一部の英語圏にはクリスマス翌日に「Boxing Day(ボクシングデー)」という祝日があります。つまり、12月26日ですね。「ボクシング」と聞くと、拳にグローブを装着して戦う格闘技を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、スペルは同じでもまったく関係ありません。筆者も最初は「ボクシングの日?」と勘違いしました。
Boxing Dayは毎年ニュースで取り上げられるほど話題になり、一部の人はクリスマスより楽しみにしているかもしれません。英語のフレーズや単語などを覚えるのも大切ですが、英語圏の文化を深く理解することも英語学習には欠かせませんので、今回は「Boxing Day」について解説します!
イギリスで生まれたBoxing Day
Boxing Dayはイギリスで生まれた文化で、その後、オーストリア、ニュージーランド、カナダ、香港など、イギリス連邦の国に広がりました。イギリスで生まれた祝日なのでアメリカにはありません。「Boxing Day」と呼ばれるようになったのには諸説あるようなので、よく知られた由来を紹介します。
Boxing Dayの由来1
19世紀まで12月26日はキリスト教の世界では「聖ステファノの日(St. Stephen’s Day)」または「ステファノの祝日(Feast of Saint Stephen)」として、最初の殉教者(Christian martyrまたはprotomartyr)である聖ステファノ(Saint Stephen)を記憶に残す日として知られていました。
そのため、イタリア、ドイツ、オーストリア、フィンランドなど多くのキリスト教国家は、現在でも12月26日が「聖ステファノの日」であり祝日です。
「聖ステファノの日」が「Boxing Day」とどのようにつながるのかは、10世紀までさかのぼります。当時、ボヘミア公爵である善王ヴァーツラフ一世(Wenceslaus I, Duke of Bohemia)が、「聖ステファノの日」に恵まれない農民に食べ物やワイン、薪などの贈り物を吹雪のなか届けたことに由来するそう。
これはクリスマスキャロルの「ウェンセスラスはよい王様」で表現されていますので、興味のある方は以下の動画サイトで意味を確認してみてください。
ちなみにヴァーツラフ(Václav)はチェコ語、ウェンセスラス(Wenceslaus)は英語で、同一人物です。
Good King Wenceslas ~よい王様ウェンセスラス~
後世、聖ステファノの信奉者に影響を受けた人々の間では、12月26日が「慈善の日」として認知され、それが「Boxing Day」として知られるきっかけになったそうです。
Boxing Dayの由来2
「Boxing Day」という呼び名は、1800年代にビクトリア女王が王位にあったイギリスでつけられたといわれています。
当時は貧しい人々や恵まれない人々は生きていくために「施し」、つまりお金や食べ物の贈り物に頼っていました。募金箱、つまり「施し箱」は、キリスト教最大のイベントであるクリスマスイブとクリスマス当日に人であふれる教会を回り、12月26日に箱が開封され、寄付された品物が必要としている人々に配布されたそう。箱を開ける日が26日で、これが「Boxing Day」の由来のひとつだといわれています。
Boxing Dayの由来3
ビクトリア朝のイギリスでは、クリスマスの翌日に使用人、商人、貧しい人々に贈り物をするのが伝統だったそう。使用人はクリスマスの日に裕福な雇用主の下で働き、クリスマスのごちそうの準備をし、あらゆる方法でその日がスムーズに進むようにしなければなりませんでした。
翌日、使用人たちは家族と過ごすための休暇を取り、家に持ち帰るための「クリスマスボックス」をプレゼントされることも多かったようです。使用人らの不在中、裕福な家族は残り物で食事をすませていましたが、これは現在のBoxing Dayの食事とよく似ています。
「クリスマスボックス」には、お金、お下がりの高級衣類、本、リネン、リボン、クリスマスのごちそうの残りなど、裕福な家庭からのさまざまな種類の品物が入っていたようです。クリスマスボックスは裕福な家庭の土地に住んで働いている借地人や、ときには定期的に家にサービスを提供する商人にも配布されたそう。
3つの説はどれも弱者を助けるキリスト教の「施し」という点で共通していますね。
現代のBoxing Day
Boxing Dayはキリスト教の「施し」に由来していますが、現代のオーストラリアのBoxing Dayはまったく異なる日に変貌しています。これはオーストラリアに限ったことではなく、イギリス、カナダ、ニュージーランドなども同様です。
Boxing Dayは年に一度の大バーゲンセール
