです。会社を走らせるイメージから、runには経営するという意味があるのです。
このような名詞とほかの単語の「上手い組み合わせ方」のことを「コロケーション」とよびます。複雑な単語を覚えなくても、かんたんな名詞とほかの単語を組み合わせることで、かなり幅広いものをいいあらわすことができます
コロケーションをマスターすれば、かんたんな単語の組み合わせでもむずかしい内容を表現することが出来るのです。
クリストファー・バーナード著『100の超基本名詞で広がる英語コロケーション2500』プレイス
この本は、コロケーションについてとてもわかりやすく解説されているので、おすすめです。むずかしい単語帳にいきなりとりくむ前に、ぜひ読んでみて下さい。
中学レベルの英単語・単語を上手に組み合わせることができれば、日常会話はもう問題ありません。最後に、自分が普段つかっている専門用語をいくつか覚えれば、すぐに仕事や学校生活で活かせるボキャブラリーの完成です!
まとめ
1. 中学レベルの単語を覚える
2. その組み合わせ方を覚える
3. 仕事や学校でつかう専門用語を覚える
この3ポイントをマスターすれば、完ぺきではなくても、十分な単語力を身につけることができます。よりむずかしい単語は、英語の本を読んだり、英会話をしたりといった実践の中で身につけることができます。まずは本当につかえる単語力を身につけ、積極的に英語を話していきましょう!
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