英語の名詞には数えられる名詞である「可算名詞」と数えられない名詞の「不可算名詞」があります。日本語にはない概念なので、不可算名詞の使い方をきちんと理解できていない人も多いのではないでしょうか?
不可算名詞に関する文法問題が苦手な人や、理解があいまいなために英語を話すのをためらったことがある人は、この機会に、ぜひここで理解しましょう。今回は、不可算名詞の特徴や、間違えやすいポイント、不可算名詞の量や数を表現する方法まで詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
不可算名詞と可算名詞の違い
可算名詞とは、文字通り数えられる名詞のことで、単数形と複数形の2種類の形が存在します。英語では、Countable nounsで、辞書では[C]と略語で記載されます。
一方で、不可算名詞とは、数えられない名詞のことです。Uncountable nounsと英語で表記され、辞書では[U]と記載されます。
辞書で名詞を調べるときは、その名詞が可算名詞なのか不可算名詞なのかをあわせてチェックする習慣をつけておくと、英語学習の効率化につながりますよ。
不可算名詞は数えられない名詞で単数扱い
不可算名詞は単数として扱うのが基本です。また、不可算名詞は、数えられない名詞のことですが、具体的には以下の3つの種類に分けられます。
・固有名詞
・物質名詞
・抽象名詞
ここでは、不可算名詞の種類の詳しい説明と不可算名詞で間違えやすいポイントを4つ解説します。
不可算名詞の種類は3つ
不可算名詞の種類について理解しておくと、知らない名詞が出てきたときに可算名詞か不可算名詞か迷いにくくなるでしょう。主な3つの種類を以下で解説します。
固有名詞:具体的な名前をもつもの
特定の人、もの、場所の名称を示すときに使われる名詞のことを「固有名詞」と呼びます。固有名詞の一例は以下の通りです。
Osaka(大阪)
September(9月)
Mt.Fuji(富士山)
Waseda University(早稲田大学)
固有名詞は原則不可算名詞なので、冠詞であるa/anは使わず複数形にもしません。また、theがつく名詞とつかない名詞もあります。固有名詞を英作文などで表記するときは、大文字で書き始めるのがルールです。
物質名詞:切ってもそのものだとわかるもの
「物質名詞」とは、一定の形状を持たないものを表す名詞です。切ってもそのものだとわかるものと理解するとよいでしょう。
例えば、チョコレートはどこまで刻んでも、あるいは溶けて固形でなくなっても、チョコレートとだと認識できるため、物質名詞です。またお茶は、コップに入っている状態でも、こぼれて布に染み込んだ状態でも、お茶と認識できるため、同じく物質名詞です。
具体的に物質名詞の一例を紹介します。
water(水)
tea(お茶)
coffee(コーヒー)
chocolate(チョコレート)
meat(肉)
不可算名詞を複数形にしたいとき単語の語尾に“s”をつけることは基本的にありません。しかし、例外的に意味を強めたいときは、the flood waters(洪水)のように複数形にして使うこともあります。
抽象名詞:性質や概念などを表すもの
性質や状態、感情などを表す、目に見える形がない抽象的な概念を表す名詞のことを、「抽象名詞」と呼びます。具体例を以下に紹介します。
kindness(親切)
peace(平和)
music(音楽)
weather(天気)
数えられない抽象名詞ですが、程度を表現したいときはmuch、little、some、anyなどを使います。中には以下のように数えられる抽象名詞もあります。
a piece of advice(1つの忠告)
a piece of information(1つの情報)
単数扱いによる間違えやすい4つのポイント
単数扱いとなる不可算名詞ですが、正しく英語を使うためにも間違えやすいポイントを押さえておきましょう。
冠詞a/anはつかない
不可算名詞は数えられない名詞のため、1つという意味を持つ冠詞のa/anはつきません。一方で、特定のものを示すときに使うtheは使えます。
不可算名詞の一つにmusicがありますが、音楽全般を示すときは
I like music.(私は音楽が好きです。)
と冠詞を使わずに表現します。
しかし、特定の音楽を示したいときは、
I like the music.(私はその音楽が好きです。)
のように、theを使って表現できるのです。
be動詞はis
