「would」という助動詞を使ったことがありますか? 中学英語で登場する、助動詞「will」の過去形です。
「will」は未来をあらわすことが多いですよね。その過去形っていったいどういうことなんでしょうか? 私自身、長いこと悩んでいました。それって、結局過去なの?未来なの? どうしても混乱させられてしまいます。
今回は、そんなwouldの使い方を解説します。
「would」の英語の意味ってわかる?
「would」はまだ実現していない、実現しにくいものを表わす
wouldは助動詞willの過去形です。動詞の前において使います。英語では、助動詞の過去形は特別な意味を持っています。should, could, might, そしてwould、どれも、同じイメージを持っています。
それは、「まだ実現していない」「実現する可能性も低い」というニュアンスです。助動詞の過去形は、どれもこのニュアンスを持っています。そこから発展して、これから説明するたくさんの意味が生まれてくるのです。
例えば、「明日は雨が降りそうだ」というフレーズを考えてみましょう。明日は未来のことですから、willを動詞の前につけるのが普通です。
①It will rain tomorrow.
また、willの過去形のwouldも使えます。
②It would rain tomorrow.
このとき、wouldを使った②の文の方が、「降らないかもしれない」という気もちが多く入っています。wouldを使った方が実現する可能性が下がるのです。
助動詞の過去形wouldの使い方
過去から見た未来のwould
wouldの使い方の1つが、「過去から見た未来」のwouldです。「willの過去形」といわれたら、このwouldのことを指します。
She was still too young, but she would marry him.
(彼女はまだ若すぎたが、彼と結婚すると言ってきかなかった。)研究社『アルファ英文法』p457.
彼女が若かったのは過去のことですよね。彼女はその時から見て未来に、彼と結婚するつもりだったのです。こういうとき、wouldが使われます。
もしこれが今のことなら、wouldの代わりにwillが使われます。
She is still too young, but she will marry him.
(彼女はまだ若すぎるが、彼と結婚するつもりだ。)
このように、過去から見た未来はwouldで表わします。
wouldを使った否定文は「拒絶」
willは「意志」という意味の単語です。だからこそ、その過去形であるwouldの否定文は「気持ちの否定」になるのです。wouldの否定はwould notです。省略してwouldn’tと書くことも多いですね。
George wouldn’t say where he had picked up the information.
(ジョージはその情報をどこで入手したかどうしても言おうとしなかった。)研究社『アルファ英文法』p457
この文では、過去のジョージの気持ちについて触れています。would not sayで「言おうという気もちの否定」になりますから、「言おうとしなかった」となるのです。この時、主語が生き物でなくてもwouldを使うこともあります。
無生物にもwouldが使える
「気持ちの否定」というと、生き物にしか使えなさそうに見えます。ですが実際には、生き物以外が主語になっている時でも、wouldを使うことができるのです。次の例を見てみて下さい。
The paint wouldn’t stick to the wallpaper.
(ペンキは壁紙にうまくつかなかった。)研究社『アルファ英文法』p457
「ペンキの気持ち」というのもちょっと変な感じですが、日本語でも「うまくくっついてくれなかった」といういい方ができますよね? ペンキに気持ちがあるような感覚で使えるのです。
「やりたい」にも使えるwould
wouldは意思を表しますから、「やりたいこと」にも使えます。
What would you like to do today?
(今日は何をしたいですか?)
「would like to do ○○」で、「○○したい」という意味に使えます。「want to」に似ていますね。これも、wouldが意志の意味をもっているから使える用法です。
wouldはお願いにも使える
wouldはていねいなお願いに使えます。
Would you put out your cigarette? This is a no smoking area.
(タバコの火を消していただけますか。ここは禁煙です。)
wouldには「意志」のニュアンスがありますから、「would you ○○?」は「○○する意志がありますか?」という意味になります。willにも同じく「意志」の意味があるので、「will you○○?」も同じように使えます。
Will you put out your cigarette?
(タバコ消してくれない?)
wouldが持っている「あなたに選択権があります」のニュアンス
wouldには「仮定」のニュアンスがあるのに対して、willにはそれがありません。後でご紹介する通り、wouldは仮定法で使うことができます。仮定法とは「これは現実ではない」というニュアンスを出すことです。
would(他の助動詞の過去形も含む)には、「これはまだ現実になっていません」というニュアンスがあります。そのため、「まだ現実になっていないので、選択権はあなたにあります」というていねいなニュアンスが出てくるのです。「タバコを消すか消さないか、あなたが決めてくださって大丈夫ですよ」という感じですね。
「たぶん○○じゃないかとおもいます」もwouldで言える
wouldを使うと、話し手の「こうじゃないかな?」という推測を表せます。
Profit would increase in the new fiscal year.
(新会計年度では、利益が増加するだろう。)研究社『アルファ英文法』p459
実は、willを使っても同じく推測することができます。
Profit will increase in the new fiscal year.
(新会計年度では、利益が増加する。)
willとwouldの違いは、どれくらい確信しているかです。willを使うと、かなり強い確信になります。それと比べて、wouldはもう少し控えめな推測です。wouldの持っている「実現する可能性が低い」というニュアンスが、推測の強さを変えてしまうのですね。
「実現しなさそう」のwould
最後にご紹介するのは、仮定法のwouldです。wouldのような助動詞の過去形は、「実現しなさそう」「仮の話だけど」というニュアンスを持っています。仮定法はそのニュアンスを最大限に使った表現です。
仮定法とwould
If I were rich, I would live in a better apartment.
(私が金持ちならもっといい部屋に住むのになあ)
仮定法は、「主語+動詞の過去形, 主語+助動詞の過去形+動詞」で作られます。ややこしいですが、今回大事なのは、後半の動詞には必ず「助動詞の過去形」が必要だということです。
私が金持ちでないことは、他でもない私がいちばんよく知っています。それでも「もし金持ちだったら」と想像するのが仮定法です。この時、文の後半にはwould(または他の助動詞の過去形)が使われます。「現実じゃない」というニュアンスを出すために、wouldが必要なのです。
実現しなさそうなこと=wouldで表わす
If I won 100 million yen in the lottery, I would travel around the world.
(宝くじで1億円当たったら、世界一周旅行に行くのになあ→当たるわけない)
wouldには、これは「実現する可能性が低い」というニュアンスがあります。ですから、起こらないとわかり切っていることについて言う時には、wouldが使われやすくなります。if文でなくてもそのニュアンスがありますが、if文ではより色濃く出てきます。
あわせてみると
・今の状況と反対のこと
・0%ではないとはいえ、起こりそうもないこと
について触れるときにはwouldを含んだ仮定法をつかった方がよくなります。
wouldの英語表現を知った次は…
しかしいろんな使い方をすべて暗記するのは現実的ではありません。頭で理解したものを使えなければ意味がないのです。
「would」の英語表現について「なるほど納得した!」と理解できたなら、今度は英語を「使う」ことにもチャレンジしてみましょう。
「使い方」に悩んでしまうという方は、レアジョブ英会話の無料体験レッスンを活用してみてください。
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