レアジョブ英会話で先生相手に、本の読み聞かせに挑戦!
Q:聞き取りの学習のときから、本番の会話のような1発勝負の環境にするんですね。画期的なこの方法、ぜひ挑戦してみます。スピーキングの学習についても、なにかオススメの勉強法はありますか?
まずは、レアジョブ英会話をやることです(笑)。私も利用させてもらって良さはわかっていますから。両方とも女性なのですが、お気に入りの先生が2人います。1人はフィリピン大学で地理学を学び、卒業後はレアジョブ英会話で教えるかたわら、特殊教育について学んでいる先生です。
レッスンのフリーカンバセーション中に特殊教育を学んでいると彼女から聞いて、「それなら『五体不満足』という本に興味を持つかもしれない」とひらめいたんです。たまたま『Nobody is Perfect』というタイトルがついた英訳版を持っていたので、その序文をレッスン中に読んであげたんです。
Q:その先生の反応は?
彼女はとても感動して、「もっと聞きたい!」と言いました。それで、「じゃ、次のレッスンで続きを読むね」という話になったんです。数々のエピソードを1度聞くだけで理解してもらおうと熱を込めてずっと朗読していると、15分ぐらいで軽い貧血状態のようになってしまって、ちょっと休憩させてもらったりもしましたが(笑)。
でも、こんなふうに心を込めて朗読するということは、普通のreadingとはまったく違います。作者の乙武さんのこともまったく知らないフィリピン人の先生に読み聞かせをしたことは、私の英語のスピーキング学習にたいへん効果があったと思っています。ただし、読み聞かせは、こちらが発信するだけの一方通行になってしまう面があるのも事実です。
Q:朗読、読み聞かせをレアジョブ英会話のレッスンでするというのは、画期的な利用法ですね。人に伝えようとすると、普通の音読学習よりも発音やイントネーションなどにも数倍気を配りそうです。
もちろんです。普通の音読だと、参考書に書かれた正しい英文を1つ1つ読み上げるだけ。安河内哲也先生もおっしゃっていましたが、音読100回やるように言うと、「先生の言う通りに音読100回をやりましたが何も変わりません」と文句を言いにくる生徒がいるんだそうです。そこで、「音読をちょっとやってみせて」と言うと、メチャクチャな発音なんだそうです。それで100回やっても何の意味もないんですよね。
音読学習をしている人の大半は発音に気を使っていない。しかも棒読み。聞く相手がいないから抑揚も必要ない。というか、つけようがない部分もある。今はCDがついた教材もたくさん出ているのに、CDで英語ネイティブの発音を確認しようともしない。spontaneous (自発的な)という単語をスポンタネウスと読んだりしてね。これでは、レアジョブ英会話の先生に話しても一切通じません。
先生を英語ジョークでノックアウト!?
Q:おっしゃる通りですね。ほかにレアジョブ英会話ではどんなレッスンをしましたか?
私は英語のジョークが大好きで、本を書いているほどなので、先生を相手に厳選したジョークを披露して反応を確かめるということをやったこともあります。まあ、中には「ちゃんと勉強しましょう」と全然乗ってこない先生もいるので、人によりますが……。かと思えば大爆笑してくれて、「ぜひまた違うジョークを教えて」とせがんでくる先生もいます。
また、海外の文化に興味がある先生には、日本特有の文化について話すこともあります。人が亡くなると通常、通夜と告別式という2回のセレモニーがあると言うと、「へー、どうして?」と聞いてくる。あと、結婚式の話とかね。「角隠しは女性のjealousy(嫉妬)を隠すためなんだ」なんて話をすると、「うぁー、面白い。何かわかる〜」と共感してくれる先生もいましたよ。
先生がこちらの話に乗ってきてくれるのがわかると、レッスンがより楽しくなるんですよね。また、知らないことは少し調べながらやると新たな発見もあって面白いです。
レッスンの主導は生徒がとるべし!
Q:レッスンで何をやるかは、ご自身主導でやられているようですね?
