働き方改革が推進され、従来の「働き方」が大きく変容しようとしています。
効率的に生産性を上げることができ、また通勤負担を軽減できるということで、海外ではもちろん日本でもテレワーク導入を検討する企業が増えつつあります。
欧米では普及率が年々高まりを見せていると言われていますが、日本ではまだまだ「新しい働き方」というイメージが強いのではないでしょうか。
そこで今回は、働き方の新しい主流となりつつあるテレワークの海外の動向と併せてテレワークに関連するお役立ち英語フレーズを学んでいきましょう。
テレワークとは?
最近メディアでも頻繁に取り上げられるようになった「テレワーク」とはどういう意味か説明できますか?
まず「テレワーク」とは何か、その起源、そして日本に導入された背景について確認してみましょう。
起源はアメリカ
テレワークは、英語の「telework」をそのまま使っており、「離れたところ」を意味する「tele」と「働く」を意味する「work」を組み合わせた造語です。
在宅勤務やリモートワークと同じような意味で使われていますが、自宅でなくとも勤務先以外で働くスタイルということで、テレワークという言葉が多用されています。
起源は1970年代のアメリカにあります。通勤によって発生する交通渋滞による大気汚染の緩和とエネルギー危機対策としてロサンゼルス周辺で始められたといわれています。
日本で導入されたのは1980年代
日本で最初にテレワークを導入した企業として有名なのが、大手電機メーカーのNECです。当時、通勤負担の軽減を目的に、本社・支社以外の場所にサテライトオフィスを設置したことが始まりです。
1980年代後半から1990年代にかけて、地価の高騰が進み、都心部の大規模オフィスを構えずに、サテライトオフィスを設置するようになりました。ただインターネット環境の整備が整っていなかったこともあり、テレワークの形態の普及には至っていませんでした。
その後ITインフラが整い、テレワークへの注目度は高まっていますが、情報セキュリティや労務管理の懸念から導入に踏み切れない企業が多いのが現状です。
新しい働き方のモデル
従来一般的な定時とされる時間帯にオフィスで勤務することが「働く」こととされてきました。少子高齢化が進む中、労働人口の減少の対策として「働き方に多様性をもたせる」施策が企業にも推進されています。
子育てや介護で通勤が難しい人にも、自宅から時間を選ばず勤務ができるなどあらゆるメリットもあり、テレワークはこれからの日本、そして世界における新しい働き方のモデルとして認知される見込みがあるといえるでしょう。
アメリカにおけるテレワークの動向
テレワークの実情を知るために、海外における動向を確認してみましょう。
まずは、テレワーク 発祥の地アメリカにおける、テレワーク事情についてご紹介します。
法律をもって推進される働き方
人事管理の専門家の非営利組織「WorldatWork」が2015年に発表した統計によるとアメリカにおけるテレワーク導入率は85%とあります。
同年度の日本における導入率は16%程度であることと比較すると、かなり高い普及率です。
この背景には、「テレワーク強化法」という法律があるように、政府が主導してテレワークを推進していることが挙げられます。
アメリカ同時多発テロ事件以降の機能分散化の動き
アメリカでのテレワーク普及率の要因には、そもそもテレワークを導入しやすい企業体制があります。
2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、想定できない非常時でも企業を機能させるための「機能分散化」を図るという意味でも、テレワークの重要性が社会的に認知されているといえます。
「継続性」を意識したNew Normal
海外では「sustainability(サステイナビリティ)」という言葉があらゆる場面で重要視されています。「sustainability」とは、「持続可能性」と日本語では表現されており、システムなどが持続できるかということです。
企業として、従業員が最大限の生産性を出すため、いかなる世界情勢においても持続可能で継続性のある「働き方」を想定することが求められています。
テレワークは、継続性を意識した「New Normal(新しい日常)」として、アメリカでは受け入れられているようです。
イギリスにおけるテレワークの動向
労働時間短縮の取り組みが進んでいるヨーロッパでは、テレワークの動向はどのようになっているのでしょうか。
ここでは、イギリスにおけるテレワークの動向についてご紹介します。
「フレキシブル・ワーキング法」が推進する働き方
