英語がなかなか話せない原因の一つに「正しく話さなければならない」という思い込みがあります。文法を中心とした受験英語にどっぷりと浸かってすごしてきた私も、それは同じです。
ですから、子どもに英語で話しかけてみようと思ったときに、「ちゃんとした英語で話せるだろうか」というのがとても気がかりでした。自分の英語力で大丈夫だろうか、間違ったことを教えてしまったらどうしよう、と。しかし、1年半ほどですが、3人の子どもに英語を少しずつ使うようになって、分かってきたことがあります。「正しく話さなければならない」というプレッシャーは、まったく意味がなかった、ということです。
正しい英語の圧力が、子どもを英語嫌いにさせる
なぜなら、そもそも「正しい英語で話そう・話させよう」という気持ちが、子どもを追いつめて、英語嫌いにさせてしまうからです。最初は、私もいちいち長女の英語を直していました。What did you eat for school lunch?「給食に何食べた?」との質問に、“I eat rice, meat and salad.”と答えたら、すかさず「過去だからeat じゃなくてateだよね」と。こんなことを続けていたら、だんだん英語の口数が減ってしまったのです。それもそうですよね。せっかく「英語で話した! 話せた!」という気持ちを、私がことごとくつぶしていたのですから。
よかれと思って、親は子どもの英語を訂正してしまいますが、子どもにとっては余計なお世話。一番子どもの意欲をそぐのが「子どもの英語をなおす」こと。それに気がついてからは、めちゃめちゃな英語を耳にしても、そこをぐっと我慢。英語自体を口にしたことをほめようと心がけています。
そのため、現在わが家ではめちゃめちゃな文法の英語が飛び交っています。先日もSkypeレッスンでの“How is the weather today?” (今日のお天気は?)
という先生の質問に、末っ子の息子が“Sunny.”と答えると、すかさず次女が
“I’m sunny. だよ!”と訂正していました(もちろん正しくはIt’s sunny.です)。
自分で間違いに気がつけば、忘れない
自分で間違いに気がつくと、それは子どもにとって忘れられない大発見になります。次女はある時「秘密だよ」という口調で、「1個以上のときはね、最後にSがつくんだよ」と教えてくれました。単数と複数のルールを自分で「大発見」した日のことです。きっと娘は単数、複数のルールを忘れないと思います。
れは大人でも同じだと思います。会話での恥ずかしい思いや、テストでの痛恨のミスは、忘れたくてもわすれられないものですから。
どうしても放っておけないなら
とはいえ、どうしても放っておくのがイヤな方もいると思います。その場合は、さりげなく同じ言葉を繰り返すふりをして、正しい文で話すといいと思います。それは子どもが小さい頃に、日本語を教える方法と同じです。
例えば、I’m sunny. と子どもが話したら、「そうだね。今日は暑いから、It’s sunny.だね」というふうに。直後でなくても、別の日に、It’s sunny.という言葉を繰り返し使えば、子どもは自然とそちらを使うようになるはずです。子どもの「ママの真似をしたい」という気持ちは、とても強いものです。それを利用しない手はありません。
日本語を話し始めた頃を思い出そう
子どもが日本語を話し始めた頃を思い出せば、単語や文法がめちゃくちゃでもまったく気にならなかったのに、英語になると「文法通り病」になってしまうのはなぜでしょうね。それだけ自分自身、正しい英語の圧力に押しつぶされているからだと思います。ここは、大人ももう少しリラックスして、子どもと一緒に英語を楽しむ気持ちを持ちたいものです。
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