日本は世界屈指の安全な国。女性が夜間に一人歩きしても事件や事故に巻き込まれることは滅多にありません。しかし海外では事情が大きく異なり、女性が夜間に一人歩きしたり子どもだけで遊ばせたりするのが危険なこともあります。
日本でも危険な状況に陥れば助けを求めるのは簡単ではありませんが、英語で助けを求めたり状況を説明したりするのはより大変なことです。
そこで今回は、身を守るための身近な英語フレーズと海外で安全に過ごすコツをご紹介します。もしものときに備えて、フレーズを覚えておきましょう。
「安全」を意味する英単語の使い分け
「安全」を意味する英単語はいくつかあります。それぞれの英単語を使い分けられるように、違いを確認していきましょう。
safe
safeは「安全な」「無事な」という意味の形容詞。危険や損害などの恐れがない状態を指します。コロナが蔓延する中、ネイティブはよく別れ際に「Stay safe! ([コロナの危険にさらされずに]安全でいてね!)」と声をかけていました。
I can’t be relieved until I know she’s safe. (彼女が無事だと分かるまで安心できない)
Is it safe to swim here? (ここで泳いでも大丈夫[安全]ですか?)
Is this area safe? (このエリアは治安がいいですか?)
safety
safetyは「安全」「無事」を意味する名詞。日本語ではよく「セーフティードライバー」と言いますが、safety は名詞なのでa safety driver(☓)ではなく、a safe driver(○)が正しい表現です。
All pilots are responsible for their passengers’ safety. (すべてのパイロットは乗客の安全に責任がある)
Many people fled to the safety of the capital. (多くの人が首都の安全な場所に逃げた)
Don’t worry about her. She is in safety. (彼女のことは心配ない。無事だよ)
in safetyで「安全に」「無事に」という意味。
safely
safelyは「安全に」「無事に」を意味する副詞。副詞なので動詞とともに使い、「安全に~する」「無事に~する」という意味になります。
The plane landed safely. (飛行機は安全に着陸した)
Give me a call to let me know you’ve arrived safely. (無事に到着したことを知らせるために電話をしてね)
The teacher got the children safely over the busy road. (先生は交通量の多い道路で子どもたちを安全に渡らせた)
secure
secureは「安全な」「危険のない」という意味の形容詞。safeが危険や損害などの恐れがない状態を指すのに対し、secureは場所・もの・状況などに対する備えがあって危険などを心配したり恐れたりする必要がない状態を指します。
I don’t feel secure when I’m alone in the house. (家に一人でいると安心できない)
This building should be secure in an earthquake. (このビルは地震が起きても安全なはずだ)
secureには動詞の働きもあり、危険・侵害・騒動・攻撃などから「守る」「安全にする」という意味。
We have to secure the valuables from robbery. (私たちは貴重品を強盗から守らなければならない)
security
securityも「安全」「無事」を意味する名詞。in safetyと同じように、in securityで「安全に」「無事に」という意味です。
We all want to live in security. (私たちはみんな、平穏に暮らしたいと思っている)
The building needs improved security and lighting. (建物は安全と照明を改善する必要がある)
How well is security maintained in this area? (この地区はどのくらい治安がよいのでしょうか?)
sound
soundは財政的に「堅実な」「安全な」という意味の形容詞。よく使われる「音」「~に聞こえる」とは異なります。
Although the company’s share price has declined, its business remains basically sound. (この企業の株価は下落しているものの、基本的には堅実な事業を維持している)
Government bonds are a sound investment. (国債は安全な投資だ)
身を守るための身近な英語フレーズ
次に、不審者を見かけたとき、助けを求めるとき、不審者の容姿を説明するときなど、さまざまな状況で便利な英語フレーズを見ていきます。
不審者を見かけたとき
不審者を見かけたとき、そのことを警察や近所の人に伝える必要があります。
There is a suspicious person in my neighborhood. (近所に不審者がいます)
There was a pervert in the park this morning. (今朝、公園に変質者がいました)
A suspicious car is parked in my neighborhood. (近所に不審な車が止まっています)
There is a man looking at my house from behind the electric pole. (電柱の陰から家を見ている男の人がいる)
また、子どもなどに「知らない人について行かないように」と注意を与えるフレーズも併せて見ておきましょう。
Don’t follow strangers! (知らない人にはついて行かないで!)
