経理担当者におすすめの英語学習法
Q:経理担当者におすすめの英語学習法を教えてください。
経理担当者だけに限らず、私が経験してきた勉強法をまとめてみたものを共有します。学習される皆さんの参考になればと思います。
リスニング
とりわけ40代以上の方は学校教育でリスニングがなかったので、自分も含め、特に苦手な方が多いようです。特に、読んでわかるのに、聴くとわからない状況を克服する必要があります。
また、英語独特のリズム・イントネーション・類音などに慣れないと聞けるようになりません。そして、受験英語の弊害である、「返り読み」のくせから脱却して、英語の語順のまま理解する訓練が必要です。
例えば、次の文章を聴いてみましょう。これはStarbucks CEO, Howard Schultz氏のメッセージの中の一文です。
If you want to exceed the expectations of your customer, you can’t do that unless you exceed the expectations of your people first.
まずはきっちりとした日本語に訳さず、「もし超えたいなら、お客様の期待を、それはできない。超えないと、自社のスタッフの期待を、まずは。」と言う風に理解します。
スピードを持って聞けるようになると、次の3つの固まりとして頭の中で理解できるようになってきます。
1. If you want to exceed the expectations of your customer,(10語)
2. you can’t do that (4語)
3. unless you exceed the expectations of your people first.(9語)
そうすれば、長い文章でも即座に理解できるようになります。10語程度からなる文章の言葉が一瞬で短期記憶に残るようになれば、まず仕事上は支障ないレベルと言えるでしょう。克服法として、
・まずは多くの英語を聴く(最初は簡単なものから徐々に難易度を上げる)
・次に速度をあげて聴く
・ディクテーション(聞いた言葉を書きとる)
・シャドーイング(聞いた言葉を少し間をあけてまねる)
などに取り組みます。
スピーキング
日本語で言えることを英語で話せるようになるためには、語彙を、読んで理解できるところから、自分で話す時に使えるように、使える単語力を増やすことが必要です。また、英語らしい表現はパターンとしてそのまま覚えてしまいましょう。そしてスピーキングに関してはとにかく、無理やり話す機会を作って実践することが重要です。また、構文や文法の学習は、役に立たないと言われ追いやられがちですが、話すために必要な文法、文章の組み立て方、「型」をマスターしておく必要があります。このような表現を覚え、活用しています。リスニングの練習をしていると、そのうちこれは使える!という表現に出会いますので、書き留めています。
電話会議:
・Who’s on the bridge ? This is Ryu in Tokyo.
ミーティング:
・Let’s move on to to the next item on the agenda.
プレゼン:
・Today I am going to talk about the highlights of 1Q financial reporting.
提案:
・I recommend you join the town hall meeting.
・I’d advise using me as a liaison between Japan and US HQ.
意見を述べる:
・In my opinion, that’s not a good idea.
・In fact, I would say Japan lead the world in this area.
依頼:
・I’d like you to start working on the dashboard report.
・I hope you can tell me more about this issue.
確認:
・Let me be sure I understand.
・I am not sure I understand the problem.
リーディング
基礎力に不安がある方はまずは文法をおさらいし、基本的な語彙力をマスターする。あとは、ひたすら多読をおすすめします。まずは薄い本から始めましょう。Graded Readers(Penguin Readers, Oxford Bookworms, Macmillan Guided Readers など)でレベルを把握し、自分のレベルより低いものから読み進めていくのがよいでしょう。慣れてきたら、自分の好きなジャンルの本を手にとってみると興味が湧いて多読も進みます。
私の場合は、日本語でも小説をあまり読んだりせず、ビジネス書が好きですので、英語でもビジネス書に手を出しました。Robert. T. Kiyosakiの“Rich Dad Poor Dad”(『金持ち父さん、貧乏父さん』)は英語を学ぶ経理パーソンにお薦めです。300頁近くあり、最初は圧倒されますが、英語が比較的やさしいことと、内容がバランスシートに関連するお話ですので、経理パーソンには背景知識があるからです。また“I don’t work for money. Money works for me.” といった、なるほどと考えさせられるフレーズもあります。
他に、会計の入門書として、E. Frendo and S. Mahoneyの“English for Accounting”なども経理用の語彙力を増やすにはいいでしょう。
専門知識を英語で学ぶ
また、忙しいビジネスパーソンには専門知識×英語力で一石二鳥を狙うという方法がお勧めです。経理・会計に関しては、下記のような資格取得に向けて学習を進めてはいかがでしょう。
・BATIC(東京商工会議所国際会計検定)
・CIA(公認内部監査人)
・USCPA(米国公認会計士)など
CIAやUSCPAはそれなりに気合いをいれて勉強しないと通りませんが、BATICはお薦めです。簿記検定のIFRS版であり、経理の英語の語彙力を増やすのにピッタリだからです。またIFRS検定というものもありますが、英語で受験も可能ですので、USCPAなどを狙う方もまずは手始めにこれらを試しに受験されてみてはいかがでしょうか。
教養を高める
最後に、グローバルで働くには幅広い教養も必要になってきます。とりわけグローバルではキリスト教など宗教の理解も必要となってきますので、聖書を英語で読んでみるということも役に立ちます。聖書の中でも「箴言」はビジネスマンにもお薦めです。賢人ソロモン王が記した格言集で、様々な徳や不徳、日常における知恵や忠告等が記されたもので、生きていく上での指針が与えられました。まさに「目から鱗」(ちなみにこの言葉も聖書から出ています)です。英語で学ぶに十分な文章の短さで、無料のアプリも出ていますし、日本国際ギデオン協会より英語版聖書を無料で手に入れることもできます。
覚悟を決めて、でも楽しみながら英語学習にとりくもう
Q:グローバルに活躍を目指す学習者にメッセージをお願いします。
私はもともとドメスティックな環境で育ったこともあり、英語ダメダメ君でした。センスも正直ないと思います。しかし、英語ができれば世界が広がることは間違いありません。私は34歳から英語学習を再開しましたが、それでもなんとかなります。しかし英語力上達には秘策はありません。時間をかけ、数をこなすしかないです。
私のようにいったん外資系企業に飛び込んでしまって、自らを四面楚歌の状況に追い込むというのも一つのやり方です。
また、BATICやUSCPAなどの受験を通して、英語×専門性を磨きつつ、国際的企業の経理財務部門に就職するというのも一つの方法です。
いずれにせよ、英語学習方法は各人各様で、楽しみながらやっていけばいいと思います。幸いにも最近は技術革新が進んで、スマホのアプリもいい教材が多数あります。また、レアジョブ英会話のようにオンラインで英会話を実践する場も整備されているわけですし、いい時代になりました。Let’s study English for fun!
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