はい、そうです。主体的に授業を受けるようにしています。大多数の人がやるような教材を使ったり、ニュースを読んで質疑応答したりするレッスンを私は一切受けないんです。それよりも「今回は1秒たりとも沈黙を作らないようにしゃべり倒そう」「笑えるジョークで先生を楽しませよう」というようなことばかりを考えていますね。
Q:サービス精神旺盛な生徒さんなんですね(笑)。今はどれくらいのペースでレッスンを?
実は今は執筆が忙しくてあまりできていないんです。私は年ごとに英語の課題を決めているんですが、「オンライン英会話をとことんやる」という課題は2012年のものだったんです。レアジョブ英会話以外にもオンライン英会話を利用して、一時期はほぼ毎日レッスンを受けていましたね。
先ほどさんざん「レッスンで積極的に話しまくる」というお話をしましたが、最初の数回は緊張しっぱなしで、沈黙ができたり、レッスン後に「何であんなつまらないこと言ってしまったんだろう」とブルーになったりと、うまくはいきませんでした。
でも、慣れてくると、先生とのやりとりが楽しくてしょうがなくなるんです。こんなにたくさんの外国人と話す機会は日本にいるとそうないですし、若い先生たちとのやりとりは刺激になります。
だからこれからオンライン英会話を始めようと思っている人にはすぐにあきらめたりせず、果敢にトライしてもらいたいですね。先生との相性もありますから、合う先生を見つけることも重要です。
1年ごとに英語の課題を作ろう!
Q:毎年、英語の課題を決めるとのことでしたが、2013年以降はどんな課題を?
13年は「100人の英語の先生に会う」というのがテーマでした。有名な先生のセミナーや会合にたくさん行きました。彼らのアイデアを盗むというのではなく、どんなことを考えているのかを知りたかったんです。でもその結果、自分が今後どんな英語の本を書いていけばいいかがはっきりしました。それ以降企画がドンドン湧くようなって、採用される率も上がりました。おかげで今は20冊ほどの企画を抱えています。
Q:一般の英語学習者も毎年英語の課題という重点目標を持つのはいいことかもしれませんね?
ええ、そうですね。今年は英語音声+英語字幕の映画、ドラマをたくさん見る、次の年はオンライン英会話レッスン漬け、次の次の年は英語学習の先生のセミナーにたくさん行く、というようやり方は悪くないと思います。常にあれもこれと欲張りすぎると、ぐちゃぐちゃになりかねないですから。「今年はTOEICのスコアを○点絶対上げる」という課題でもいいです。1年ごとにテーマを決めるのはオススメですね。
“英語難民”向けに超簡単で“目からウロコ”的な英語本の出版を
Q:では、最後に130冊以上の本を出版されている晴山さんの著書の中から今のオススメを紹介してください。
13年に100人の先生と会うということをやってみて感じたのが、現在、主流であるTOEIC関連本のマーケットで、たくさんの先生が食い合っているということでした。中でも特にTOEIC800点以上というような、既に高得点保持者に向けての「頂上制覇」的なものが多い。
でも、私は昔学習ドリルを作っていたからわかるのですが、TOEICテストにおいても300点、400点ぐらいしか取れないような“英語音痴”というか“英語難民”もたくさんいる。そして専門家のほうは、「そこまで英語がわからない人にどう教えればいいかわからない!」という悩みを抱えているのが現状です。
TOEICのスコアが300、400点台のような人からすると「TOEIC基本のキ」的な本を買っても、いきなり5文型の話が出てきたりして全然わからない。こういった人の割合はかなり大きい。TOEIC受験者の半分ぐらいが該当するかもしれません。だから私は今後、英語難民向けに本を書こうと決めたんです。かなり前置きが長くなりましたが(笑)、今から紹介するのもそんな英語難民向けの2冊です。
まずは、『英語の見方が180度変わる 新しい英文法』(IBCパブリッシング)英文法というと固くなりがちですが本書は字が大きいし、英文もそんなに書いてない。今までの英文法の本ともまったく違う作りになっています。既存の英文法の本は書かれた英語を解釈するのですが、この本は聞こえてくる順番に解釈するようになっています。
よく英語は頭からと言われますが、それをもっと推し進めた1冊になっているんです。コンマ1秒ごとに入ってきたものを解釈するのが人間の脳なので、「逐語的に入ってくる英文法とは何か?」を考えた本です。
コンマ1秒で解釈していくと、すべての英文は既存の文法書や訳す英語とは全然違う構造をもっているんです。たとえば接続詞ならBecauseと言ってからit is hot.などと言う。フレームを先に投げてから、コンテンツを補うという構造ですね。日本語は「何々だから」とbecauseに当たる部分はあとになる。英文法は全部この構造を持っているんです。この聞こえてくる英文法の説明を、徹底的にこの本で行っています。英語難民の人がわかるように、つまり中学生でも読めるように、わかりやすく説明したつもりです。
文法抜きで短い単語の“ラリー”だけで会話はできる!
