英語学習のために、英字新聞や英語ニュースアプリを読んでみたいと思ったことがある方もきっと多いはず。しかしいざ読み始めてみると、知らない表現や単語が多いし、どんな文章の構成になっているのかがわからなくて読みづらいと思ってしまったことはありませんか?
しかし、多くの人に読まれることを目的としている英字新聞・英語ニュースは、実はとてもシンプルな構成でできているのです!
レアジョブ英会話の公式教材である「Daily News Article」を題材に、旬な英語ニュースの読み方を解説する新連載シリーズ『ニュースな英語』。その初回となるこの記事では、具体的なニュース記事を題材に基本的なニュースの構成と特徴、覚えておきたい文法・語法をご紹介します。
今回使う教材はこちらです。
(イギリスの生徒たちは自国の教育システムに不満を抱いている)
英語ニュース記事の構成はこんなに簡単!
英語ニュースの構成のポイントはたった3つ。この3つを覚えておき、何度も記事を読む習慣をつければ、英語ニュースを読むことが楽しくなること間違いなしです。
シンプルな記事の順序
どんな英字新聞・英語ニュースにも共通する構造は以下のとおりです。
②リード文に書かれていることの背景とその詳細の段落(more details or background)
③さらに詳細なニュースのポイント(even more details)
英字新聞というと、文章が長いと思う方もいらっしゃることでしょう。しかし、最後の③以降はさらに詳細が付け加えられている程度なのです。
ニュースの肝となる上記の①〜③のポイントは、読者にとって一番知りたい「概要」から、重要性の高い順に情報を書き出していくという構成になっています。新聞、webニュースを問わず、報道記事にとって大切なのは、忙しい読者が瞬時に内容を把握できるように情報が逆三角形の形に配列されていること。
この「情報の逆三角形」という構成を掴むことができれば、ほとんどのニュース記事の全文を読む必要はありません。自分のニーズに合わせて、ポイントを理解する程度であれば、①〜③だけ読むのでも十分と言えるでしょう。
① 記事の重要なポイントが凝縮されているリード文
リード文とは、ニュース記事の最初の段落のことを指します。例えば、今回の教材記事では、以下がリード文となります。
Students in the United Kingdom think that their education system does not equip them enough for the workplace, a new study has found.
(イギリスの生徒たちは自国の教育システムが、就職をしていく上で十分な力を身につけられるものではないと考えていることが新しい調査が明らかにした。)
リード文を読むときに心がけたいことは、これから記事ではどんなことについて書かれていくのかを知ることです。このリード文のキーワードは、「イギリス」「生徒」「教育システムへの不満」「就職」といったところでしょう。自分が分かる範囲でキーワードとなるものを把握することが英語記事を理解する上でとても大事です。
またニュース記事を読む上では「The five W’s」と呼ばれる5つのW(Who,What,When,Where,Why)を理解することが大事だと言われています。皆さんはこの一文を読んで、Who(誰が)とWhat(何を)の大まかな概要がわかりましたか?
リード文は英語記事の最重要な根幹となる部分です。リーディング教材として英語記事を利用したい場合には、このリード文の中からトピックの中心となるセンテンスに下線を引き、以下の段落とそのトピックセンテンスとの関係を探っていく、という風に読解を進めていくのがいいでしょう。
② リード文に書かれたことの背景を解説する段落
リード文のすぐ下の段落を見ていきましょう。
Research by GetMyFirstJob, a web-based apprenticeship advisor, reported that 98% of students aged 17 to 18 are dissatisfied with the UK curriculum. The students believe that schools need to exert more effort in preparing them for future employment, instead of placing too much pressure on getting high grades.
(ウェブでの仕事見習いのためのアドバイザーである、GetMyFirstJobのリサーチは、98%にも及ぶ17〜18歳の生徒たちがイギリスのカリキュラムに不満を抱いていると報告した。生徒たちは学校が高い成績をとるプレッシャーをかける代わりに、将来の就職のための準備にさらに取り組む必要があると確信している。)
2つ目の段落では、リード文で提示されたトピックに対してさらに詳しく説明を加えています。この段落では、「どのくらいの割合の生徒たちが不満を抱いているのか?」「生徒たちの年齢はどのくらいなのか?」「不満の背景にある事情はなんなのか?」の主に3点が簡潔に明記されていることがわかります。
ここの段落では、5つのWのWhy(なぜ)、Who(誰が) のより具体的な詳細がわかったことでしょう。リード文の主語はStudentsとのみ書かれていましたが、ここでは具体的な年齢がわかりました。割合や年齢などといった具体的なデータや数字を把握することは、記事の大枠を捉える上でもとても重要な作業になります。
③より詳細なデータやニュースの様子を示す記述文
英語記事の3つ目の段落以降では、その前の2つの段落で述べられていたことをさらに深く、詳しく掘り下げていく段落となります。
The study was conducted before the release of the A-level results on August 18, 2016. The A-Level, or Advanced Level, is an examination that students have to pass to enter universities in the United Kingdom. Thousands of students depend on its results to decide how to continue their higher education. A survey by another UK website has found that 56% of new graduates feel that getting a degree makes them more qualified for a job.
