現在社会人として働いている方が学生の頃、英語の授業はリーディングが中心で、英文中のわからない単語を辞書で調べる学習を当たり前のように経験されてきたと思います。そのため、「辞書はわからない単語の意味を調べるもの」というイメージを定着している人が多くいます。
また、この「辞書引き学習」を退屈に感じた学習者の中には、「辞書」に対してマイナスイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。今回はそんな「辞書」を英語学習において効果的に使う方法についてお話しします。
「語彙力」には2つの種類があることをまず理解
英語学習において「語彙力」は常に話題になります。しかし、その「語彙力」というものには2つの種類があり、その認識不足のため、英語学習の効率が悪くなってしまうパターンがよくあります。
英語の語彙(Vocabulary)は2つに分類されます。アクティブボキャブラリー(Active Vocabulary)とパッシブボキャブラリー(Passive Vocabulary)です。簡単に言えば、アクティブボキャブラリーとは「会話で使える語」、パッシブボキャブラリーとは「意味が分かる語」のことです。
例えば、英文を読んでいて意味の分かる語は全てパッシブボキャブラリーとなります。英語学習者の多くは、「語彙力」=パッシブボキャブラリーと考えてしまう傾向があります。
一方、感謝の意を相手に伝えたい場合、ほとんどの人は”Thank you very much”というフレーズなら思いつくはずです。つまり、”Thank you very much”はほとんどの人にとってアクティブボキャブラリーなのです。
しかし、”I really appreciate your assistance”(Thank you very muchとほぼ同意)というフレーズの意味は分かるけど、使うことができない、思いつかない、という人もいるかと思います。この場合、”I really appreciate your assistance”はパッシブボキャブラリーとなるのです。
いうまでもなく、「英語が話せるようになるため」にはパッシブボキャブラリーをアクティブボキャブラリーに変えていく学習が必要になります。このような学習に「辞書」が大きく役立つのです。
英語を使えるようになるためには「和英辞典」を徹底活用
英語の辞書は「英和辞典」「和英辞典」「英英辞典」の3つに大別できます。この中で「英英辞典」の利用についてですが、英語を教える立場の人たちの中でも賛否が分かれます。
よくあげられるメリットとしては、「多くの英語に触れることができる」「英語の語感が身につく」「英語を英語で理解できる」・・・などがあります。
しかし、私の個人的な考えでは、ある程度の英語力を有するまで(TOEIC800点、英検準1級レベルまで)は無理に使用すべきではないと思っています。
英英辞典を使うと、どうしても時間がかかってしまうからです。特に時間的な制約の多い社会人の方にはなおさらのことだと思います。
つぎに「和英辞典」についてです。まず、英語を話せるようになるための「パッシブボキャブラリー」→「アクティブボキャブラリー」の流れは理解していただけたと思います。
これを踏まえ、自分のアウトプット学習の中で表現できなかったフレーズ(日本語から英語に変換できなかったフレーズ)を具体的に一つ一つ覚えていくのです。
実際に和英辞典を引いてみればわかりますが、その表現できなかったフレーズは自分のパッシブボキャブラリーであることが多々あるのです。単純なことかもしれませんが、アクティブボキャブラリーを増やしていく唯一の学習法がこの地道な学習となります。
英和辞典では「意味」と「用法」をチェック
さいごに「英和辞典」についてです。
冒頭に書いたとおり、学生時代に英和辞典を使って、「辞書引き学習」の経験のある方は、辞書を使用するシチュエーションを「わからない単語に出会ったとき」という考えから抜け出せずにいます。
確かに活用法の一つではありますが、「英語を話せるようになるため」にもっと大切なことがあります。
自分がアウトプット学習をしている中で、曖昧だった語の用法はなんとなくで済ませず、一つ一つ英和辞典でチェックしておくことが大切です。
例えば、アウトプット学習としてオンライン英会話を受講中に、「フィリピンに大きい台風が近づいているね」と表現しようとしています。この場合、”A big typhoon is approaching ・・・to Japan ?” “Japan ?” (正解は”A big typhoon is approaching Japan.”)となる場合があります。
こういった場面で、辞書を使って一つ一つの用法を学習していくのです。こうして自信のある表現を増やしていくことがアクティブボキャブラリーの増加につながります。そしてこれこそが「英語が話せるようになるため」にたいへん効果的な方法なのです。
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