不可算名詞の場合、対応するbe動詞は、isです。例えば、furnitureやkindnessなどは、不可算名詞のため、be動詞はisになります。
以下のような場合は、間違いやすいので注意しましょう。
There is much furniture.(家具がたくさんあります。)
この例文のように、不可算名詞で程度や量を示したいときに、muchを使うことがあります。muchが使われると、つい複数形を示すareを使いたくなるかもしれませんが、あくまで、furnitureは不可算名詞のためisを使います。
一般動詞は三単現の法則
不可算名詞が主語の場合、対応する一般動詞は、「三単現の法則」が適用されます。三単現とは、三人称単数の名詞が主語になり、かつ現在時制における行動や状態を表すとき、動詞の語尾に“s”を付けて変化させるルールです。不可算名詞は単数扱いで、三人称となるため、動詞が現在時制の場合、動詞に三単現の“s”が必要です。
代名詞はitやsomeなど
不可算名詞を受けるときの代名詞は、itを使います。
He prepared the wine for a party. It was great.(彼はパーティーのためにそのワインを用意した。それはすばらしいものだった。)
また、不可算名詞を受ける代名詞として、someやanyもあります。someやanyを使うと、その不可算名詞まるごとを表すのではなく、「全体のうちのいくらか」を表します。肯定文ではsomeとなり、疑問文や否定文の場合にはanyとなるので注意しましょう。
Have you finished your homework? ——I’ve finished some.(宿題は終わったの?——いくらかは終わったよ。)
There was a lot of food on the table, but I didn’t want any.(テーブルの上にはたくさんの食べ物があったが、私はちっとも欲しくなかった。)
注意したいのは、代名詞のoneでは受けることができないということです。oneは可算名詞の単数と複数を指すときに使う代名詞のため、不可算名詞では使用できません。
不可算名詞の一覧
不可算名詞の数は想像以上にたくさんあるため、全てを覚えるのは困難です。ここでは、使用頻度の高い主な不可算名詞を表でまとめて紹介します。
不可算名詞の一覧 | |
---|---|
英語 | 日本語 |
water | 水 |
ice | 氷 |
paper | 紙 |
chalk | チョーク |
love | 愛 |
knowledge | 知識 |
music | 音楽 |
kindness | 親切 |
bread | パン |
coffee | コーヒー |
wine | ワイン |
homework | 宿題 |
furniture | 家具 |
cutlery | 刃物類 |
tea | お茶 |
air | 空気 |
rice | 米 |
beauty | 美しさ |
anger | 怒り |
money | お金 |
先ほど紹介したように、不可算名詞は、
・特定のものや場所を表す固有名詞
・特定の形や区切りがない物質名詞
・具体的な形のない抽象名詞
に大別できます。
中には、baggage(荷物)、furniture(家具)など、可算名詞か不可算名詞の区別が難しい名詞もあります。例えば、baggageと聞くと、スーツケースやカバンを思い浮かべますが、実は、具体的なものとして認識されるのではなく、「移動するときに持ち運ぶもの」という性質として認識されるため、不可算名詞に該当します。このように、不可算名詞かどうかを見極めるポイントを理解しておくと、判断に迷ったときのヒントになるでしょう。
不可算名詞を数える場合
量や数を表せない不可算名詞ですが、量や数を示す単語などと組み合わせることが可能です。さらに、「コーヒー2杯」や「水のボトル3本」など、不可算名詞にも関わらず、数で表す場面があるでしょう。ここでは、不可算名詞を数える場合の表現方法について、解説します。
およその量を表すとき
不可算名詞でおよその量を示すときには以下の語句と組み合わせ可能です。
・some(いくらかの)
・a lot of(たくさんの)
・much(たくさんの)
・a bit of(少しの)
上記のような量を表す語句は、不可算名詞の前に置くことで、そのおおよその量を表現できます。
We have a lot of water.(たくさん水があります。)
There isn’t much sugar. (あまりお砂糖がありません。)
We have a bit of information.(少しだけ情報があります。)
