英語では名詞の前にMyやYourなどがよく使われ、「私の~」や「あなたの~」というように誰の所有なのかを表します。その他にも名詞にはaやtheといった冠詞なども使われますが、これらの使い方を理解してないと話し相手に勘違いされる可能性があります。
つまり、タイトルにあるようにyour problemとthe problemでは意味が異なるということです。
この記事では、MyやYourなどの所有格に焦点を当てながら、冠詞などを使ったときと意味が異なる勘違いされやすい英語表現について解説します。
「所有格」とは
「私の~」や「あなたの~」というように誰の所有なのかを表すのが「所有格」です。また、「~に属する(belong)」に近いニュアンスもあります。ここでは人称代名詞で表す所有格だけでなく、アポストロフィー「’」や「of」を使った所有格についておさらいしましょう。
人称代名詞で表す所有格
英語では、名詞や代名詞が形を変えて使われます。代名詞とは名詞の代わりをする単語で、ThisやThoseなどがその代表例です。代名詞の中で人に関するものを「人称代名詞」と言います。
人称代名詞の「格」
人称代名詞は中学英語の初期で習うI, my, meなどのこと。一人称、二人称、三人称のように習ったのを覚えている人も多いでしょう。
IやYouは主語に用いる主格(~は)、myやourは所有を表す所有格(~の)、meやhimは目的語に用いる目的格(~を / ~に)を表します。このように格を変化させることで、役割を区別しているわけです。
I have an umbrella. (私は傘を持っています[Iが主格])
This is my umbrella. (これは私の傘です[myが所有格])
He gave me an umbrella. (彼は私に傘をくれました[meが目的格])
主語や目的語を表す所有格
上記で示した二つ目の文が所有格を使った基本的な例ですが、「my bag」のように「所有格+名詞」で主語や目的語として使う場合もあります。
My school is pretty strict. (私の学校はかなり厳しいです[My schoolが主語])
Their plans are behind schedule. (彼らの計画は予定より遅れています[Their plansが主語])
I like his car. (私は彼の車が好きです[his carが目的語])
Did you find your wallet? (財布は見つかりましたか?[your walletが目的語])
所有を表しているのは、「Their plans」「his car」「your wallet」です。また、所有格はMy schoolのように「~する場所」や「~に属する」ことも表します。your workやhis roomなどがその一例です。
人の関係を表す所有格
his girlfriendのように所有格の後に人を表す名詞が続くと、人と人の関係を表します。
I would like to meet your friend Alex. (あなたの友人のアレックスさんにお会いしたいのですが[your friend Alexが人の関係を表す])
Have you met their parents? (彼らの両親に会ったことがありますか?[their parentsが人の関係を表す])
She is my colleague. (彼女は私の同僚です[my colleagueが人の関係を表す])
「’s」で表す所有格
もの、人、動物、国などを表す名詞にアポストロフィー「’」と「s」をつけて所有格を表すこともできます。
「所有」や「~に属する」を表す「’s」
人称代名詞と同じように、【名詞 + ‘s + 名詞】で「所有」や「~に属する」を表し、主語や目的語にもなります。
I think that’s Amy’s phone.(それはエイミーのケイタイだと思います[Amy’sが所有格])
Jenny’s mother is due to give birth soon. (ジェニーの母親はもうすぐ出産予定です[Jenny’sが所有格・Jenny’s motherが主語])
Did you make a note of the book’s title? (本のタイトルをメモしましたか?[book’sが所有格・a note of the book’s titleが目的語])
Japan’s economic growth was beginning to show signs of slowing down. (日本の経済成長には陰りが見え始めていました[Japan’sが所有格])
bookのように数えられる単数名詞は上記のように【名詞 + ‘s】の形で表しますが、booksと複数名詞の場合はbooks’のように【複数名詞 + ‘】で表します。また、James(ジェームス)やLewis(ルイス)のようにsで終わる名前などもJames’やLewis’と表すのが一般的です。けれどもイギリス英語ではJames’sやLewis’sが好まれるようで、絶対的なルールはありません。
一方、childrenやpeopleなどの不規則な複数名詞は、単数名詞のように【名詞+’s】の形で表します。
These are my dogs’ toys. (これらはウチの犬のおもちゃです)
Let’s make James’ birthday cake tomorrow. (明日、ジェームスの誕生日ケーキを作りましょう)
Children’s TV shows these days are very entertaining. (最近の子ども向けテレビ番組はとても面白いです)
目に見えないものを表す所有格
ここまでは人やものなど実体があるものでしたが、所有格は目に見えないものも表せます。
I don’t like hurting people’s feelings. (私は人の気持ちを傷つけるのが好きではありません[people’s feelings(人の気持ち)は目に見えない])
I always admire Jack’s patience and hard work. (私はいつもジャックの忍耐力と勤勉さに感心します[Jack’s patience and hard work(ジャックの忍耐力と勤勉さ)は目に見えない])
時を表す所有格
【時を表す名詞 +’s + 名詞】で所有格を表せますが、「所有」の意味はありません。
What is Today’s special lunch menu? (本日のスペシャルランチメニューは何ですか?)
