とても便利なのに、学校英語でしっかり習わない単語があります。副詞の「then」です。学校では「あの時」という意味で習う単語です。
でも、英会話ではもっと便利な使い方があるんです。なんと、日本語の「じゃあ」「それじゃあ」と同じ意味で使うことができます。相手のはなしを聴いて、「じゃあこうしようよ!」という場面、日本語にもたくさんありますよね? そういう時、「then」を使えば、同じニュアンスのまま伝えることができます。
今回は、会話に便利な「then」の表現をマスターしましょう。あわせて、きっちりとした書き言葉でも使える表現を紹介します!
「then」=英語の「それから」「それじゃあ」順番をはっきりさせることば!
「then(それから、それじゃあ)」は17世紀ごろに、「than(それよりも)」から変化した単語です。いちばん基本的な使い方は「出来事の順番」を表わすものです。「Aして、それからBをする」という場合ですね。
First cook the vegetable, then add the beef.
(先に野菜を調理して、それから牛肉を入れます。)
First play a video game, then watch a movie.
(まずテレビゲームをして、それから映画を観る。)
このように、出来事の順番をはっきりさせるために使うのがthenの基本的な使い方です。「after that(その後で)」と使い方は似ていますね。
この使い方から生まれたのが、「思考の順番をはっきりさせる」使い方です。「まずAというものがあって、それによってBという考えが生まれたんだ」というように、思考の生まれた順番をはっきりさせるためにthenを使うことが多くあります。
Aさん:It’s hot today.
(Aさん:今日は暑いですね。)
Bさん:Then let’s turn on the air conditioner.
(Bさん:それじゃあエアコンをつけましょう。)
Aさんが熱いと言ったということが先にあって、だからエアコンをつけるという会話の流れになっていますよね? thenは、そういう場面で「会話の流れ」をはっきりさせるために使われます。日本語の「それじゃあ」とか「それなら」ということばに似ていますね。
細かい時制を持つことからわかる通り、英語は日本語よりも、時系列をはっきりさせたがる言語です。ですから、thenは日本語の「それじゃあ」にくらべてよく使われます。
「then」が使える場面はいつ?カジュアルな会話の場面での例文集
thenは日常的な会話の色々な場面で使われています。
①順番をはっきりさせたい場合
Today, I ’m going to go to the supermarket, then have a dinner.
(今日は、私はスーパーに言って、それから夕飯を食べるつもりだ。)
予定の順番をはっきり伝えたい時にthenを使います。
②何かの手順をはっきりさせたい場合
First read a book, then note what is important.
(まず何かの本を読んで、それから大事なことをメモする。)
手順が決まっていることの手順をはっきりさせたい時、thenを使うことが多くなります。
③相手の発言につなげて「それじゃあ」「ってことは」
Aさん:I love this musician.
(Aさん:このミュージシャン好き。)
Bさん:Then, have you listened to this song?
(Bさん:じゃあ、この曲聴いたことある?)
④文の最後に使って、「それじゃあ」「ってことは」
Aさん:I have been to Thailand for 3 years.
(Aさん:タイに三年滞在したことがあるんだ。)
Bさん:You can speak Thai then?
(Bさん:じゃあタイ語話せる?)
⑤相手のことばを受けて、何かを提案する
Aさん:I still don’t understand.
(Aさん:まだよくわかっていません。)
Bさん:Then, let me explain.
(Bさん:なら、説明させてください。)
大きく分けて、このような使い方があります。どれも、実際の会話の中でよく出てくるシチュエーションですね。
フォーマルな場面での「それじゃあ」はどんなものがある?
thenはよく使うことばですが、少しカジュアルなニュアンスがあります。硬い文章を書いている時には使いにくい場合も。その場合には、therefore(従って)ということばがあります。
I think, therefore I exist.
(我思う、ゆえに我あり。)
有名なデカルトのことばの英語版です。「私は考えている」という事実があって、「じゃあ私は存在するよね?」という思考の順番がはっきりさせられていて、thereforeの意味がわかりやすい例です。もう少し一般的な例ですと、
The blizzard grounded all the flights; therefore, she would not be able to fly home for the holidays.
(ブリザードが飛行機を離陸不能にしたので、従って彼女は休みに家に帰れなかった。)
例文出典:「Your Dictionary」
これも、ブリザードが「飛行機を離陸不能にした」ことが先に有って、だからこそ「家に帰れない」ことが起きています。thereforeはthenと同じように、その前後関係をはっきりさせているとみることができるでしょう。
「and then」「but then」……「しかも」「でも」付け足しの英語
thenには他のことばと組み合わせて、少し意味を付け足すこともできます。and then で「しかも」、but thenで「でも」の意味を表わします。どちらも、「前に他の話をしていて、それに付け加える」表現になります。
We have to invite your parents and my parents, and then there’s your brother.
(あなたの両親と私の両親を招待しなければならない。それにあなたの兄弟もいるし。)
例文出典:「研究社『英語談話標識用法辞典』」,p99.
まず、お互いの両親を招待するということを確認します。その上で、付け加えて「あなたの兄弟」に触れていますね。
It’s easier to take a taxi. But then again you can’t always get one.
(タクシーに乗る方が簡単だ。とはいえ、いつもタクシーがつかまるとは限らない。)
例文出典:「研究社『英語談話標識用法辞典』」,p99.
but thenも同じで、自分で運転するよりタクシーの方が楽なんだと先に伝えた上で、その反対のことを付け加えています。
and then, but thenのどちらも、「先に何かがある」→「その後に何かを付け加える」という部分はthenと変わりません。「Aがあって、Bがある」という関係をはっきりさせるために使うのがthenの特徴なのですね。また、どれもとても日常会話らしい表現です。
まとめ
thenは日常会話でよく使う、話の流れをはっきりさせるためのことばです。手順をはっきりさせたり、相手の意見を受けて何かを言ったりするとき、これが使えるととても自然な英語になります。
また、thenには、ものごとや考えの前後関係をはっきりさせたがる英語の特徴がよく出ています。thenの使い方がわかると、英語的なものの考え方に一歩近づきます。thenに限らず、thereforeのような書きことばも理解できるようになります。もっと言えば、英語の時制の考え方にも理解が深まるはずです。
thenの使い方をマスターして、英語的な考え方を身につけましょう!
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