evenは中学英語で習う基本の単語ですが、その使い方を完璧に理解している方は意外と少ないものです。さまざまな使い方があり、evenを含む熟語やフレーズは英会話・英語試験に頻出します。
本記事では、evenの基本的な意味と使い方を解説するとともに、頻出熟語・フレーズをまとめて紹介します。evenを適切に使いこなせれば、英会話や英作文のスキルがワンランクアップしますよ。
evenの意味と使い方
evenには、主に下記4つの意味・使い方があります。
・~でさえ、むしろ (副詞)
・平らな~、偶数の (形容詞)
・~を平らにする (動詞)
・さらに (比較級の強調)
それぞれの使い方について詳しく解説していきます。
副詞:~でさえ、むしろ
evenが副詞として使われる場合、主に「~でさえ」「むしろ」という2つの意味があります。
~でさえ
下記の例文では、「~でさえ」という意味でevenが使われています。
I have given up on passing tomorrow’s test. Even my wise sister couldn’t make it.(私は明日の試験に合格することを諦めている。私の賢い姉でさえだめだった。)
evenを置くことで「賢い姉でさえ」と試験の難しさを強調しています。
また、evenは置く位置によって強調する内容が変わるのも特徴です。
My son can sing even English songs.(私の息子は英語の歌でさえ歌える。)
My son can even sing English songs.(私の息子は英語の歌を歌うことさえできる。)
1つ目の例文はevenが「英語の歌」を強調しており、英語の歌以外にもさまざまな歌が歌えることを意味しています。一方で2つ目の例文は「歌うこと」を強調しており、歌う以外にもさまざまなことができるのだとわかります。
上記のとおり、「~でさえ」の用法でevenを使う際は、文章のなかで強調したい単語の直前にevenを置くのがポイントです。
むしろ
副詞としてのevenは「むしろ」という意味で使われることもあります。最初に述べた事実や感想を強調したい場合に使われます。
My mother’s cooking is good, even the best.(私の母の料理はおいしい、むしろ最高だ。)
上記の例文では、最初に「私の母の料理はおいしい」と感想を述べたあと、even以降で「むしろ最高だ」とその内容が強調されています。
形容詞:平らな~、偶数の
evenが形容詞として使われる場合、主に「平らな~」「偶数の」という2つの意味があります。
平らな~
「平らな~」を意味するevenは、「床が平ら」など物理的な状態はもちろん、「等しい」「互角」といった状態を表すことも可能です。
We have to walk carefully because this road is not even.(私たちは気をつけて歩く必要がある。なぜならこの道は平らではないからだ。)
Do you think they are even?(彼らは互角だと思いますか?)
偶数の
実は、evenには「偶数の」という意味もあります。
You have to choose even numbers from 1 to 10.(あなたは1〜10のなかから偶数を選ぶ必要がある。)
先ほど紹介した「平らな~」「等しい」という意味から連想して、「割り切れる均一な数字=偶数の」と考えるとわかりやすいかもしれません。例えば10個のものを2列に並べる場合、偶数なので余りが発生せず5個ずつ等しく並べられますよね。
なお、偶数がeven numberであるのに対して、奇数はodd numberといいます。oddには「変わった」という意味があり、割り切れない余り(変わったもの)が発生するイメージを持つとわかりやすいでしょう。
動詞:~を平らにする
evenは動詞として「~を平らにする」という意味で使われる場合もあります。
Players must even the playing field before the game starts.(試合が始まる前に選手たちは競技場を平らにしなければならない。)
上記のとおり物理的に平らにするという意味もありますが、「試合を互角にする」などといった使い方も可能です。evenの動詞としての使用頻度はあまり高くありませんが、いざ登場したときに戸惑わないよう頭に入れておきましょう。
比較級の強調:さらに~
evenには「さらに~」という比較級の強調としての使い方もあります。比較級の強調にはmuchもありますが、muchが「単純な差の大きさ」を表すのに対して、evenは「Aも○○だがBはさらに○○」という意味の強調で使われるのが特徴です。
My son is much smarter than me.(私の息子は私よりもかなり賢い。)
I am smart, but my son is even smarter.(私も賢いが、私の息子はさらに賢い。)
1つ目の例文では、muchを使うことで単純に「私と息子の賢さの差」を表しています。一方で2つ目の例文では、私が賢いことを前置きしつつも、それよりもさらに息子のほうが賢いという点を強調しています。「AもBも○○だが、Bのほうが○○」といったように両者に言及したい場合は、evenを使うようにしましょう。
英会話で使える!evenを含む頻出熟語・フレーズ12選
evenの基本的な意味を理解したら、続いて英会話の場で使える頻出熟語・フレーズもチェックしておきましょう。
even if:たとえ~でも
even ifは「たとえ~でも」という意味を表し、「仮の話」や「未来を想定した話」をする際に使います。
Even if it rains tomorrow, the game will be held.(明日たとえ雨が降っても、試合は行われる。)
上記のように文頭にeven ifを置くこともできますが、“The game will be held even if it rains tomorrow.”といったように入れ替えることも可能です。
また、「たとえ~でも」という意味の表現にはeven thoughもありますが、even thoughは仮の話ではなく、現実や事実に基づいた話をするときに使います。それぞれの違いについて、次で詳しく見ていきましょう。
even though:たとえ~でも
even thoughも、even ifと同様に「たとえ~でも」と訳すことが可能です。ただしeven thoughは、仮定ではなく事実や現実に基づいた話をするときに使います。
I will go back home even though I still have work to do.(仕事は残っているが、私は家に帰る。)