Even if someone stops you, do not go with them no matter what. (たとえ誰かに呼び止められても、何があってもついて行っちゃだめだよ)
Even if anyone asks you a question or talks to you, do not answer and just keep on walking. (たとえどんな人に質問されたり話しかけられたりしても、何も答えずに歩き続けなさい)
no matter whatは「何があっても」「何であろうとも」という意味。
助けを求めたり注意を促したりするとき
緊急に他人に助けを求めたり注意を促したりするときには、以下のようにシンプルに伝えるのが一番です。
Help! (助けて!)
Help meeeeee! (助けてーーーー!)
Snatcher! (ひったくりです!)
Call the police! (警察に電話して!)
Call an ambulance! (救急車を呼んで!)
Fire! (火事です!)
Put out a fire! (火を消して!)
Escape! (逃げて!) ※場所などから脱出する
Flee! (逃げて!) ※危険や恐怖から避難する
Run away! (逃げて!) ※遠くへ逃げる
Get away from there! (そこから逃げて!)
Get out of here! (ここから逃げて!)
Go! / Move! / Run! なども「逃げて!」という意味
Drop to the ground! (地面に伏せて!)
Lie face down! (身を伏せて!)
不審者の特徴を説明するとき
警察などに不審者の特徴を伝えるときにも、シンプルに伝えた方がいいでしょう。
A tall person | 背が高い人 |
A short person | 背が低い人 |
About 170cm | 170cmくらい |
Wearing glasses | メガネをかけている |
No glasses | メガネをかけていない |
Wearing dark clothes | 暗い色の服を着ている |
Long hair | 長髪 |
Short hair | 短髪 |
Shaven head | 丸刈り |
Black hair | 黒髪 |
Brown hair | 茶色の髪 |
Blond hair | 金髪 |
Red hair | 赤毛 |
Grey hair | 白髪 |
Grizzled hair | 白髪交じりの髪 |
Curly hair | 巻き毛 |
Wavy hair | ウェーブのかかった髪 |
A beard | あごひげ |
A mustache | 口ひげ |
Blue eyes | 青い目 |
Brown eyes | 茶色の目 |
Green eyes | 緑の目 |
Gray eyes | 灰色の目 |
Hazel eyes | 淡褐色の目 |
A white person | 白人 |
A Black person | 黒人 |
An Asian person | アジアの人 |
道路で身を守るとき
道路で車や段差などから身を守るときに便利なフレーズです。
Watch out! (気をつけて!)(危ない!)(注意して!)
Watch out for cars! (車に気をつけて!)
Watch cars coming up from behind. (後ろからくる車に気をつけて!)
A car is coming! (車が来るよ!)
You could be hit by a car! (車にひかれちゃうよ!)
Be careful on the bumpy roads! (でこぼこ道に注意して!)
Make sure the traffic light turned green. (信号が青になったか確認して)
海外で安全に生活するためのポイント
日本はとても安全で恵まれた国なので、海外で起きる危険は想像しにくいでしょう。けれども日本国内と同じように行動していると、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。もちろん、LINEで配信されるような不審者情報などはありません。また、薬物等も日本以上に身近に存在するので注意が必要です。
最後に、海外で生活したり一時的に外国を訪れたりするときに安全に過ごすために、心に留めておきたいポイントをまとめます。
自分の身は自分で守る
「自分の身は自分で守る」というのは当然のことのように聞こえますが、日本のように安全ではない海外では自分で気をつけないと安全な生活は確保できません。周囲への警戒を怠らないのはもちろんですが、荷物を置いたまま席を離れるのも厳禁。これは日本国内だけの常識です。どこの国でもとは言いませんが、持ち主が見当たらなければ荷物を持ち去る人が多いのが現状でしょう。
みなさんの中にはヨーロッパでスリやひったくりにあった人もいるかもしれませんが、私は若い女性が観光客のバッグを持ち去り、アニメさながらの追いかけっこをしているのを目にしたことがあります。女性や子どもへの警戒心は緩みがちですが、注意が必要です。
また、新興国では靴も履いていない貧しそうな子どもや体の不自由な人などが、ものを売ってきたり、金銭を恵んでもらおうとしたりしています。同情心からお金を恵む観光客も少なくありませんが、中にはビジネスとしてやっている人もいるので注意しましょう。実際に子どもがわざわざ靴を脱いで西洋人にものを売りに行ったり、体の不自由な人が路地に入った途端に普通に歩いていたりしたのを見たことがあります。優しい気持ちも大切ですが、つけ込まれないように用心することも忘れずに!
