英語を勉強していて「萎える」のはいつでしょうか? 私は、せっかく勉強したことを忘れてしまった瞬間だと思います。
この単語この間調べた! でも意味が思い出せない…。この単語、確かこういう意味だったよね? あれ、辞書を引いたら全然違った…。語学を勉強すると、こんなことの連続ですよね。
今回は、「英語すぐ忘れる問題」の対策を考えます。
英語を忘れるのは仕方ない
一度勉強したことは、二度と忘れないようにできたらいいのに。私自身いつもそう思います。でも、現実的ではないですよね。
人間の脳は、覚えたものは忘れるようにできています。いくら努力したとしても、忘れてしまうのは仕方ないことです。
大事なのは、「きっと忘れちゃう、ならどうしよう」と対策していくことです。
どんな達人でも英語は忘れる
私は言語教育研究の世界にいるので、周りには何人も語学の達人がいます。日本の英語教育を引っ張る立場の先生、10以上の言語をビジネスレベルで使える先生、そんな方たちと毎日お話をします。私自身も、一応は英語と中国語をかなりのレベルでマスターしているつもりです。
でも、達人も日々語学を忘れていきます。「あれ英語でなんて言うんだっけ?」なんていうことばが、毎日飛び交っています。私もつい先日、友人と英語を話していて、「ごめん、『七月』って英語でなんて言うんだっけ」と聞いてしまいました。
教師でも言語学者でも、英語は忘れていくもの
実は、語学教育の研究でも、「言語は忘れるものだ」というのが前提になっています。
たとえば、A教育法という全く新しい教え方があるとします。実際に教えてみて、A教育法を使ったほうがテストの点数が断然良かった。新発見だ! でも、実験はこれでは終われません。どうせすぐ忘れてしまうからです。
一週間後にテストして、どれだけ覚えているかを調べます。無理に詰め込んでもすぐ忘れてしまいます。「その瞬間だけ」英語力が上がっても意味がないですよね。ちゃんと定着できて初めてよいデータになります。
語学教育研究も、「語学は必ず忘れるんだ」ということを前提にしています。
英語を忘れるのを防ぐ勉強法は?
英語は必ず忘れるものです。でも、せっかく勉強するなら少しでも長く・たくさん覚えていたいですよね。
残念ながら、絶対に効く対策は今のところありません。ですが、工夫次第で暗記力をアップできるはず。今回は、私が実践している勉強法をご紹介します。
どうせ英語を忘れるなら:出会った単語を記録しよう
暗記は「出会い」で決まる。以前使っていた単語帳にこんなことばが書いてありました。「10回出会えば、その単語は覚えられる」
確かにその通りですが、せっかく出会った単語も、その場で忘れてしまったら意味がありません。使いたいものはどんどん書き留めておきましょう。とはいえ、いつも紙やスマホに記録するのも面倒ですよね。
そこで私が最近やっているのは、自分の勉強を動画にするという勉強法です。
パソコンの画面をキャプチャーして、マイクをつけて勉強します。ネットの記事でbleak future(暗い未来)というフレーズを初めて見ました。「bleak futureで『暗い未来』なんだー」とつぶやきつつ、オンラインの辞書を引きます。
あとで動画を見返すと、自分がわからなかった単語の意味を「過去の自分が」教えてくれます。辞書の画面のおまけ付きです。やっているのは録画ボタンを押すだけなので、本当に手軽です。
忘れないためには、ラクしてできる工夫を積み重ねるのがとても有効だと思います。
どうせ英語を忘れるなら:できるだけ使ってみよう
プロでも英語は忘れますが、それでもプロレベルの語学力をキープできています。なぜかといえば、やっぱり使っているからです。語学は使えば使うほど記憶に残ります。なんだかんだ言っても、実際に話す以上の勉強法はありません。
日本に住んでいる以上、英語を使う機会はほとんどないと思います。それでも、日記を吹き込む・音読するなど、口を動かすことを大事にしたいですね。
どうせ英語を忘れるなら:忘れるのは当然のこと。ある程度はあきらめよう
英語を忘れるのはもう仕方がないことです。語学のプロですら忘れるのです。忙しいビジネスパーソンの方であれば、ずっとキープできているほうが不思議なくらいです。
「忘れないようにしないと!」と自分を責めていると、逆に英語への心のハードルが高くなってしまいます。語学は結局、続ければ続けるほど上手くなるのです。英語がイヤになってしまったら元も子もありません。
英語は忘れるもの、ある程度はあきらめも肝心かもしれません。
使わなければ英語は忘れる
英語が公用語の地域があります。例えばインドやフィリピンや香港です。こういう場所に住んでいる人は、あまり英語を忘れません。なぜかといえば、やっぱり英語を使っているからです。
私たちが英語を忘れてしまう理由は、使わなすぎることだと思います。
英語を忘れないためには使うこと
日本に住んでいると、英語を使わないのが当たり前です。英語を使うためには、努力してチャンスを探さないといけませんよね。では、そのチャンスはどこにあるのでしょうか。
英語でSNSに投稿したり、オンラインゲームのチャットに参加したり、英語を使うことだけならそんなにむずかしくありません。でも、ネットの英語はスラングも多く、ビジネス英語とは違います。仕事で使えるような英語を身につけるには工夫がいると思います。
英語を忘れないためのオンライン英会話の使い方
オンライン英会話のサービスを使うのも一つの手だと思います。英語教育が専門の先生たちと、定期的に英語を使ってみることができるからです。新しいフレーズとの「出会い」も一気に増えます。
英語教育のトレーニングを受けた先生たちですから、公の場所で使いにくいようなフレーズはしっかり区別して教えてくれます。覚えた英語がすべて「使える英語」になるのです。目的がビジネスなら、ネット上の怪しい英語は見ずに、プロに習うべきだと私は考えています。
まとめ
勉強しても忘れてしまう問題には、「これ」という答えはありません。私の場合は、動画撮影勉強法がうまくいっていて、最近は新しいことばを忘れなくなってきています。
大事なのは、「英語は必ず忘れる」と理解して、自分を許すことだと思います。その上で、できるだけラクに続けられるコツを見つければいいのです。できるだけ英語を使ってみるのも、もちろん大切ですね。
「英語すぐ忘れる問題」。この永遠の課題を、一緒に乗り越えていきましょう。
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