母音の前では「a」は「an」になります。「the」は「ジ」になります。こんなことを、中学生の時に習った経験はないでしょうか。
中学校一年生で習いますから、「当たり前だよね」と思われているこのルールですが、よく考えると不思議だと思いませんか?aやthe(冠詞と呼ばれることもあります)の発音を変えたって、意味は変わらないのに、なんでめんどうなことをするんでしょうか?
実はこれ、英語の「口の形」と関係があるんです。言語とは、人が使いやすいように進化していくものです。このような音の変化は「口に出しやすい音」「聴きとりやすい音」を求めた進化の結果なのです。
今回は、英語の音から、「当たり前」の英文法を見直してみましょう。長年の疑問がきっと解けるはずです!
「a apple」「a hour」って聴きとれますか? 使いにくい言葉は進化する
This is a banana.
(これはバナナです)
英語の一番最初の授業で習うのが、この「a」です。英文法の中では、「不定冠詞」と呼ばれたりしています。「数えられる名詞の前には、とにかくaをつけましょう」と指導されます。
ですが、これがバナナでなく、リンゴだったらどうなるでしょうか?
This is an apple.
(これはリンゴです)
「a」が「an」に変わってしまいました。このように、母音の文字(a, i, u, e, o)の前では「a」ではなく「an」を使いましょうと言うのが、授業で習う英文法の最初のルールかもしれません。
ですが、ちょっと考えるとおかしいものもあります。
It takes an hour.
(それには一時間かかります)
このように、「h」で始まる「hour」の前でも、「an」を使わなければいけないのです。「hour」は「h」で始まりますが、この「h」は読まず、「アワー」と発音しますよね?つまり、アルファベットの問題というより、「母音で始まる」ことが問題であることがわかります。
では、どうして母音で始まる前では「an」を使うのでしょうか?この疑問を解決するためには、まず口に出してみることが大事です。もし「an」を使わないと、どういう事になるでしょうか?
I have a apple.
まずはゆっくり発音してみましょう。発音のイメージは「アイ・ハヴ・ア・アッポー」です。読めましたか?意外に違和感がないですよね?では今度は、だんだん早くしてみましょう。
「アイハヴアアッポー」「アイハヴァアッポー」早く読めば読むほど、どんどん音が短縮されていきます。最後には「アイハヴァッポー」のようになってしまいます。これくらいが、実際の会話で使われるスピードです。
今度は「アイハヴァッポー」をくり返してみましょう。「アイハヴァッポー」「アイハヴァッポー」。これを周りの人に聴かせてみると、どんな反応が返ってきますか?
I have a apple.
I have apple.
どちらにも聴きとれてしまいませんか?この2つは、英語では全くの別物です。英語では、形のあるものには「a」か「the」が必要です。もしこれがなければ、「形がないもの」になります。そうすると、「I have apple.」はすりつぶしたドロドロのリンゴを持っているということになってしまうのです。これって、本来の意味とかけ離れていますよね?
母音のある単語の前に「a」をつけると、ナチュラルな速さで読んだときには「a」がついているのかいないのかわからなくなってしまいます。そうすると「形のあるものなのか?」「不定形でドロドロのものなのか?」がしっかり伝わらなくなってしまうのです。
「a」を使っている限り、この紛らわしさが残ってしまいます。だから英語は、「母音の前では「an」に変えれば、聴き取りやすいんじゃないかな?」と考えて、自分を進化させたのですね。
I have an apple.
これなら、どれだけ速く言っても「アイハヴァンナッポー」です。「アイハヴァッポー」とまったく違う音になります。
このように、言語は使いやすいように形を変えていくのです。
the apple とthe internetはちょっと違う?「出しやすい音」のルール
「the」の読み方も「母音の前」と「子音の前」で違うものの1つですね。母音の前では「ジ(舌を歯でかるく挟んで発音します)」になります。一方で、子音の前では「ザ」になります。これ、どうしてなんでしょうか?
「the」の「ザ」という音は、英語の「あいまい母音」で終わっています。あいまい母音というのは、「他のどの母音とも違う音」です。乱暴に言えば、何でもいい音なのです。
そのすぐ後に普通の母音が来てしまうとどうでしょうか?あいまい母音は他の母音と区別がしづらい音です。ですから、後ろに来ている音とすぐにくっついてしまうんですね。
The apple.
「ザ・アッポー」→「ザアッポー」→「ザッポー」のように、後ろの単語と合体してしまいます。これでは「ザ・アップル(=The + apple)」なのか「ザッポー(thepple)」という他の単語なのか区別ができなくなってしまいます。こういうトラブルを避けるために、「the」の読み方を変化させたんですね。
「the」の音を変えるのはわかりやすさのため、そう考えると、「ネイティブはザとジをそんなに区別していない」と言われる理由がわかります。伝わればどちらでもいいからです。
例えば、「on the internet」のようなフレーズをネイティブが言うのをよく聞いてみると、「ザ・インターネット」と読んでいる人もいます。この場合は「ジ」と「イ(ンターネット)」の音が似ているので、「thinternet」のように聞こえてしまうのを防いでいるのではないかと私は考えています。
大切なのは、言葉はコミュニケーションのために進化していくという考え方です。そう考えれば、1つの単語にいくつも読み方があるのも納得ではないでしょうか?
「He am a student」はなぜおかしい?口に出して確かめてみよう
最後は、be動詞の変化です。「I」なら「am」、「you」なら「are」、「he」や「she」なら「is」……どうして同じ意味のことばにたくさんの読み方があるのでしょうか?ここまで読んでくださった皆様なら、もうお分かりだと思います。
I are a student.
これを、ナチュラルなスピードで発音できるでしょうか。「アイアーアスチューデント」「アアーアスチューデント」「アヤーアスチューデント」……。これ、発音しやすいでしょうか?「アイム(I’m)」の方が圧倒的に発音しやすいと思います。
You am
He am
She are
実際に口に出してみましょう。どうして違う単語を使おうと思ったのか、すぐに理解できます。
英文法からわかる、発音の大切さ
英文法は、どうしても紙に向かって書く練習が中心になってしまいます。それがダメというわけではありません。でも、「こういうルールがあるから暗記しましょう」より、「このルールはこういう理由で存在するんだ」の方が理解しやすいことは言うまでもないと思います。
そんな時、まずはその言葉を口に出してみることが大切です。文法は細かいルールの寄せ集めです。その細かいルールは、多くが会話で使いやすいように作られています。ですから、口に出してみることで、そのルールがなぜ作られたかが想像できるようになります。そうすれば、丸暗記より一歩上の勉強法になるのです。
ルールが作られた理由を考えて、効率よい勉強を目指しましょう!
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