英語で「せざるを得ない」ってどう表現する?ニュアンスで使い分ける熟語まとめ

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「義務としてせざるを得ない」
「イヤだけどしなくてはならない」
「強制されてせざるを得ない」
「諦めるしかない」

上記のような「~せざるを得ない」や「~しなければならない」は、英語でどのように表現すればいいのでしょうか?

「~しなければならない」はmustやhave toで表現すると習いますが、上記のような文に当てはまるのでしょうか?

この記事では、mustとhave toの使い分けを含め、「せざるを得ない」をニュアンスで使い分けるために、さまざまな熟語をまとめます。

mustとhave toの使い分け

まず念のために、mustとhave toの使い分けをおさらいしておきましょう。どちらも「~しなければならない」という義務を表しますが、違いはあるのでしょうか?

実は、ネイティブはこの2つを微妙に使い分けています。その使い分けの要因は、義務を果たす理由です。

mustは話し手の強い意思を表す

mustは必要性を示し、話し手の強い意思を表します。主語がI(私)なら「自分がそうしようと考えている」、または誰かから忠告などをされて「やらざるを得ない」というニュアンスです。一方、主語が自分以外なら「その人にそうしてもらいたいと考えている」ということで、命令(話し手の主観)に近いニュアンスに変わります。

I must go to the bank to get some money. (銀行にお金をおろしに行かなければならない)

You must be careful. (注意が必要だ = 注意して)

否定形のmust not(mustn’t)は、「~してはいけない」「~すべきでない」という意味。また、mustには過去形がないので、過去はhave toの過去形であるhad toで代用。さらに、willなどの他の助動詞とともに用いる場合もhave toで代用します。

You mustn’t judge people by their appearance. (人を外見で判断すべきでない)

She will have to meet him tomorrow. (彼女は明日、彼に会わなければならないだろう)

have toは外因要素から生じる必要性を表す

mustが話し手の強い意思を表すのに対し、have toは外因要素から生じる必要性を表します。例えば、誰かに頼まれたからなど何らかの理由で「~しなければならない」ような場合です。

We have to work overtime again. (私たちはまた残業しなければならない)

You don’t have to whisper, no one can hear us. (ささやく必要はないよ、誰にも聞こえないって)

My car broke down, so I had to leave it on the street. (車が故障したので、路上に放置せざるを得なかった)

You didn’t have to come so early. (そんなに早く来る必要はなかったのに)

mustとhave toの違いが分かるように、もう少し見ていきましょう。

I must see a doctor tomorrow. (明日、医者に行かなければならない)

I have to see a doctor once a week. (週に一度医者に行かなければならない)

mustの文は具合が悪いなど何らかの理由で「話し手が医者に行こうと考えている」ことを表し、have toは持病などの外的要因により「医者に行かざるを得ない」ことを表しています。

You mustn’t do it. (それをしてはいけない)

You don’t have to do it. (それをする必要はない)

mustの文は「それをしないことが必要であり、しないように命じている」というニュアンスである一方、have toの文は訳文の通り「それをやる必要がない」ことを表しています。

mustは強い表現なので使用に注意

義務や必要の度合いは、「should → ought to → have to → must」の順で強まります。つまり、mustは義務や必要の度合いを表す最も強い表現ということ。

そのため実際のコミュニケーションでは、上司から部下というシチュエーションでもmustは滅多に使われません。特別な理由などがない限り、mustの使用は避けたほうが無難です。

使い分けが必要な「せざるを得ない」の熟語

mustとhave toのおさらいができたところで、mustとhave to以外の「せざるを得ない」を意味する熟語を見ていきます。一口に「せざるを得ない」と言ってもニュアンスによって表現が異なるので、使い分けが必要な表現をチェックしてみてください。

義務として「せざるを得ない」

「せざるを得ない」を表す熟語のうち、「義務としてしなくてはいけない」表現を見ていきましょう。

be obliged to ~

obligeは「義務を負わせる」という意味の動詞で、obliged は「せざるを得なくて」という意味の形容詞です。be obliged to ~で義務として「~せざるを得ない」となります。beをfeel(感じる・思う)に代えてもいいでしょう。

We are obliged to pay taxes. (私たちは税金を支払う義務がある[義務として支払わざるを得ない])

Doctors felt ethically obliged to continue the treatment. (医師たちは治療を継続することが倫理的に義務付けられていると感じた)

be obligated to ~

上記と似た表現にbe obligated to ~があります。obligateは法律的・道徳的に「~する義務がある」という意味の動詞で、obligatedは「~すべき義務があって」という意味の形容詞です。同様にbeをfeelに代えても表現できます。

When the riot broke out, the police were obligated to intervene. (暴動が発生したとき、警察は介入する義務があった[義務として介入せざるを得なかった])

I felt obligated to repay the favor. (その恩に報いる義務を感じた)

be (in) duty bound to ~

duty boundはduty-boundとハイフンを入れて記す場合もあり、「~する義務があって」という意味の形容詞です。この熟語もbeをfeelに代えて表現できます。

They are duty bound to report any evidence of wrongdoing. (彼らは不正行為の証拠を報告する義務がある)