イギリス連邦の国に広がったBoxing Dayは、今では「年に一度の大バーゲンセール」が開催される日です。つまり、一年で最も安くさまざまなものが購入できる日ということ。ですから毎年12月26日の朝、ショッピングモールなどの入り口に開店を待つ人が多く集まります。
これはクリスマス商戦での残り物を減らすのにもひと役買っているようで、お目当ての商品をめがけてオープンとともに駆け込むのが毎年恒例の光景です。
ちなみに、アメリカで一番価格が安くなる大セールは「Black Friday(ブラック・フライデー)」です。アメリカでは11月の第4木曜日が「Thanksgiving Day(感謝祭)」で、その翌日が「ブラック・フライデー」ですが祝日ではありません。
割引率は50~80%
26日の朝にショッピングモールに多くの人が集まるとお伝えしましたが、もちろんオンラインショッピングでも同様にあらゆる品物がかなりの値下げ率で売られています。
どちらにしても割引率は50~80%!かなりお得なバーゲンセールです。家電製品などの買い替えを考えている人やお目当ての商品がある人は、売り切れる前になんとか購入しようと競い合っています。
もちろん家電製品にとどまらす、洋服、アクセサリー、化粧品なども対象。割引率は50%ではありませんが、ユニクロなどでもバーゲンセールが開催されます。
ホテルやツアーなどもセール対象
Boxing Dayのセール対象は上記で示した商品にとどまらず、ホテル、航空券、ツアーなども含まれます。この日にチケットがゲットできれば、かなりお得に旅行等を楽しめることになります。
昨今では航空券の値段も上がっているので、Boxing Dayに購入する人は増えるかもしれませんね。
オーストラリアのBoxing Dayの伝統
Boxing Dayは年に一度の大バーゲンセールですが、オーストラリアのBoxing Dayの過ごし方は人それぞれ。ショッピングを楽しむ人もいれば、その他のことをしてまったりと過ごす人もいます。ここでは、筆者が暮らすオーストラリアのショッピング以外の伝統的な過ごし方を紹介します。
クリケットのテストマッチ観戦
1980年にメルボルン・クリケットクラブがテストマッチの権利を獲得して以来、毎年Boxing Dayにはクリケットのテストマッチがメルボルン(Melbourne)で開催されます。直接クリケットグラウンドに行く人もいれば、テレビで観戦する人、パブでワイワイ観戦する人もいます。
毎年対戦相手が異なり、2023年のBoxing Dayのテストマッチは【オーストラリアvsパキスタン】です。クリケットは日本ではあまり知られていないスポーツですが、イギリスやオーストラリアを始め、南アフリカ、インド、パキスタンなどでは人気が高いスポーツのひとつです。
シドニーからホバートへのヨットレース観戦
Boxing Dayには、1945年に始まったオーストラリアの伝統である「Sydney to Hobart Yacht Race」が始まります。これはシドニーハーバー(Sydney Harbour)からオーストラリア大陸の南東海上に浮かぶタスマニア島(Tasmania)のホバート(Hobart)までの1163kmという長距離ヨットレースで、大晦日まで続きます。
もちろんテレビ中継もありますが、シドニーハーバーへ見に行く人もいます。さらに近くでレースを観戦したい人は、クルーズ船でバーベキューをしながら楽しむ人もいるようです。
ちなみに、harbour(港)はイギリス英語の綴りで、アメリカ英語では「harbor」です。
大ヒット映画の公開
ショッピングやスポーツに興味がない人のために、Boxing Dayには毎年オーストラリアの映画館で豊富な新作映画が公開されます。最大級の大ヒット作では、熱狂的なファンのために午前12時1分から深夜上映も行われるほどです。
「Boxing Day」が理解できたら
冒頭にも述べたように、英語圏の文化を理解することは、英語学習を進めるうえでも重要です。なぜなら、言語は文化の一部だから。文化を理解することで、どうして英語圏の人がこの英単語や表現をよく使うのかを理解できる場合もあります。また、英語圏の人の行動を理解するうえでも役立つでしょう。
英語学習に行き詰まったり疲れたりしたときには、異文化について学んでみるのもいいかもしれませんよ!
一部の英語圏にあるクリスマス翌日の「Boxing Day」が理解できたら、次はBoxing Dayや日本文化について英語で話してみましょう。レアジョブ英会話の無料体験レッスンなら、フィリピン人講師との英会話レッスンを2回まで無料で受けられます。興味のある人は、ぜひ検討してみてください。
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