危険なエリアに近づかない
どんなに安全だと言われている国や都市でも、治安の悪い危険なエリアは存在します。事前に治安の悪いエリアをしっかり確認し、近づかないようにするのが一番です。どうしても治安の悪いエリアに行かなければならない場合は、夜間を避けて誰かと昼間に行くようにしましょう。
夜間の外出は控える
特に治安が悪いとされるエリアでなくても、ケンカ、暴行、窃盗、車上荒らしなどが多発する夜間は危険な場合が多いので、外出はなるべく控えた方がいいでしょう。特に女性は、日が沈んだ後に一人で外出しない方が賢明です。旅行中に晩ごはんを食べに出かけたりする場合は、なるべく明るくて人通りが多いエリアに限定した方がいいでしょう。
また、夜間に一人で電車、バス、タクシーなどを利用するのも危険な場合があります。「自分は大丈夫」と高を括っていると、大変な目にあうかもしれないので注意しましょう。
現地の法律や習慣を尊重する
海外で生活するにしても一時的な訪問にしても、その国の法律を守るのは当然のこと。法律は宗教や文化と深くつながっているので、その国のルールや習慣、マナーなどに配慮した行動をとることが重要です。日本人にとって宗教はさほど重要ではありませんが、国によっては宗教が基本となって決まりが作られていることも多々あります。「知らなかった」では済まされないこともあるので注意が必要です。
多額の現金を持ち歩かない
「日本人は多額の現金を持ち歩く」というのは海外では有名なため、置き引きやひったくり、スリのターゲットになりやすいと言われています。多額と言っても数万円単位ですが、海外の人の多くは数千円程度しか持ち歩きません。国や状況にもよりますが、たいていは必要な分だけを持ち歩くか、クレジットカードやスマホ決済などを利用。私も千円以下の買い物でもカードで支払い、お財布には二千円も入っていません。つまり、日本ほど現金への依存度が高くないということ。ですから、なるべく多額の現金を持ち歩かない、人前で現金を数えない、貴重品を持ち歩かないといったことは重要です。
また、新興国ではATMで希望の金額がきちんと出てこなかったり、まったく出てこなかったりする場合があります。現金を引き出したら金額を確認し、現金が出てこなかった場合はなるべく早く銀行の窓口に行った方がいいでしょう。
知らない人をすぐに信用しない
海外で親切な人がいると頼りたくなりますが、外国人に親切にしてくる現地人には要注意。個人的には上手な日本語で親切そうに話しかけてくる人は、あまり信用できません。「いい人」と思う前に、「この人の目的は何?」と自分自身に問いかけてみてください。目的もなく近づいてくる人などいないのですから。
犯罪の被害者にならないためにも、知り合ったばかりの人をすぐに信用して個人的な話をしたり、ものやお金を預けたりしない方が賢明です。
近年では、パブやクラブなどで知らないうちに飲み物に薬物を入れられて、性被害を受ける女性も少なくありません。もちろん、男性がターゲットになる場合もあります。パブやクラブに行くなら、自分の飲み物は自分でしっかり管理した方がいいでしょう。
自宅の防犯対策を徹底する
あまり治安がよくない国で生活する場合は、自宅の防犯対策が必須です。必要に応じて、複数のカギ、防犯カメラ、常夜灯、防犯用の柵、警報装置などを設置しましょう。また、住むエリアにも注意した方がいいかもしれません。
加えて、自宅の前にカギをかけずに自転車を置いたり、車やバイクにカギをつけたままにしたりするのもおすすめしません。自宅前、自宅敷地内でも安全とは言い切れないからです。もちろん、車にもドライブレコーダーをつけた方が安心できるでしょう。
「安全」や身を守るための英語フレーズが理解できたら
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