He was completely exhausted after a day’s work. (彼は一日の仕事の後で完全に疲れきっていました)
Today’s breakfast is leftovers from last night’s dinner. (今日の朝食は昨夜の夕食の残りです)
ofで表す所有格
次は、「of」で表す所有格です。実体のあるものもないものも表現できますが、原則として「無生物」に使います。
無生物を表す所有のof
ofは無生物に使うのが原則なので、生き物に使うと不自然です。ただし、こちらも絶対的なルールではありません。ですから、以下のように「the sadness of that old man(あの老人の悲しみ)」のように「人の~」をofで表し、that old man’s sadnessが不自然に感じる場合もあります。
○ → your doctor’s instructions (医者の指示)
☓ → instructions of your doctor
○ → the roof of the house (家の屋根)
☓ → the house’s roof
The walls of the house were stained with chalk marks. (家の壁はチョークの跡で汚れていました)
No one understands the sadness of that old man. (あの老人の悲しみは誰にもわかりません)
例外的な無生物の所有のof
「’s」の項目でJapan’s economic growthのように表しましたが、国や都市などは「’s」と「of」のどちらでも表現できます。
○ → Asia’s economic growth (アジアの経済成長)
○ → the economic growth of Asia
○ → Prime Minister of Japan (日本の首相)
○ → Japan’s Prime Minister
The population of Tokyo is increasing year by year. (東京の人口は年々増加しています)
Tokyo’s population is increasing year by year. (東京の人口は年々増加しています)
所有格と所有代名詞
my, your, ourなどが人称代名詞の所有格を表しますが、もう一つ「所有代名詞(~のもの)」というものが存在します。一人称単数ならmine(私のもの)、二人称なら単数・複数を問わずyours(あなたのもの)と表すものです。「’s」で表す所有格の場合は、「’s」の後の名詞が省略されます。
所有格:This is my computer. (これは私のパソコンです)
所有代名詞:This computer is mine. (このパソコンは私のです)
Tom’s house is almost across from ours. (トムの家は私たちの家のほぼ向かいにあります)
Our house is almost across from Tom’s. (私たちの家はトムの家のほぼ向かいにあります)
勘違いされやすい人称名詞の所有格
所有格について一通りおさらいしたので、使い方が理解できたのではないでしょうか。人称代名詞は中学英語の初期で習うことからもわかるように、特に難しい表現ではありません。けれども、人称代名詞の所有格とa, theなどの冠詞やsome, anyなどの不定代名詞が入れ替わると、意味が変わるので注意が必要です。ここではいくつか例を示します。
your problemとa problem とthe problem
多くの人が知っているように、aは二つ以上ある中の一つを表すときに使い、theは特定のものを表すときに使います。
I found a job that I wanted to do. (やりたい仕事が見つかりました[たくさんある仕事の一つ])
I found the job you suggested. (あなたが提案してくれた仕事を見つけました[すでに述べられた特定の仕事])
では、a problemとthe problemではどのように意味が異なるのでしょうか。aとtheの違いから、以下のようになります。
That’s a problem. (それは問題です[多くある問題の一つ])
That’s the problem. (それが問題なのです[問題は一つだけで、それが主な問題])
次に、your problemとthe problemの意味の違いを見ていきましょう。
What’s your problem? (何が気に入らないのですか?[あなたの問題は何ですか?])
What’s the problem? (どうしましたか?[何が問題ですか?])