イギリスでは、ワークライフバランスに対する意識は高く、勤務体制や労働時間に対して従業員が働き方の権利を主張できる「フレキシブル・ワーキング法」という法律が定められています。
柔軟な働き方を実現するために、時短勤務など多様な選択肢があることから、アメリカのようなテレワークの普及率はなく25%程度にとどまりますが、働き方の自由度が元来高いといえるでしょう。
「テレワーク」と「ホームワーク」の違い
イギリスでは、「テレワーク」よりも「ホームワーク」という言葉が多用されています。
簡単にいうと、「オフィス外勤務」と「在宅勤務」の違いです。「homework(ホームワーク)」以外にも「WFH(Work From Home)」という表現もあります。
表現の種類の多さからも、社会的な定着率の高さを感じますね。
ロンドンから本社移転する動き
世界的にテレワークが主流化する中、イギリスでは企業がオフィスを閉鎖したり、首都ロンドンから地価の安い郊外にオフィス移転したりする動きが進んでいます。
場所を選ばず仕事ができるのであれば、個々のパフォーマンスを最大限に引き出せる環境を選ぶことが効率的だという考え方が広がり始めているようです。
移動に制限がかかるといった、今まで想定されていなかった事象が起きたからこそ、よりフレキシブルな(柔軟な)働き方が、イギリスでは主流となっていくのではないでしょうか。
テレワークに関連する便利フレーズ
世界的にテレワークが普及することで、海外とのビジネスも変容していくと考えられます。
日本にいながらにして、海外のチームと一緒にプロジェクトに取り組む日も近いかもしれません。
ここでは、グローバルなテレワークには欠かせない便利フレーズを学んでおきましょう。
I’m working from home this week.
(今週は在宅勤務です。)
ここで「telework」を使って「teleworking」とすることも可能です。
同僚などに対してはカジュアルに「WFH」を使って、「WFH this week」といった表現も使えるので、併せて覚えておくと便利ですね。
Why don’t we set up a video conference?
(テレビ会議を設定しましょう。)
まず「〜しましょうか」という意味をもつ便利フレーズ「Why don’t we〜?」を使いこなせるようにしましょう。提案の表現として使い回すことができます。
テレビ会議は、「video meeting」や「TV meeting」という言い方や、会議システムの「Zoom」や「Skype」をそのまま使う言い方もあります。
例えば、「Can we have Zoom next week?」のようにシンプルに使えます。
My connection is unstable.
((テレビ会議中)接続が不安定です。)
環境によっては、回線が不安定になってしまうこともよくあります。そういう時も、焦らずにこのフレーズを使いましょう。
他には、「We have a bad connection here.(ここは接続が悪いですね)」という言い方も便利です。
Can you hear me?
((テレビ会議中)音声が届いていますか?)
ここで注意したいのが、「聞く=listen」という暗記にしばられないことです。この場合は「聞こえる」を意味する「hear」を使います。
カメラの調子が悪い時は、「Can you see me?(画像が届いていますか?)」という表現で確認しましょう。
Please speak one at a time.
((テレビ会議中)一人ずつ発言するようにしてください。)
テレビ会議中は発言のタイミングがつかみにくく、ファシリテーターを任されている時には困ってしまうこともありますよね。
そんな時に使えるのが、「一度に一人」という表現「one at a time」を使ったこのフレーズです。
最近ではテレビ会議マナーとして、自分が発言している時以外はマイクをミュートにするというものもあるので、テレビ会議にはスマートに参加しましょう。
まとめ
新しい働き方として、世界的に注目度が高まっているテレワーク。今後さらなる進歩を見せ、ビジネスマンは対応力や柔軟性が求められるでしょう。
テレワークが広まる理由を理解することで、あなたのパフォーマンスを最大限にする働き方としてテレワークを活用できるかもしれません。
今回ご紹介した世界の動向やテレワークで使える英語フレーズが、あなたのビジネススキルの基礎力になりますように。
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