独学で翻訳したけど合ってる? 先生なしでもOKの「セルフ翻訳」の勉強方法

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周りにネイティブがいない、頼れる先生もいない、でも英語の表現力をつけたい。こんな時にはどうしますか? 昔の筆者もそうでしたが、英語を勉強しようと思っても、「人材」が足りないことがよくあります。

表現力アップの王道は作文ですが、チェックしてくれる先生がいないと、間違って覚えてしまいがちですよね。自分で適当に書いて、それで満足してしまうのも怖いもの。でもチェックしてくれる先生はなかなか見つからない……。

そこで今回は、完全に一人で出来る「セルフ翻訳」をご紹介します。独学で英語をマスターするために、ぜひトライしてみましょう!!

独学でできるセルフ翻訳とは?

a.英語を日本語に翻訳する。
b.その日本語を英語に翻訳しなおす。
c.どれくらいあっているか確かめる。

ある英語を日本語に訳して、今度は英語に直してみる。言語を「反復させる練習」がセルフ翻訳です。

ひとりでできるセルフ翻訳のメリットとは?

この勉強法のメリットは、第一に先生が必要ないことです。最初から「正しい英語」のお手本があるので、それに近づけさえすれば、先生を見つける必要はありません。

かんたんな例を出しましょう。

Hi, how have you been lately?

このことばを日本語に訳すとどうなるでしょうか?Hiは「おーい」「やあ」のようなあいさつのことばになります。「how have you been」は決まった言い方で、「How are you」のカジュアルなフレーズです。「lately」もよく使う英語で、「最近は」という意味です。あわせると…

おーい、最近どう?

こんなフレーズを、今度は英語に戻してみます。

「おーい」を「hi」、これは問題ないですね。「最近」は「lately」で、これは最後に来ます。もう日本語と順番が変わっています。「どう?」は日本語では一言で言えることですが、英語でしっかり言おうとすると「how have you been(どんなふうに、過去から今まで過ごしていましたか?)」というフレーズになります。こんなに短いフレーズでも、英語と日本語の違いがでていることがわかりますね。

このように、英語と日本語を往復しながら、英語と日本語の違いに気づいて、表現力をアップするのがセルフ翻訳です。

中学英語でセルフ翻訳してみよう

では、実際にチャレンジしてみましょう。まずは、中学英語でウォーミングアップをしてみましょう。「中学英語くらいは読めばわかるよ」という方でも、それを自分の手で書けるのかとなると別問題です。かんたんな英語ほど、意外に使えないもの。セルフ翻訳トレーニングでは、それに気づくことができます。

実際に中学レベルの英語を見てみましょう。

I have studied English for three years. Though it is not easy, I enjoyed it very much. I want to live in America in the future.

翻訳してみるとどのようになるでしょうか?

私は英語を三年間勉強しました。かんたんではないですが、とても楽しんでいます。将来はアメリカに住んでみたいです。

単語はむずかしくないので、日本語に訳すのはそんなに苦労しません。では今度は、元の英語が目に入らないようにして、日本語から英語に戻していきましょう。

私は英語を三年間勉強しました。かんたんではないですが、とても楽しんでいます。将来はアメリカに住んでみたいです。

私がまず迷うのは、「私は英語を三年間勉強しました」を、どんな形で言うのかです。「勉強した」ですから、過去形を使えばいいのでしょうか?過去形は過去の一点で起きたことを思い出すときに使い、現在までずっとやっていることは現在完了形(have+過去分詞形)で表わします。ここで、元の文章をがんばって思い出してみます。どちらを使っていましたか?そう、元の文章では現在完了形を使っていましたよね。

次に迷うのは、「とても楽しんでいます」ではないでしょうか?日本語では「楽しんでいます」だけでOKですが、英語では「何を楽しんだのか?」をはっきりさせないといけません。細かく言うと、「enjoy」が他動詞だからですね。ですから、「I enjoyed」だけでは足りません。「I enjoyed “it”」のように、目的語をはっきりさせることが大事になります。

最後に、「将来アメリカに住んでみたい」もちょっと迷いませんか?日本語では「将来」は一言で言えますが、英語では「in the future」と3つの単語で言わなければいけません。しかも、文の最後に来ます。(someday:いつかといういい方もできますが、実現しなさそうなニュアンスが出てしまいます)

このように考えながら、日本語をもう一度英語に「再生」してみましょう。

I have studied English for three years. Though it is not easy, I enjoyed it very much. I want to live in America in the future.

いかがでしょう。セルフ翻訳をする前と後で、この文への見方が大きく変わりませんか?ふつうに読んでしまうと流してしまうようなポイントが、意外にもとても面白いことがわかります。見逃すのはもったいない!これがいやでも目に留まるのがセルフ翻訳の強みです。

テスト問題でセルフ翻訳してみよう

英語を勉強する多くの方が、TOEICのような資格試験を目指していると思います。資格試験では、サッと英語を読んで理解することが必要ですね?特に、新しいTOEICのようにリーディングの負担の多いものはなおさらです。

資格試験の英語をはやく処理するには、ずばり慣れるのが一番です。そのためにも、セルフ翻訳が役に立ちます。例えば、こんな問題を想像してみましょう。


This discounted train ticket is ( ) only at certain times of the day.

a. valid
b. validate
c. validating
d. validation

(出典:国際ビジネスコミュニケーション協会『公式TOEIC Listening & Reading問題集3』, P42)

今回は、答えがどれかは関係ありません。さきに回答をみて、aの「valid」を入れてしまいましょう。

This discounted train ticket is valid only at certain times of the day.

中学英語より単語はむずかしいですが、辞書を引きながら日本語に訳してみます。

この割引の乗車券は、一日の特定の時間だけ有効です。

これをまた英語に直してみます。まず迷うのは、「割引の」です。日本語では英単語を使って「ディスカウントチケット」のように言うことができます。英語では、「割引をされた」ことをはっきりさせるために、「discounted」と受身にします。

次に迷うのは、「特定の」ではないでしょうか。「特定のなにか」を指すことばは、「special」「specific」などいろいろありますよね。ここではどのことばがいいのかな?と考えながら書いていけば、「certain time」という表現をおぼえやすくなります。

This discounted train ticket is valid only at certain times of the day.

この文章が「ぱっと見で」わかるようになるのは、表現力が伸びた証です。

まとめ

セルフ翻訳は、先生もネイティブスピーカーも必要ない、誰でも実践できるトレーニングです。今回は教材を中心に紹介しましたが、ニュースでも小説でも新書でも論文でも、自分が「使えるようになりたい」と思う表現の入った文章ならなんでも使うことができます。ネットや図書館が無限の教材に変わります。

やってみるとわかりますが、この勉強法は時間がかかるので、「文章全部やってみよう」と気合を入れ過ぎると、途中でいやになってしまうかもしれません。本当にマスターしたい表現に的をしぼって練習するとより効果的です。

無限の教材をうまく活用して、独学でも英語をマスターしましょう!!

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