日本語の「まずは」という言葉は、短い言葉ながら、ニュアンスの異なるいくつかの意味をもっています。
メールの文末で書く「まずはご報告まで」という表現や、「まずは君に謝らなきゃね」という会話表現なども、日本語では「まずは」という言葉一つで済みますが、英語ではその意味に応じた表現に変えていく必要があります。
今回は、英語で「まずは」と言いたい時の英語表現をご紹介したいと思います。
「まずは」の日本語表現にはどんなものがある?
日本語の「まずは」という言葉は、ニュアンスが異なる3つの意味があるというのをご存じでしょうか。
例えば、「まずはお礼をいわなきゃね」と言う時の「まずは」は、「最初に」「はじめに」という意味を持っています。
また、「まずはこれでよし」と言う時の「まずは」には、「だいたいのところは」「ひとまず」という意味があります。
更には、「まずは一休みしよう」という時の「まずは」には、「ともかく」「何はともあれ」という意味もあります。
このように意味の異なる3つの「まずは」を英語で表現する際には、それぞれに応じて異なる英語表現を使う必要があります。そこで次に「まずは」の各意味に対応する英語フレーズをご紹介していきたいと思います。
「まずは」の英語表現をマスターしよう
「まずは」には大きく分けて3つの意味があります。それぞれの意味に対応する英語フレーズを例文とともにご紹介したいと思います。
「最初に」「はじめに」という意味の「まずは」
「まずはお礼をいわなきゃね」という時に使う「まずは」には、「他のことに先んじて、最初に」という意味があります。「第一に」「一番はじめに」と言い換えることもできます。
こういった優先順位をつける働きをする「まずは」を表現するフレーズが、英語にはいくつかあります。
First of all
First of all, I have to say thank you.
(まずはお礼をいわなきゃね)
First of allは、「全てのものの中で一番最初」と直訳できるように、「まず最初に」という意味があり、一番最初にするものの優先順位を明確にする働きがあります。発音するときは「ファースタブル」と3語を繋げて発音するのがネイティブ流です。
Firstly
He firstly washes his face.
(彼はまずはじめに顔を洗う)
Firstlyは、文頭に置くこともありますが、このように文の途中に置くこともできます。
優先順位を列挙する時に用いる事が多く、その場合は「Secondly (第二に)」「Thirdly(第三に)」「Lastly(最後に)」と文章を続けることができます。
To begin with
To begin with, I’d like to ask you a few questions.
(まずは皆さんに少し質問したいと思います。)
ここでのTo begin withは、この3語で熟語として「まず第一に」という意味があります。たいてい文頭で例文のように用いられ、First of allと同じように最初にすることの優先順位を明確にする働きをします。
Withという前置詞があるのでつい後ろに名詞や動名詞を置きたくなりますが、「まず第一に」という意味でこの語を用いる時にはwithの後ろに名詞や動名詞を入れることはできません。
「だいたいのところは」「ひとまず」という意味の「まずは」
「まずはこれでよし」という時に使う「まずは」には、「十分ではないがこれで概ね良い」という意味があります。「だいたいのところ」「ひとまず」という言葉に置き換えることができるでしょう。
この「まずは」には、「今後のことは別にして、とりあえずその時点で一応の区切りをつける」という働きがあります。この「まずは」を表現する英語フレーズには下記のようなものがありますよ。
For now
It should be fine for now.
(まずはこれでよし)
この文の場合、For nowが「先のことは別にして、とりあえず今はこれでよし」と一区切りをつける働きをしています。
For nowはビジネスの場でもカジュアルな場でも使うことができる便利な言葉ですが、Nowが入っていることからも想像できるように、現在の出来事についてのみ使える表現です。過去の出来事については使えませんので、ご注意くださいね。
For the time being
I felt relieved for the time being.
(まずは安心した。)
For the time beingも「当面は」「ひとまずは」という意味があり、For nowと同様、一区切りを表したい時によく使われる英語フレーズです。
ただし「For now」とは異なり、過去の出来事と一緒に使うことができます。
This is just quick〜/ This is a quick note to 〜
This is just quick information.
(まずはご報告まで)
This is a quick note to thank you.
(まずはお礼まで)
とくにビジネスメールの文末で使われる「まずはご報告まで」や「まずはお礼まで」という表現は、「これだけが全てではないが、ひとまずは」と一区切りを表す意味があります。
英語で表現するには上記のような決まったフレーズをまるごと覚えてしまうのが良いでしょう。
「ともかく」「何はともあれ」という意味の「まずは」
「まずは一休みしよう」という時に使う「まずは」には、色々やらなければいけないことがあるけれども、「当面はこれを優先させよう」という意味があります。「なにはともあれ」や「ともかく」という言葉と置き換えることができます。
「不確かな点はさておき、とりあえず何かを実行したり判断したりする」時に用いられます。この「まずは」と同じ意味の英語フレーズには下記のようなものがあります。
Anyway
Let’s take a break anyway.
(まずは一休みしよう)
Anywayは色々な意味がありますが、その意味の一つに「ともかく」というものがあります。先のことは不確かだけれど、当面はこれを実行しようというときに使われます。ネイティブの日常会話にもよく出てくる便利な言葉ですので、ぜひ使ってみてください。
In any case
In any case, I’ll call you tomorrow.
(まずは明日電話するね)
In any caseもAnywayと意味は似てはいますが、「case (場合・状況)」とついていることから、「どんな場合でも」「どんな状況になろうとも」という意味が根底にあります。将来の状況は不確かだけれども、どのようになっても明日電話するよ、と判断しているのが、例文の本来の意味です。
まとめ
いかがでしたか?「まずは」という言葉は短い日本語ではありますが、英語で表現するには意味に応じて色々なフレーズを使い分ける必要があります。
特にビジネスメールの最後に用いられる「まずはご報告まで」などは、英語への変換フレーズを知らなければ自分ではなかなか思いつくことができませんので、ぜひこの機会に1文をまるごと覚えて使ってくださいね。
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