英会話の上達には日常でよく使われる単語を数多く知っていることも大切ですが、それと同じくらい熟語やイディオムの知識が必要です。日本語で「鼻が高い」「猫の手も借りたい」「瓜二つ」といった慣用句が使われるのと同じように、英語にも決まったイディオムがあり、ネイティブは日常会話で頻繁に使います。
この記事ではイディオムと英熟語の違いや覚え方についての解説とともに、よく使われるイディオムをいくつかご紹介します。イディオムと英熟語の違いがよくわからなかったり、覚えるのが難しいという方はぜひ参考になさってくださいね。
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もくじ
- ●イディオムとは
- ●よく使われるイディオムの例
- ●まとめ
イディオムとは
イディオムと英熟語の違いと覚え方についてみていきます。「イディオムってなに?」と聞かれてもすぐに答えられる人は多くありません。ここでしっかり知識を整理しておきましょう。
イディオムと英熟語の違い
英熟語とイディオムは混同されがちですが、次のように明確な違いがあります。
・英熟語:動詞+前置詞あるいは副詞で構成される2語以上の言葉。例えば、go down(降りる)、get up(起き上がる)、look like(〜のような)など
・イディオム:2語以上の特定の順序で並んだ単語の集まりで意味をなす。近い表現はあっても、英語に特有の表現で他の言語にそのまま訳せない。例えば、a piece of cake(簡単)、rain cats and dogs(どしゃ降り)など
イディオムはなぜ必要か
日常会話でイディオムは大変多く使われますの。元の単語の意味とは全く違うものも多く、知らないと話がわかりません。日本語でも「顔が広い」「ミイラとりがミイラになる」「鬼が笑う」などの慣用句がたくさんありますが、全く使わずに全ての会話や文章作成を行うのは困難ですよね。
イディオムを知っていると英語がより理解できるようになるだけではなく、簡単な単語の組み合わせなので、一つの難しい単語を使うよりイメージしやすく気楽に聞こえるという利点もあります。
イディオムを使いこなせるようになると、よりナチュラルな会話が可能となり、英会話力を一段階上のレベルにステップアップできます。イディオムの重要性を理解し、普段から意識してインプットとアウトプットをしていきましょう。
イディオムの覚え方
イディオムはとても英語的で元の単語とは全く別の意味のものも多く、覚えることが難しいと感じる方も多いかもしれません。単語帳とにらめっこして覚えるのには無理があるので、次の2つの方法で覚えるようにするのがおすすめです。
イメージで覚える
イディオムの意味を自分なりにイメージしてみましょう。
例えば、「a piece of cake」というイディオムですが、この言葉通りだと「ケーキ一切れ」となり、そこから「簡単」という意味を覚えるのには無理があります。」丸ごとのケーキ1ホールを食べるのは大変だけれど、一切れならぺろっとたべれる=簡単」ですよね。
このようにそのイディオムの元の意味を頭の中でイメージし、そこから発展させる方法であれば比較的楽に覚えることが可能です。
また、知らないイディオムに出会った時でもこの方法は役立ちます。言葉のそのままの意味をイメージして、そこから使われている状況に応じて意味を推測することができます。
beat around the bushというイディオムがありますが、これはそのままの意味だと「藪をあちこち突く」です。言葉からは意味なくつついていることがイメージでき、「本当はこっちを探すべきなのになんでそんな藪を…」という気分になりませんか?そこから「無関係なことを話して本題や本音を避けること」という意味を自然と導くことができます。
例文で覚える
イディオムをイメージして覚えることとあわせて、そのイディオムが使われている簡単な例文を覚えましょう。
リスニングやリーディングだけを考えると、例文を覚える必要はないかもしれません。しかし、イディオムを会話で使いこなす」ということを目標にするのであれば例文で覚えることが一番てっとり早いです。
もしイディオム帳のようなものを作るのであれば、イディオムと絵や写真などのイメージ+例文を書いておき、スキマ時間に復習すると効果的です。
よく使われるイディオムの例
無限にあるイディオムの中から、日常会話やビジネスでよく使われるものをいくつかご紹介します。私もなんども会話も中で聞いたことがあるものばかりですので、覚えておくと便利です。
イディオムのインプットも大事ですが、アウトプットしないと実際に使いこなせるようにはなりません。英会話のレッスンや同僚・友達との会話で、ぜひ使って練習してみてくださいね。
日常会話でよく使われるイディオム
take a rain check「延期する、キャンセルする」
直訳すると「雨かどうかチェックする」となりますが、誘いを受けた時に丁寧に断りたいときに使う表現です。親しい間柄では、単に”Rain check, ok?”でも大丈夫です。また、rain checkは次回購入券としての意味もあります。
A:Hey, let’s go for a drink tonight.(今夜飲みに行かない?)
B:Can I take a rain check on that? I’m not feeling well.
(またの機会でもいい?体調いまいちなんだよね)
judge a book by its cover「見た目で判断する」
直訳は「カバーを見て本の中身を判断する」ですが、比喩的に「人を見た目で判断する」という意味で使われます。
A:He looks so cold. I’ve never seen him smiling.
(彼は本当に冷たそう。笑顔なんて見たことない)
B:Don’t judge a book by its cover. He’s actually fun.