Having witnessed the accident, I felt duty bound to testify to the police. (事故を目撃した私は、警察に証言する義務があると感じた)

ちなみに、obligationとdutyはどちらも「義務」という意味の名詞ですが、obligationは法律、規則、約束などにより強制的に負わされる「義務」で、dutyは道徳的な正しさからしなければいけないと感じる「義務」を指します。

選択肢がなく「せざるを得ない」

次は、選択肢・選択の余地がない場合の「せざるを得ない」の熟語を見ていきます。

have no choice but to ~

choiceは「選択」「選ぶこと」を意味する名詞で、have a choiceで「いずれか1つを選べる = 選ばなければならない」という意味になり、その選択肢が全くない状態がhave no choiceです。それにbut to ~がついた形で「選択肢がないけど~するしかない」というニュアンスになり、「~する以外に選択肢がない」「~せざるを得ない」という意味になります。

I have no choice but to return to my country due to visa issues. (ビザの問題で帰国せざるを得ない)

I had no choice but to cancel my holiday due to the typhoon. (台風の影響で休暇をキャンセルせざるを得なかった)

have no alternative but to ~

alternativeは「選択肢」「とりうる方法」という意味の名詞ですが、形容詞としての働きもあります。have no alternative but to ~もno alternativeで「選択肢がない」となり、全体では「~する他ない」「仕方なく~する」「~せざるを得ない」という意味。上記の熟語と似た表現ですね。

I have no alternative but to give it up. (諦めるしかない)

He had no alternative but to flee abroad. (彼は海外に逃げざるを得なかった)

イヤだけど「せざるを得ない」

イヤだったり他にやる人がいなかったりした場合の「やらざるを得ない」の熟語を見ていきます。

can’t avoid -ing

avoidは「避ける」という意味の動詞で、可能を表すcanの否定形can’tがついて「イヤだけど~することを避けられない」「~せざるを得ない」という意味になります。

I think he can’t avoid selling his house. = I don’t think he can avoid selling his house. (彼は家を売らざるを得ないと思う)

He couldn’t avoid quitting his job. (彼は仕事を辞めざるを得なかった)

I hate -ing / to do but ~

hateは「ひどく嫌う」「イヤである」という意味の動詞で、敵意や悪意が含まれる「強い険悪」を表すので使用に注意が必要です。I hate -ing but ~は「~するのはイヤだけど」という意味で、but以下にhave toやhave no choiceなどを使って「~せざるを得ない」ことを表現します。

I hate doing laundry, but no one else does it so I have to. (洗濯をするのはイヤだけど、他の誰もしないからやらざるを得ない)

I hate withdrawing my plan, but I have no choice. (計画を撤回するのはイヤだけど、仕方がない)

強制的に「~させる」「~させられる」

やりたくないことを強制的にさせたりされられたりする場合は、人に「強いて~させる」という意味の動詞forceやその受身形、あるいは副詞を用いた熟語で表現します。

to force ~

動詞のforceを使った表現。「強いて~させる」の他に、「強要する」「余儀なくさせる」などの意味があります。

The teacher should force his students to be quiet. (先生は強制的に生徒を静かにさせるべきだ)

Bad weather forced us to call off our picnic. (悪天候のため私たちはピクニックを中止せざるを得なかった)

be forced to ~

動詞のforceの受身形で、「~せざるを得ない」「強制されて~する」「~させられる」という意味です。

I was forced to take a taxi because the last bus had left. (最終バスが出てしまったので、タクシーに乗らざるを得なかった)

She was forced to quit her job. (彼女は仕事を辞めざるを得なくなった = 仕事を辞めさせられた)

forcibly do ~

forciblyはforceの副詞で、「強制的に」「力ずくで」「不法に」などの意味があります。

The mob was forcibly removed from the scene. (暴徒は現場から強制的に排除された)

The refugees were forcibly repatriated. (難民は強制的に本国へ送還された)

mob(モブ)は「暴徒」や「統制の取れない群衆」という意味。日本語では最近、モブが「その他大勢の名前もない人」を指し、アニメなどの名前がない登場人物や個性が薄い人を「モブキャラ」と表現しますよね。そこから転じて、「キャラが薄い特徴のない存在」のことを「モブ○○」と表現しますが、これは日本語に限られた意味です。

under pressure ~

under pressureには「圧力をかけられて」という意味の他に、be forced to ~と同じように「強制されて~する」という意味があります。

Hospital staffs are coming under pressure to work longer hours. (病院スタッフは長時間労働を強いられている = 強制的に長時間労働をさせられている)

I was under pressure from my parents to become a doctor. (私は医者になるよう両親に強いられた = 医者になるよう強制された)

come under pressureで「圧力をかけられる」という意味。

「せざるを得ない」に似た熟語

「~しなければならない」という強制や義務は含まれていませんが、「~せざるを得ない」に似た熟語を見ていきましょう。

「自分の役割として~をする」

自分の役割や役目として何かをしたり、仕事の一環として何かをしたりする場合の英語表現です。「役割」や「役目」を意味する英単語には、role、duty、function、jobなどがあります。

roleは人やものが状況や活動にどのように影響を与えるか、あるいは関与しているのかを表す「役割」です。dutyはすでに出てきたように「義務」という意味があるので、義務を伴う「任務」や「職務」というイメージで、functionは「人の仕事または義務」を含む「役割」を指します。また、jobは「仕事」という意味でよく知られた英単語で、「しなければならない特定の務め」を表す「役割」です。