(この調査は、Aレベルの結果が発表される前の2016年8月18日に行われた。Aレベルとは上級レベルという意味で、イギリスの高校生が大学へ入学するために通過しないといけない試験のことだ。多数の高校生がこの試験の結果を当てにして、どのように自分の高等教育を続けていくかどうかを決める。他のイギリスのウェブサイトの調査では、高校を卒業した生徒たちの56%が、学位を取得することで、仕事に対してよりふさわしい人材になれると思っていることを明らかにした。)
ここではThe five W’sのWhy(なぜ)、つまりイギリスの高校生がなぜ教育システムに不満を抱くのかを示す部分の背景となるイギリスの教育制度について触れられています。
こちらではまだ本題については書かれていませんが、本題を理解するために知っておかなければいけない情報が盛り込まれています。ここの部分をよく理解しておけば、次からの段落で述べられているイギリスの高校生が抱く教育制度への不満がわかることでしょう。
英語ニュースを読むために覚えておきたい文法・語法
英語ニュースの軸となる構成についておさらいしたところで、ここからはニュースを読み解くために必要な文法・語法について細かく解説します。
論理展開を明示する語句に注意!
仮に、英語ニュースに登場する単語について、1ワードずつ逐語訳的に日本語に置き換えたとして、それがニュースの読解になっているかといえば決してそうではありません。書き手が提示している「文脈」を理解して初めて、読者はその報道内容の重要性にたどり着くことができるのです。
そのためには、書き手がただ単に情報を羅列しているだけではなく、ひとつの論理的な構造の元に情報を並べていると意識して、文章を読んでいくことが大切になります。その論理構造を正しく把握するためには、センテンス同士の関係を示す「接続詞」や「副詞(句・節)」部分に注目するのが一番確実な方法です。これらの論理展開を明示する語句は「ディスコース・マーカー」(discourse marker)と呼ばれます。とりわけ前文とは真逆の内容を提示する「逆接」の接続詞・副詞の後には、書き手が強調したいポイントが書き出されていることが多いため要注意です。
今回の文章では、第4段落の冒頭に位置する「However」(しかし)という副詞に注目してみましょう。この逆接の副詞を挟んで、書き手は「イギリスの学生は自国の教育カリキュラムに不満を抱いている」→「しかし、大学への進学だけが高校卒業後の学生に与えられたオプションであるわけではない」という、相反するトピックを置いているのです。
読者はクルマを運転するドライバー、ディスコース・マーカーは道路標識だと思えば、こうした対比・対照の関係に注目することで、書き手の提示する「論理の曲がり角」に気がつきやすくなるのです。
過去形?現在形?時制を注意深く確認
ニュース英語を読んで理解する時に気をつけたいことは、その事件がいつ起こったのか、そしてそれは現在も続いているのか、それとも終わったことなのかを把握すること。その理解のために大切なのが、文の時制です。
動詞が現在形になっているのか、過去形なのか、はたまた完了形になっているのか……ここを混同してしまうと、事実関係を勘違いしてしまうことにつながりかねません。
今回の記事では、行われた調査について、「a new study has found」(現在完了)と、「the study was conducted」(過去形)という二つの時制が用いられています。どちらも日本語にしてしまえば「新しい研究によって〜〜ということが示された」「この調査は〜〜に行われた」と、過去形に近いニュアンスになってしまうのですが、ニュース記事でこの二つの時制が使い分けられている意図はどんなところにあるのでしょうか。
後者(the study was conducted)については、「過去のある一点(2016年8月18日)においてある調査が行われた」という事実確認的な記述のために過去形が用いられていることがわかります。その一方で、前者(a new study has found)については、過去に行われた調査を現在の視点から振り返るために現在完了形が用いられているのです。
ニュース報道の役割とは、「過去の事実」を編集し、読み手の「現在」にとって意味のある情報に置き換えることだと思えば、これら二つの時制の使い分けについてイメージしやすくなることでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は知らないと損する英語記事の簡単な構成と、ニュースを読む際に気をつけておきたい語法と文法についてご紹介しました。これらはすべて基本です。今回学んだことをもとに、いろんな英語記事を読んで、英語で情報収集する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
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