自分を律し禁欲的に行動することを意味するストイック。パッと思いつくストイックな人のイメージは野球のイチロー選手に代表されるトップアスリートではないでしょうか。
ストイックは普段の会話でも「あの人はストイックだからダイエットに成功した」「もっとストイックに勉強に打ち込まないと」など、ちょくちょく耳にする言葉です。
この記事では日常で何気なく使っているストイックの語源や意味、英語のストイックの意味との違いや使い方について解説します。
ストイック(stoic)とは?
ストイックという言葉は英語のstoicがカタカナになったものです。一般に広く浸透している言葉ですが、その語源や元々の意味などをきちんと説明できる人はあまりいないのではないでしょうか。
日本語のストイックと同じ感覚で英語のstoicという言葉を使ってもうまく通じません。それではstoicの本来の意味と日本語との違いについてみてみましょう。
stoicの語源
ストイックという言葉は、ギリシャのゼノンが始めたストア派に由来しています。
紀元前304年頃、商人であったゼノンは貿易航海中に難破してしまいました。全てを失った彼は哲学者クラテースとスティルポンに出会います。そこで哲学の教えを受けたことが彼の人生を変え、塗装されたポーチを意味するストア・ポイキレで哲学を説くことになります。
ストア派という言葉はこのストア・ポイキレから来ています。
彼の信奉者はゼノニアンと呼ばれましたが、彼の設立した哲学学校はほかの学校・宗教と異なりゼノンという名前を持つことはありませんでした。このことは、「理性に従い情動から解放されること」を説いたゼノンの謙虚さの表れとして讃えられています。
stoicの本来の意味
本来のstoicの意味は自己修練を通して賢者としての幸福を追求することです。ストア哲学(stoicism)の4つの美徳として勇気、忍耐、正義、知恵があります。困難には勇気を持って立ち向かい、正しい方法で忍耐を持って適切に対処し、自分が信じることに正義を持ち、広い心で知恵を身につけることが大切とされています。
現在のstoicの意味と日本語のストイックの意味の違い
現在の英語のstoicの意味は本来の意味の一部が切り取られ、「感情を表さず、辛いことがあっても文句を言わないこと」という意味で使われます。一方、日本語では継続的・集中的に目標に向かって鍛錬することという意味合いで使われ、どちらかというと本来の意味に近い使い方がされています。
なお、ストア派は大文字のStoic、形容詞・名詞の「ストイックな」「ストイックな人」はstoic、ストア哲学はstoicismです。現代でstoicが「感情を表さない」という意味で使われているのと同様に、stoicismも同じ意味でstoicの名詞として使われています。
英語の記事になりますが、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
日本語のストイックに近い意味で使われる英語表現
日本語の「ストイックな=自己に厳しい」と同じような意味をもつ英語の表現には次のようなものがあります。
strict with oneself
「自分に厳しい」という形容詞のstrictを使います。自分自身に厳しいのであれば、strict with myself、彼(彼女)が自分に厳しいというのであれば、strict with himself (herself)となります。
I don’t feel like studying tonight. But I do anyway because I’m strict with myself.
(今夜は勉強する気にならないけど、私は自分に厳しいから勉強する。)
She’s very strict with herself. She reads every night no matter how tired she is.
(彼女は自分にとても厳しい。どんなに眠くても毎晩本を読む。)
be disciplined
「鍛錬する」「鍛える」という意味の他動詞disciplineの過去分詞を使った表現で、自分を律して行動する様子を表します。
His children are very disciplined.
(彼の子供達は規律が行き届いている。)
He is disciplined.
(彼は自らを律している。)
hard on oneself
strict with oneselfと同じく、対象に対して厳しく接することを意味します。
strict with oneselfとの違いは、strict with oneselfが「自己を律するために厳しい態度をとる」ということに対し、hard on oneselfは「高い基準を持っているために、必要以上に厳しく批判的な態度をとり、結果よりミスにフォーカスする」ということにあります。
例えば周りがどんなにすごい!と思っていても「自分はまだまだ」と努力し続け自分に批判的な人に対して使われます。
You did great. Don’t be so hard on yourself!
(頑張ったね。そんなに自分に厳しくしないで!)
You shouldn’t be so hard on yourself.
(そこまで自分に厳しくなくてもいいんじゃない。)
stoicを使った英語の例文
すでに現代の英語のstoicは本来の意味と離れて「辛くても感情が表に出ない様子」という意味で使われることを説明しましたが、理解を深めるために、実際にどのように使われるのかいくつか例文を見てみましょう。
We knew she must be in pain, despite her stoic attitude.
(自分の感情を殺しているが、私たちは彼女が苦しんでいることがわかっていた。)
(引用:Cambridge Dictionary)
He is somewhat stoic as he speaks of his past.
(彼は過去の話をするとき、やや無表情だ。)
(引用:Cambridge Dictionary)
They tried to be as stoic as their parents in this tragic situation.
(この悲劇的な状況において、彼らは両親と同様に感情を表さないようにしていた。)
(引用:Collins Dictionary)
まとめ
もともとは英語が日本語になった「ストイック」ですが、現在の英語のstoicは本来の意味を全く失っている一方、日本語のストイックの方が本来の意味に近い状態で現在も使われているのは興味深いですね。
Don’t be so hard on yourself.(そんなに自分に厳しくならないで)は英会話で非常によく使われます。ストイックに努力し続け、なかなか自分に満足しない人だけではなく、「私なんて全然ダメ。あんなに努力したのに」と自分を批判する発言をして落ち込んでいる人にも励ます意味で使います。ぜひ覚えておきましょう。
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