Q:もう1冊は?
『文法いらずの「単語ラリー」英会話』(青春出版社)です。「文法がなくても会話は楽しめる」ことを紹介した会話本です。この本の企画は、昨年夏に開催した英語のイベントで行ったアクティビティーが基になっているんです。色んな英語レベルの参加者がいたので、どんなことをやれば皆さんに喜んでもらえるかを考えていたときに、単語ラリーのアイデアを思いつきました。
2人で行う英会話なんですが、センテンスではなく、1語、または2語の単語を並べるだけで行うものです。例えばこんな具合です。
男:English Okay?
女:Of course! You?
男:A little.
女:Why?
男:Too old.
女:Come on! Never too late.
男:Thank you.
こんなやりとりを私がデモンステレーションでやると、参加者の間から笑いがどっと起こりました。その後は、参加者同士が2人1組のペアになって、まずはEnglish Okay?で始まる会話をやってもらいました。その後はFavorite movies?やYour job?といった最初の一言となるキックオフフレーズだけをいくつか提供して、好きなものを選んでラリーしてもらったんです。
Q:会話のキャッチボールとよく言いますが、ラリーなんですね?
キャッチボールだと、ボールが来たら受け取って、利き手に握り変えてボールを投げるという時間が生じます。でも実際の会話はもっとペースが早い。1回ボールに触ったら即座に返さなきゃいけない。相手のコートに素早く返球するような、テニス、卓球、バトミントンといった球技のラリーにより近いと思うんです。しかも、試合だったら相手のいないところを狙って返球しますが、楽しんでラリーを続けるのであれば相手がいるところ打ち返す、これは会話のラリーも一緒です。
英語ネイティブや英語を使い慣れた外国人が欲している英会話っていうのはこのラリーなんです。どんどん話を進めていきたい。でも、日本人ができる英会話はキャッチボールの場合が多い。相手が言ったことを日本語に訳して意味を理解する→返答を日本語で考える→英訳する→つっかえながらゆっくりと英語で返答する……。これだけで何十秒もかかってしまいます。10秒も間があると相手は嫌になってしまう。
Q:テンポの良さが大切ということですね?
ええ。テンポよく会話のラリーをするには、文法を考える必要が一切ない単語ラリーが最適なんです。さきほどお話ししたイベントでは、このアクティビティーが大ヒットでした。1分間だけと制限時間を設けていたのに止まらないほどでした。
女:From where?
男:Yokohama.
女:Oh, Bay Bridge!
とか言いながら、会話が途切れないんです。最後は「もうやめてください!」ってお願いして“強制終了”させました(笑)。その光景を見て「これはイケル!」と思い、1冊にまとめたのがこの本です。
単語ラリーをイベントでやってみてわかったのは、ハードルをぐっと下げて会話が楽しめることを体験できた初心者だけでなく、英語を教える教師のような方々からも評価してもらた、ということです。
Q:どこを評価されたんですか?
「どうやって初心者に指導しようか?」「英会話の楽しさをどう伝えようか?」と日頃から悩んでいる先生にとっては、単語ラリーがすごくいいアイデアだと言ってもらえたんです。その後TOEICセミナーのアクティビティーでもリクエストを受けて単語ラリーをやったこともあります。教室に持ち帰って生徒にやらせる先生もいたようです。
これから書くのも、みんなこんな類いのものばかりです。次は英文法の、それこそ「基本のキ」に当たる部分、すなわち、品詞の本、文型の本、語順の本などを出していく予定です。今後も、英語難民に向けて英語の敷居を低くして、そく実践してもらえるような本を作り続けていきたいと思っています。
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