~ as my role

as my roleは「自分の役割として」という意味。役割の内容によってroleをdutyやjobなどに代えてもいいでしょう。

I cook dinner every day as my role. (自分の役割として、毎日夕食を作る)

Police officers give directions to tourists as one of their duties. (警察官は職務の1つとして、観光客に道案内をする)

~ as part of my job

as part of my jobは、「仕事の一環として」「仕事の一部として」というニュアンスです。

As part of my job, I photograph engineering projects such as bridges and airfields. (仕事の一環[自分の役割]として、橋や飛行場などの工学プロジェクトの写真を撮っている)

I plan to travel to several countries as part of my job. (仕事の一環[自分の役割]として、いくつかの国を旅行する予定だ)

「必要に迫られて~する」

次は、「必要に迫られて(仕方なく)~する」場合の熟語を見ていきます。necessity は「必要」という意味の名詞で、out of necessityで「必要に迫られる」という意味です。

perform ~ out of necessity

perform(行う・実行する)を他の動詞に代えても表現できます。

She performed this task out of necessity. (彼女は必要に迫られてこの業務を行った)

He began to learn English out of necessity. (彼は必要に迫られて英語を習い始めた)

~ by necessity

上記と同様にnecessity を使った表現で、by necessityで「必要があって」「やむを得ず」という意味。

He does not work unless he is pressed by necessity. (彼は必要に迫られない限り働かない)

A poor old man was driven by necessity to steal food. (哀れな老人は必要に迫られて食べ物を盗んだ)

「仕方ない」

理不尽な困難や悲劇に遭遇したり、避けられない状況に陥ったりしたときに使う「仕方がない」の英語表現です。

be unavoidable ~

unavoidableは「避けられない」「やむを得ない」という意味の形容詞です。

In such circumstances, an accident was unavoidable. (そのような状況では、事故は避けられなかった = 仕方なかった)

Traffic jams are unavoidable in this area. (この地域では渋滞は避けられない = 仕方がない)

it can’t be helped

it can’t be helpedは不快または苦痛な状況などを避ける方法がなく、受け入れるしかない場合に使います。「仕方ない」「やむを得ない」という意味。

I really didn’t want to go away this weekend, but it can’t be helped. (今週末は本当に出かけたくなかったけど、まあ仕方ないね)

It’s not an ideal solution, but it can’t be helped. (理想的な解決策じゃないけど仕方ない)

There’s nothing we can do about it.

There’s nothing we can do about itは直訳すると「私たちにできることは何もない」となり、何もないから「仕方がない」という意味で使われるイギリス英語のイディオムです。

There’s nothing we can do about it now. (今は仕方ないね[どうしようもないね])

There’s nothing we can do about it. We’ll just have to endure. (仕方ないね。辛抱するしかない)

there’s no help for it

there’s no help for itは「仕方がない」「どうしようもない」という意味で使われるイギリス英語のイディオムです。

There’s no help for it. We shall have to call the police. (仕方ない。私たちは警察に連絡しなければならないだろう)

The superior has made the final decision, so there’s no help for it now. (上司が最終決定したんだから、今さら仕方がないよ)

「思わず~してしまう」

can’t help -ingとcan’t help but ~は「せざるを得ない」という意味ですが、これらのフレーズは自分でコントロールできない行為を表します。「思わず笑ってしまう」や「ついアイスを買ってしまう」のように、自分の意思とは裏腹にしてしまうことを表現しているので、義務や強制の意味を持つ「せざるを得ない」とは異なるので注意しましょう。

can’t help -ing

can’t help -ingは「思わず~してしまう」「~せずにはいられない」という意味。

He can’t help making sarcastic comments. (彼は皮肉なコメントをせずにはいられないんだね)

You can’t help being struck by her kindness. (君は思わず彼女の優しさに心を打たれてしまうよ)

can’t help but ~

上記のcan’t help -ingと同じ意味で、言い換えも可能。以下は上記の文の書き換えです。

He can’t help but make sarcastic comments. (彼は皮肉なコメントをせずにはいられない)

You can’t help but be struck by her kindness. (君は思わず彼女の優しさに心を打たれてしまうよ)

「せざるを得ない」を実践で身につけたいなら

「せざるを得ない」の英語表現には、義務や強制を含むものから意思とは裏腹に思わずしてしまうものまで多岐にわたります。日本語にとらわれ過ぎると誤った表現を使ってしまう可能性があるので、英語のニュアンスを理解して使い分けるようにしましょう。

当然のことながら、使い分けを身につけるには実践を重ねるのが最善策です。アウトプットの機会を増やして実践で身につけたいという人は、レアジョブ英会話の無料体験レッスンを受けてみてはいかがでしょうか。

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