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その昔、私が高校の夏休みにイギリスの小さな町でホームステイをしていたときのことです。ステイ先の住所を覚えて街中に出て、いざ帰ろうと思ってすれ違う人に道を尋ねてみても、皆首をふるばかりで一向に返事がもらえません。「住所を間違って覚えたのか、よっぽど発音が悪いのか…」とあれこれ考えていたところ、何人目の人がようやく「ああ、わかった!」という表情で「Oh, Lincoln Street!」と叫びました。
このLincoln StreetのLincolnは、「リンカーン」と読みます。あの有名なアメリカ大統領の名前と同じつづりですね。それを知らなかった私は、そのまま「リンコルン」と発音していたので、なかなか理解してもらえなかったのです。今回は、そんな目に遭うことがないよう、読み方が意外に難しい英語の地名・人名をご紹介します。
日本でもおなじみ、Worcesterの読み方は?
イギリスの地名には変則的なものが多く、知っているはずでも一目見ただけでは読めなかったりします。例えば下記は皆さんもなんらかのかたちで耳にしたことがあるはずの名前なのですが、読み方はご存じでしょうか。
1) Buckingham
2) Greenwich
3) Worcester
1はロンドンの「バッキンガム宮殿」でおなじみ。hはほとんど発音されず「バッキンガム」と読みます。2)は昔学校の地理の時間に習ったはずの、「グリニッジ子午線」がある「グリニッジ」。「グリーンウィッチ」ではありません。3は日本の「ウスターソース」という名前のもとになっている、「ウスター」。「ウォーセスター」ではありません。
アメリカも、いろいろな民族の文化が集まっているためか、英語としては意外に読みづらい名前があります。例えば以下の地名、発音を聞けばきっとどこかで耳にしたことがあるはずなのですが。
4) Albuquerque
5) Plymouth
6) Tucson
4はアメリカ南部の都市「アルバカーキ」。「アルバクェーク」ではありません。5は17世紀にイギリスの清教徒がメイフラワー号に乗って上陸した「プリマス」。学校の歴史の教科書に載っていましたね。6は「トゥクソン?」「タクソン?」と呼んでしまいそうですが、cを読まず「トゥーソン」と言います。アリゾナ州の代表的な都市のひとつです。
「オードリー・ヘプバーン」を英語で書ける?
最初に挙げたLincolnだけでなく、英語の人名にも読みにくいものがあります。通りや広場の名前などに使われることがよくあるので、覚えておくと便利かもしれません。読みにくいことで知られているのは、例えば以下のようなものです。
Stephen スティーヴン
英語では「ステフェン」とは読みません。アメリカのホラー作家のスティーブン・キングはStephen Kingと書きますね。なお、スティーヴンはStevenと書くこともあります。
Graham グレアム
イギリスの作家Graham Green(グレアム・グリーン)などが有名。正確には「グレイアム」と発音します。
Audrey オードリー
映画「ローマの休日」などで知られる女優Audrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)がいますね。auというつづりは「アウ」ではなく「オー」と読むことが多いのです。
また、英語圏以外の人名の、英語での読み方は、日本人にはまったく見当もつかないようなものであることがあります。例えば、英語で以下のように言ったとき、誰のことかわかるでしょうか(世界的に有名な人たち。きっと皆さんご存じのはずです)。
a) ヴァン・ゴウ
b) コンフューシャス
c) ガータ
aはVan Gogh、日本では「ファン・ゴッホ」と呼ばれているオランダの画家です。bは中国の思想家孔子のことで、英語ではConfuciusと書きます。cはドイツの文学者Goethe(ゲーテ)のこと。Do you know Goethe?(ドゥユーノウガータ?)なんて聞かれたら、No.と答えてしまいそうですね。英語では元の言葉の「つづり」を英語風に読むのに対し、日本語は元の言語の「音」に比較的忠実であろうとすることから、こういう違いが生まれてしまうようです。
身近なところにある、当然知っているはずの地名・人名も、このように意外にその音やつづりをきちんと理解できていなかったりします。気になる地名、人名があったら、ぜひ今度辞書で調べてみてください!
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