(見えた目で判断しないほうがいいよ。実は面白いやつだから)
It’s not rocket science.「難しいことではない」
「ロケット科学ではない」つまり「誰にでもわかる簡単なこと」を比喩的に表現しているイディオムです。SNSでもよく使われるので、ぜひ覚えておきたい表現の一つです。
A:I sent the email to the wrong person…
(間違えて違う人にメールを送ってしまいました)
B:Again? Can’t you do anything right? It’s not rocket science!
(また?マトモに仕事できないの?簡単な仕事だろ!)
speak of the devil「噂をすれば」
ある人について話をしている最中に、本人が現れたときに使います。元は”Speak of the devil and he will appear.”(悪魔を語れば、悪魔が現れる)で、警告する意味で中世期まで使われていました。
A:Did you hear what happened to Lisa last night?
(昨夜リサがどうなったか聞いた?)
B:Speak of the devil, there she is!
(噂をすれば、ほら!)
a blessing in disguise「不幸中の幸い」
blessingは「祝福、幸運」、disguiseには「ごまかし、変装」を意味します。a blessing in disguiseは最初は困難だったり問題だと思われたことが、後になっていい結果をもたらす場合に使われます。
I’m sorry I heard you got fired.
(クビになったって聞いたけど残念だったね)
Don’t be. I hated my job anyway. I got a new job and I’m happy. Losing that job was a blessing in disguise really.
(そんなことないよ。仕事嫌いだったし。新しい仕事について幸せ。あの仕事を失ったことは不幸中の幸いだったね、本当に)
Your guess is as good as mine.「あなたと同じく私もわからない」
直訳すると「あなたの推測は私と同じ程度です」ですが、このイディオムは「わかる」という意味ではなく「全くわからない、見当がつかない」という意味で使われます。
A:She’s been walking around for a long time. What is she doing?
(彼女ずっと歩き回っているけど何してるんだろう?)
B:Your guess is as good as mine.
(さあね、さっぱりわからない)
ビジネスでよく使われるイディオム
call it a day「お開きにする、仕事を切り上げる」
直訳は「それを一日と呼ぶ」ですが、「行なっていることをストップする」という意味のイディオムです。ドラマや映画でもよく使われるのでぜひ覚えておきましょう。
A:It’s already 8pm. I’m hungry. How much more work do we have for tonight?
(もう夜の8時だ。 腹が減った。今夜の仕事はあとどれくらいある?)
B:I guess we finished pretty much everything.
(だいたい全部終わったかな)
A:Great. Let’s call it a day then!
(よかった。じゃあもう終わりにしようぜ!)
get the ball rolling「ことを始める」
文字通りだと「ボールを転がせる」ですが、「あることを始める」という意味の大変よく使われるイディオムです。getの意味の一つとして日常会話では「ある状態になり始めること」を表すためによく使われます。ボールが転がり始めることイメージするとなんとなく意味が理解しやすいですね。
OK, everyone, let’s get the ball rolling!
((会議の始まりで)ではみなさん、始めましょう)
It’s time to get the ball rolling on the new advertising campaign.
(新しい広告キャンペーンを始める時だ)
call the shots「命令する、采配を振る」
組織の中で決定権があることを意味します。shotsは撃つことで、「撃てと命じる」ことから転じて采配を振るという意味になりました。
Do what you’re told. I’ll call the shots.
(言われたことをやるんだ。 指示は私がする)
Mr. Suzuki is the one who calls the shots in my team.
(私のチームでは、鈴木さんが采配を振るっています)
think outside the box「枠にとらわれないで考える」
既成概念にとらわれていることを箱に例えています。think outside the boxは「既存の枠にはまらないことを考える」という意味で、指示した以外できない人はまさにthink outside the boxができない人、ということになります。
He always thinks outside the box to come up with new business ideas.
(彼はいつも既成概念にとらわれず、新しいビジネスのアイデアを考えています)
I’m trying to think outside the box to sell this product more.
(この商品をもっと売るために、既成概念にとらわれない発想をしようとしている)
on the same page「意見が一致している」
同じページにいる、つまり「意見や見解を同じくする」という意味のイディオムです。
Let me tell you quickly what we discussed yesterday so that we are on the same page.
(見解が同じになるよう、昨日話したことを手短に説明しますね)
Before we begin, I want to make sure everyone is on the same page.
((会議を)始める前に、みなさんが同じ意見であることを確認させてください)
under the weather「調子が悪い」
気分が落ち込んでいて具合が悪い時や、風邪や疲れで体調そのものが芳しくない時に使います。元は船乗りが船酔いしていることを意味していましたが、現在では一般的に入院するほどの悪さではなく、軽く調子が悪いことをさします。
I cannot come to work today. I feel under the weather.
(今日は出勤できません。 体調が悪いんです)
He missed the training because he was under the weather.
(彼は体調が悪くてトレーニングを休んだ)
まとめ
日本語の慣用句を全て知っている人はいないように、イディオムを全て覚えることは不可能です。中には滅多に使われないものもあるので、ドラマや映画で何度か耳にしたものを中心に覚えるようにしましょう。
イディオムは必ずしも覚えなくても意味がわかれば英会話に問題ありません。そのままでは意味が通じない表現が出てきたらイディオムのことが多いので、まず言葉の持つ意味をイメージして実際どんな意味で使われているのかを推測するようにするといいですね。
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