There is a lot of baggage.(たくさんの荷物がある。)
We don’t have much rice.(あまりお米がない。)
具体的な量を表すとき
さらに、不可算名詞について、具体的な量を示したいときは、その名詞に関連する形や容器を表す単語を不可算名詞の前につけて表現します。例として以下のような表現が使えます。
a spoonful of sugar(砂糖スプーン1杯)
a cup of tea(コーヒー1杯)
a bar of chocolate(板チョコ1枚)
a pound of meat(肉1ポンド)
a slice of bread(パン1枚)
a glass of wine(ワイン1杯)
また、breadのように「1枚」を示すときはslice、ある程度厚みのあるパンを示すときはloafを使うなど、形に合わせて、使用する単語が変わるので、注意しましょう。
さらに1、2と数えるとき
a spoonful of sugarやa cup of teaのように、不可算名詞の前に、その名詞に関連する形や容器を表す単語をつける場合は、不可算名詞でも1、2、と数えることができます。以下の例を見てみましょう。
a cup of tea(1杯のお茶)
two cups of tea(2杯のお茶)
a pound of meat(1ポンドの肉)
three pounds of meat(3ポンドの肉)
a glass of wine(1杯のワイン)
two glasses of wine(2杯のワイン)
two cups、three pounds、two glasses のように、複数を表す場合は、cup、pound、glassも複数形になることに注意しましょう。
量を尋ねるとき
量を尋ねるときは、How much〜?やHow many〜?のフレーズがよく使われます。両者の違いは、manyが数えられるもの(主に可算名詞)に使われるのに対して、muchは数えられないもの(不可算名詞)に使われるということです。
先ほど紹介したように、おおよその量を示すときに使うa lot ofやsome、a bit ofなどが答えとなる場合は、以下のように、How much〜?を使うのが適しています。
How much money?(お金はどのくらいある?)
How much baggage?(どのくらいの荷物があるの?)
How much rice?(お米はどのくらいある?)
不可算名詞の量を聞くときにmanyを使えないわけではありません。a spoonful of sugarやa cup of teaのように可算名詞とともに不可算名詞が使われる場合は、How many〜?を使って、以下のように具体的な量を質問できます。
How many cups of tea?(お茶は何杯ありますか)
How many slices of bread?(パンは何枚ありますか)
How many glasses of wine?(ワインは何杯ありますか)
不可算名詞にも可算名詞にもなる名詞
少し上級者向けになりますが、名詞の中には実は、不可算名詞にも可算名詞にもなるものがあります。この場合、可算名詞として使用するときと、不可算名詞として使用するときでは、意味が異なる場合があるため注意が必要です。以下で例を紹介します。
不可算名詞にも可算名詞にもなる名詞 | |
---|---|
英語 | 日本語 |
fish | 魚 |
food | 食べ物 |
egg | 卵 |
aid | 助け |
beer | ビール |
bread | パン |
cheese | チーズ |
coffee | コーヒー |
一例として紹介したeggは可算名詞だと思う人が多いでしょう。可算名詞として使われる場合は、「丸ごと1個の卵」が想定されています。一方、卵のかけらや卵液のように形が崩れた状態の場合も同じく卵と認識されるため、このような状態の卵は、不可算名詞として扱われます。
同様にfoodも、可算名詞として扱うときはある種類の食べ物を意味し、不可算名詞として使うときは、「食料」や「料理」といった漠然とした意味で使うのです。
英語では、話し手がどのように認識しているかによって、伝え方が変わります。相手に自分の思っていることや言いたいことを正確に伝えたい人は、可算名詞にも不可算名詞にもなる主な単語を適切に使い分けられるとよいでしょう。
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