「What’s your problem?」は誰かに失礼なことや理不尽なことを言われたりされたりしたときに、不満や怒りを表すのに適した英語フレーズです。yourとtheが入れ替わる小さな違いのように思えるかもしれませんが、全体の意味は大きく異なります。
his carとa carとthe car
実態のあるものの場合も、基本的な考え方は同じです。
☓ → He bought his car. (彼は[すでに所有している]彼の車を買いました)
○ → He bought a car. (彼は車を買いました[多くある車の中の一台])
○ → He bought the car. (彼は[あの]車を買いました[以前に話していた車])
his carは所有格で「すでに彼が所有している」ことを表すので、上記の場合は誤りです。ただし、以下のような場合はすでに彼の所有なので問題ありません。
He wants to sell his car as soon as possible. (彼はできるだけ早く自分の車を売りたいと思っています)
似たケースをもう一つ示しておきます。以下の「家を建てる」の主語が「I」では、自分で大工仕事をして家を建てたという意味ですが、一般的には業者に頼んで建ててもらったと解釈されます。日本語でも「豊臣秀吉が大阪城を建てた」のように言うのと同じです。誰も豊臣秀吉が大工だとは思いませんからね。また、家の場合はbuildのかわりにbuy(買う)でも表現できますが、所有格やa、theの使い方はこれまでと同様です。
☓ → I finally built my house. (私はついに[すでに所有している]家を建てました)
○ → I finally built my own house. (私はついに自分の家を建てました)
○ → I finally built a house of my own. (私はついに自分の家を建てました)
○ → I finally built a new house. (私はついに新しい家を建てました)
○ → I finally built the house. (私は[あの]家を建てました[以前に話していた家])
こちらも車の例と同じように、現在所有している家のことであれば「my house」のように表現します。
We’re in the process of selling our house. (私たちは家の売却を進めているところです)
my weightとsome weight
次に、人称代名詞の所有格とaなどを使わない数えられない名詞の場合を見ていきます。
☓ → I want to lose my weight. (体重すべてを減らしたいんです[なくしたいんです])
○ → I want to lose some weight. (もう少し体重を減らしたいんです)
○ → I want to lose weight. (体重を減らしたいんです)
my weightは「自分の全体重」を表すため、上記のように表現すると相手に驚かれてしまうかもしれません。このような場合は、不定代名詞のsome を使って「some weight(数キロ)」のように表現しましょう。もちろん、myやsomeをつけずにweightだけで表現することも可能です。
当然のことながら、「全体重」を表すときにはmy weightやyour weightで表現します。
He always comments on my weight. (彼はいつも私の体重についてあれこれ言います)
Her weight has dropped to a satisfactory level. (彼女の体重は満足できるレベルまで減りました)
my armとthe arm
my handのように体の一部を表すときに使う所有格と、特定のものを指すtheを使った表現について見ていきます。
He broke his leg. (彼は足を骨折しました)
He broke the leg. (彼は足を骨折しました)
theは特定のものを指しますが、体の一部を表す名詞が続く場合は文脈から主語となる人の体の一部だと解釈できるため、上記の文はどちらも同じ意味です。この場合も「家を建てる」と同様に、主語(彼)が自分で自分の足の骨を折ったように感じるかもしれませんが、一般的には「何らかの理由で骨折した」と解釈されます。
ですから、その後の質問は「どうして[どうやって]?(How?)」となるのが一般的。このような場合にWhy?を使うと、「なぜ自分の骨を折ろうとしたの?」という意味になってしまうからです。
上記の例では所有格でもtheでも同じ意味になりましたが、意味が変わる場合もあります。
☓ → A police officer pulled his arm across the office. (警察官はオフィスの端から端まで彼の腕を引きました[腕を引き抜こうとした])
○ → A police officer pulled him across the office by the arm. (警察官はオフィスの端から端まで彼の腕を引きました[腕を引いて移動させた])
pulled his armは「彼の腕を引く」という意味で、腕だけを引く・引っ張ることになるので、「注意を引くためにちょっと引っ張る」というニュアンス。ですから上の文では、オフィスの端から端まで腕だけを引っ張ろうとしていることになってしまいます。
一方、pulled himは彼の体を引っ張って移動させることを意味し、by the armを加えることで体のどこを引っ張っている・つかんでいるのかを表しているわけです。この場合も文脈から、the armが引っ張られている「彼の腕」だと解釈できます。その他の例も示しておきましょう。
He took her by the hand and led her into the house. (彼は彼女の手を取り、家の中に導きました)
She grabbed him by the arm and pushed him out the door. (彼女は腕をつかんで彼をドアから押し出しました)
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