洋書一冊を渡されて、「これ来週までに読んでおいてね」と言われたら、どこから手を付けますか? 生活の中で英語を使うようになると、速読力は必須スキルです。今回は、英語を高速で読める読み飛ばし術を紹介します。
英語を速読するなら「手を抜く技術」が大事
大量の英語を読むとき、大事なのは上手に手を抜く方法です。具体的な方法に入る前に、速読に必要な考え方をかんたんにご紹介します。
大量の英語は速読で片づける
英語の文章を読むスピードを測ったことがありますか? 一文字一文字追っていくと、一ページに何十分もかかってしまいますよね。TOEICやTOEFLなど、リーディングが重いテストを受けたことのある方は、「全部を読むのは無理」だと体感されたことと思います。
文章は、全部が均等に大事なわけではありません。だからこそ、読まなくていいところを飛ばしてしまう技術がたくさんの文章を処理するのに必須なのです。
英語の速読は要点を見極めるトレーニング
速読とは、読まなくていいところを捨てて、大事なところだけに注目するテクニックです。つまり、速読ができる人は「文章のどこが大事か一瞬で見抜ける」力があるのです。
英語力を磨くためにも、速読のトレーニングが大事なことがわかります。速読はただの読むテクニックではありません。英語力そのものを鍛えるトレーニングでもあるんです。
英語の速読テクニック「スキャニング」でキーワードだけを拾おう
最初に紹介するのは「スキャニング」というテクニックです。スキャニングは、特定のフレーズだけを探す読み方です。「この単語に注目しよう」と思ったら、その単語だけをひたすら探します。
スキャニングは特定の英語だけを拾う速読法
分厚い本を渡されて、「会社について」調べてくださいと言われたとします。今回のキーワードは「会社」ですよね。英語ではcompanyです。スキャニングでは、まず文章に一気に目を通します。スキャナーで文章をスキャンするようなイメージです。
companyという単語が出てきたら、印をつけて、その前後だけを読みます。
①キーワードを見つける。
②キーワードの周りだけを読む。
これがスキャニングの基本です。
英語を速読するならキーワードを見つける
単語を探すのに慣れてきたら、次は言いかえフレーズも探してみましょう。
英語では、同じ単語だけを連続して使うことは少ないです。「会社」なら、companyだけでなく、businessやcorporateのようなフレーズも同じ意味で使われています。
companyという単語の周りだけ読んでいたら、もっと大事な内容がbusinessの周りに出ていた……ということは珍しくありません。スキャニングを極めると、フレーズの言いかえを探す力が鍛えられるのです。
英語の速読のカギは「言いかえ力」?
例えば、ある資料の中で「日本に関係がある部分だけを読みたい」とします。最初のキーワードは何ですか? もちろん、Japanです。でも、日本の言い方が一通りとは限りませんよね。どんな言い方が想像できそうですか?
Asia, East Asiaなど、地域単位での呼び方もあります。また、Japaneseのように形容詞で呼ばれることもあります。場合によっては、the countryのように遠回しに呼ばれることもあるでしょう。
スキャニングで大事なのは、「キーワードを設定する力」「キーワードの呼ばれ方を想像する力」なのです。
①キーワードを選ぶ。
②キーワードの言いかえを複数パターン想定する。
③キーワードを探す。
上級者になると、この三段階で一気にスキャンできるようになります。一文字一文字読んでいくのとは大きな差ができますね。
英語の速読第2のテクニック「スキミング」で必要なところだけを掬い取る
第2のテクニックは「スキミング」です。スキミングでは、その文章の重要な部分を探して、そこだけ読んでいきます。特定の「単語」を探すのではなく、自分に必要な「場所」だけをさっと拾い読みするテクニックですね。
英語のスキミングは「上澄みをすくう」速読技
スキム(skim)は、スプーンで上澄みを掬う動作です。牛乳から栄養のある所を抽出した「スキムミルク」という食べ物がありますよね。スキミングは、その文章の中でも価値のある所を抽出するような読み方です。
英語を速読するために「英語の文章構造」を見抜くテク
「価値のあるところ」って一体どこでしょうか。見抜くためには、英語の文章の構造を知っている必要があります。
書き手の気持ちになって考えてみましょう。大事な内容はどこに書きますか? 大事なところ=読んでほしいところ、だったら、目立つ場所に書きたいと思いませんか? 文章の真ん中にぽつんと書くとは考えにくいですよね。大事だからこそ、目立つ位置に書いてあるのが常。
具体的には、「要約」部分と、「段落の頭と最後」に重要な情報が集まってきます。
英語の速読、最初に読むのは「要約」!
硬い本ですと、「要約」や「結論」というパートがあります。「abstract」や「conclusion」と書かれていることが多いです。文章全体の中で、特に大事だと作者が思っていることがここにまとまっています。使わない手はありません。「要約」には文章全体のポイントが、「段落の始めと終わりの一文」にはその段落のポイントが書かれています。
私のやっている具体的なスキミングの手順は以下です。
①要約を読む。
②その内容を頭に入れて、段落の始めと終わりを読む。
③段落の始めと終わりの周りをざっくり読む。
まず要約部分を読んで、その文章の言いたいことをなんとなく理解しておきます。これで理解度1になりますね。次にそれぞれの段落の始めと終わりを読みます。理解度2です。ここまでくると、その文章の要旨の6・7割は理解できています。追加で段落の始めと終わりの周り(前後数文)を読めば、大事なところをかなりすくい取れています。
段階的に理解度を深めていくのがスキミングのコツです。
まとめ
速読ができるのは、単に英語を読むのが速いからではありません。どこが大事でどこが大事でないのかわかっているから早く読めるのですね。スキャニングでは言いかえ力が、スキミングでは文章構造への理解度が試されます。速読が出来れば、英語をよく知っていると言えるのです。
英語の構造をつかんで、大量の英語にもひるまず立ち向かえるようになりましょう!
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