NY発「ケンセイメソッド」:ハリウッド俳優が、自身の経験を基に開発したアメリカ英語発音法を伝授【レアジョブNY通信#5】

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今回ご紹介するのは、ニューヨーク在住の片岡昇先生です。ハリウッド映画『ブラックレイン』や『硫黄島からの手紙』などに出演歴のある役者さんでもあります。

片岡先生は、正しい英語が話せなくて映画のオーディションに何度も落ちた苦い経験を基に、独自のメソッドを編み出し、日本人のためのアメリカ英語発音トレーニング法「ケンセイ・メソード(Kensei Method)」を考案しました。

ニューヨーク在住歴14年になる私、安部かすみが、ケンセイ・メソード誕生秘話や正しい英語の発音法について、片岡先生にインタビューしてきました。

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片岡 昇 先生

発音ができず落ちたオーディションは数知れず

Q:渡米したのは1974年とのこと。その頃から役者を目指していたのですか?

高校生くらいのときから、将来は海外に出て剣道を教えようと思っていました。カナダのトロントに叔母が住んでいたので、まずカナダに行きました。でもすでにそこには剣道の師範がたくさんいてチャンスはあまりなさそうだったので、シカゴ、メキシコを経てニューヨークにたどり着きました。

ニューヨークは来てみて、すごく面白い街だと感じました。僕みたいな人でも受け入れてくれる懐がこの街にはあった。飲食の仕事もたくさんあったので、皿洗いからウエイター、キッチンヘルパーまでいろんなことをしました。NYC Transit Authority(ニューヨーク都市交通局)が川崎重工業の車両を発注した際には、間に入って手伝ったりもしました。

Q:俳優になったのはどのようないきさつですか?

映画プロデューサーの知人が僕が剣道をしていることを知り、「忍者の映画を作るんだけど出てみない?」と誘ってくれたんです。1980年代初頭のことです。

実は僕がもともと剣道を始めたのは、幼いころに「将来は侍の映画スターになりたい」と思ったからでした。しかし、まさかニューヨークで声がかかるとは夢にも思っていませんでしたね。

残念ながら映画はその後ボツになってしまったのですが、その後もブロードウェーのダンスカンパニーに8年間所属し、演技、歌、ダンスを一から徹底的にやりました。

Q:1989年、ハリウッド映画『ブラック・レイン』で初めて台詞のある役を得ましたね。どのように決まったのですか?

ダンスカンパニーに在籍中、役者として映画やコマーシャルのオーディションに挑戦していたわけですが、だいたい台本を2行ぐらい読むと“That’s wonderful”(すばらしい)と言われ、ドアまで見送られるわけです。“Keep working”(引き続きがんばってね)と。要はそこでオーディション終了ということです。

ある日、エージェントから紹介されたオーディションが23歳の役でした。「それは無理や。俺、40になったばかりやから」って言ったんだけど、「お前若く見えるから大丈夫」って言われて挑戦したのが『ブラック・レイン』です。

オーディションで台本読みがはじまると、いつもは2行ぐらいで終わるのに、そのときは4ページぐらい読ませてくれまして、その後「カメラテストをしたい」と言われました。そうやって主役・高倉健さんの息子役が決まったのです。アメリカに来て15年目のときでした。

Q:わぁ、すごい! でもそこに行き着くまで、辛酸をなめる経験があったと想像します。

そりゃあね(笑)。どうしても映画に出たかったので、ずっと発音矯正の先生にレッスンを受けていました。でも難しいことばっかりを言われるだけで、僕としてはいつまで経ってもわからないし上達もしない。先生も「教えられることは全部教えた」とお手上げ状態。

ほかの先生にもつきました。また耳が聞こえない妹さんを持つ友人にも教えてもらいました。その友人は、僕のStopの“S”がおかしいと指摘したのです。正しい“S”は、舌の先が上についているところから始まらないといけない、と。

それがわかって正しい“S”の発音ができるようになったとき、英語の母音や子音の舌の動き、関連性など全部が見えてくるようになりました。それからですね。“Ear”と“Year”、“Cop”と“Cup”の違いなども全部わかるようになりました。

日本人ならできる! それがケンセイ・メソード

Q:それで辿りついたのが「ケンセイ・メソード」というわけですね。

そうです。僕が教えているのは簡単に言うと、日本語の音(舌の動き)から英語の音(舌の動き)に変化させて覚えているいくやり方です。だから日本語を母国語とする人は、誰でも“簡単に”正しい英語の発音ができるようになります。

僕は発音矯正の先生とよく誤解されるのですが、発音矯正というのは例えばニューヨークのブルックリン訛やアメリカ南部訛の英語を矯正する場合のことで、僕が教えているのは「新しい発音を作るやり方」です。

例えば、日本語の「ら」と英語の“Ra”、“La”は3つとも発音が違います。日本語の「ら」は、アメリカ人が聞くと“D”の音に聞こえます。だから「ら」からどうやったら正しい“Ra”や“La”の発音ができるようになるか、またその練習法を教えます。

レッスンは大きくわけて3つのカテゴリーがあります。(1)発音(2)リズム(3)スピーチです。

練習しやすいように、レッスンでは子音を日本語の「あいうえお」に当てはめて発声してもらいます。

例えば“Ear”と“Year”の違いについて。“Ear”の“E”は日本語の「い」の音と同じ。
しかし“Year”の“Ye”は「い」ではありません。どうやって発音の練習をするのかというと、“Ya”,“Yi”,“Yu”,“Ye”,“Yo”と反復練習して、口の筋肉を使って記憶してもらうのです。

「あいうえお」に当てはめるのは、日本人が練習しやすいからです。僕の教えた通りにすると、本当に簡単に発音できるようになります。

アメリカ人の発音の先生も驚いていますよ。「アメリカ人はこんなこと気付かないし、説明できない」って。それはそうでしょう。僕がまだうまく発音できないころ、「何でできないんだ? 子どもだってできるよ」と言われたぐらいですから(苦笑)。生まれながらにして発音ができる彼らに、論理的な説明ができるわけがないのです。

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ニューヨークの自宅でスカイプレッスンを行う片岡先生。
最近、コマーシャルのオーディションのために白髪に染めたという。

Q:定期的にレッスンを実施中とのこと。どういう方がレッスンを受けていますか?

ほとんどの生徒さんが日本在住もしくはカナダなどに在住の日本人の方なので、主にスカイプレッスンを行っています。早稲田大学の英語の教授が週3回のペースでもう何年も熱心に僕の英語スピーチレッスンを受けてくれていて、その方が僕を招待してくださり、昨年11月に早稲田大学でワークショップも行いました。また今年の5月にはシンガポールのケンセイ・メソード支部でも出張セミナーを行い、現地在住の日本人が参加してくれました。

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片岡先生がニューヨーク大学のスピーチコーチ、ボビー・トロカ教授と共に、制作に4年の歳月を費やした「日本人のためのアメリカン英語発音トレーニングブックCDs」。ニューヨークの紀伊國屋書店とKensei Methodのウェブサイトで販売中。

Q:正しい英語の発音ができるようになるために大切なことは何でしょうか?

とにかく練習を積むということですね。ダンスや空手と同じです。たった2~3週間練習をしてプロになれるわけないですよね? 1年やっても足りないですよ。練習を正しい方法で続けてください。がんばって反復練習をしていくと、そのうち正しい英語の発音が簡単にできるようになります。

取材・執筆・撮影:安部かすみ
編集:岡徳之

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