even ifの例文では「たとえ雨が降っても」という仮定の話でしたが、even thoughでは「仕事は残っているが」と現実に基づいた話になっています。
even ifとeven thoughは日本語に訳すと同じになるため、混同しがちです。使い分けで迷ったときは、「事実に基づいた話をしているのかどうか」に着目するとよいでしょう。
even better:さらによい、もっとよいことに
even betterは比較級として「さらによい」という意味で使われるほか、文頭に置かれ「もっとよいことに」という意味になることもあります。
My dog looks even better today than usual.(私の犬は、今日はいつもよりさらに調子がよさそうだ。)
Even better, she passed that exam.(もっとよいことに、彼女は試験に合格した。)
1つ目の例文では、いつも調子のよい愛犬がさらによい状態であることを強調しています。一方2つ目の例文では、何かよいことがあったうえでさらによいことがあったと伝えるための前振りとして、even betterが使われています。
even betterという同じフレーズで異なる表現ができるので、使い分けを覚えておきましょう。
even more:さらに
even moreは「さらに」を意味する表現で、後半の内容を強調したいときに役立ちます。
I love studying science, but I love studying English even more.(私は科学の勉強が好きですが、英語の勉強はさらに好きです。)
moreのみでも科学と比べて英語が好きなことは伝えられますが、even moreにすることで「さらに好き」とより強調して伝えられます。
また、文頭に使える”Even more amazingly,” 「さらに驚くことに」といった表現もあります。
even now:今でさえ
even nowは、「今でさえ」「いまだに」といった意味を持つ表現です。もともとevenには「〜さえ」という意味があるため、イメージしやすいでしょう。
Even now, I can’t believe she left this company.(今でさえ、私は彼女がこの会社を去ったことを信じられない。)
ちなみに、even nowは否定文の文脈で使われることが多いです。
even after:~の後でさえ
even afterは「~の後でさえ」「~の後でも」といった意味を持ちます。
He did not improve his attitude even after he had repeated the same mistakes.(同じ過ちを繰り返した後でさえ、彼は態度を改善しなかった。)
afterだけでは前後の文脈がつながりませんが、even afterとすることで「~した後なのに」というニュアンスを伝えることが可能です。
even before:~の前でさえ
even beforeは「~の前でさえ」「~の前でも」といった意味を持ちます。先ほどのeven afterの反対としてイメージすれば、スムーズに覚えられるはずです。
He was about to get fired even before he made the big mistake.(彼はその大きなミスを犯す前でさえ、解雇されそうだった。)
beforeだけでは前後の文脈がつながりませんが、even beforeとすることで「その前でさえ」というニュアンスを伝えられます。
even when:~のときでさえ
even whenは「~のときでさえ」という意味を持つ表現です。「~さえ」を意味するevenと「~のとき」を意味するwhenという単純な組み合わせですが、使いこなせると英語表現の幅が広がります。
My son looks happy even when the weather is bad.(天気が悪いときでさえ息子は楽しそうにしています。)
whenだけでは前後の文脈がつながりませんが、even whenとすることで「よくないときでさえ」というニュアンスを伝えられます。
even so:そうだとしても
even soには「たとえそうだったとしても」といった意味があります。最初に何か事実を述べたうえで、even soによって説明を続けるという使い方です。
According to the information from my boss, this company’s products are good. Even so, I think we have to discuss whether we should choose it carefully.(上司からの情報によると、この会社の製品は素晴らしい。しかしそうだとしても、私たちはその会社を選ぶべきかどうか慎重に話し合う必要があると思う。)
break even:収支がトントンになる
break evenは「収支がトントンになる」という意味を持ちます。ビジネスやギャンブルにおいて使われることが多い表現です。損も得もしていない状況をイメージするとよいでしょう。
I want to earn money from my hobby, but it seems to take about three years to break even.(私は趣味でお金を稼ぎたいが、収支がトントンになるまで約3年かかるようだ。)
get even with:~に仕返しをする
get even withには「~に仕返しをする」という意味があります。英会話の場面だけでなく、洋画や洋書などでもよく登場する表現です。友人との会話でもジョークとして使えるので、ぜひ覚えて使ってみましょう。
She will get even with Mark because he broke their promise.(マークが約束を破ったので、彼女は彼に仕返しをするだろう。)
not even:~でさえない
evenの前に否定形のnotを置くことで「~でさえない」という意味の表現になります。「想像すらしない」や「会うことすらしない」など、notだけの場合と比べてnot evenはより強い否定の意味を持ちます。使い勝手のよい表現なので、英会話や英作文のレパートリーとして覚えておきましょう。
We can not even imagine that our team would lose.(私たちのチームが負けるなんて想像さえできない。)
evenの意味・使い方がわかったら
今回は、evenのさまざまな意味や使い方、フレーズについて例文をまじえて紹介してきました。evenのニュアンスを的確に捉えられれば、英会話や英作文における表現の幅が大きく広がるはずです。
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