英語を勉強していて、退屈だと言われるものの代表がリーディングです。1人でもくもくと本を広げて、ちまちま辞書を引いて……。好きな人にはたまらないことでも、苦手な人にはとことん苦手な作業です。
最近語学教育で注目を集めているのが、ピア・リーディングという考え方です。1人でもくもくと読書するのではなく、みんなで1つの文章を読んで、コミュニケーションを楽しむという読書の仕方。これが近年大きく注目されています。
今回は、ピア・リーディングの始め方をご紹介します。新しいスタイルの練習で、リーディング力をアップしましょう。
リーディングは英語の基本!
リーディングは英語のいちばんの基本です。新しい表現や単語に、ほんものの英語の中で出会うためには、リーディングが欠かせません。もちろん、ドラマや日常会話からでも英語は勉強できますが、きちんとした表現を身につけるのにもっとも効率がいいのはリーディングでしょう。ドラマや映画にはかたい表現は出てきにくいですし、見返すのも大変だからです。
語学の達人はみんな読書家
語学の達人には、読書家が多いと言われています。美しい英文で評価が高い『武士道』を書いた新渡戸稲造が、大読書家だったのは有名ですね。5か国語の同時通訳、10か国語の通訳、16か国語の翻訳をこなす語学の達人ロンブ・カトー氏も、著書の中で「語学のコツは多読熟読」と述べています。
筆者の周りの「日本語の達人」留学生たちにも読書家が多いです。あるイギリスの友人は、話すのが好きではない性格なのに、日本人よりもハイレベルな日本語を操ります。彼に勉強のコツを聞いてみると、やっぱり「多読」だと言っていました。「イギリスの大学にはほとんど日本語の本がないので、なぜか図書館にあった10年前の『AERA』をむさぼるように読んだ」とのこと。
リーディングの力は思った以上に大きいのです。
ピア・リーディングは「仲間とリーディング」
そんなリーディングですが、1つ欠点があります。「面白くない」のです。もちろん、本が好きな人なら問題ありません。ですが、私も含めて読書がそこまで好きでないという人も大勢いるかと思います。集中力が続かず、2ページで止めてしまった……なんてこともよくありますよね。本の内容について誰かに教えてもらう……というのもちょっと本末転倒です。
この問題は日本人に限ったはなしではありません。1人でもくもくと勉強するのは大変だし、誰かに教え込まれるだけでも味気ない、そんな中で生まれてきたのが「ピア・ラーニング」という考え方です。
『Peer Learning』=仲間と学ぶ
「ピア・ラーニング」は仲間(peer)といっしょに勉強する(learning)という意味で、その名の通りだれかといっしょに勉強するという考え方です。「ピア・リーディング」はその一種で、仲間といっしょに読書するという意味になります。
日本では、日本語教育で注目されたテーマです。ただ知識を教え込むだけでなく、どうやったら豊かに学べる「場」を作れるか? と長く議論され、その結晶として生まれた勉強方法なのです。
1人でもくもくと読むよりも……
本来のピア・リーディングは、複数の学生+サポート役の先生で行います。ですが、英語のリーディングの勉強なら、必ずしも先生は要りません。大事なのは、1人で読むのではなく、誰かと勉強する「場」を共有することです。
実践! ピア・リーディング
ピア・リーディングの実践は、①仲間探し、②本探し、③実際に読む、④内容のおさらい、⑤議論の5ステップがあります。
ピア・リーディングの進め方
1.仲間探し:まず、いっしょに勉強する人を探します。2~6人くらいがやりやすいでしょう。
2.本探し:読む本を探します。全員がある程度「読みたい!」と思えるものを探しましょう。持ち回りで紹介し合うのも有効です。
3.実際に読む:実際に読んでいきます。事前にざっと読んでくる方法と、開催当日まで目を通さずにピア・リーディングのその場で読み合う方法があります。
4.内容のおさらい:内容をおさらいして、自分の読みがあっているか確かめます。
5.議論する:議論を深めます。リーダーを決めて、テーマを選んでもらうとスムーズです。
まずは仲間を探してみよう
まずは、一緒に読書する仲間を探してみましょう。できるだけ近いレベルの人がいいと言われています。まわりに英語を勉強している人がいない場合には、SNSを使って探すのが良いでしょう。Facebookにも、たくさんの英語勉強コミュニティがあります。会って話さなくても、本のPDFファイルとSkype通話でじゅうぶんに勉強することができます。
見知らぬひとと勉強するのに不安がある場合には、英会話スクールに参加してみるのもいいでしょう。英語へのモチベーションが高い人が集まっていますから、そこで友達をつくってピア・リーディングに誘ってみるのも良い手です。
最後に、意外に便利なのが地域の公民館などです。英語の勉強会をしている地域コミュニティは意外に多くあります。同じ地域で生活している人なら、安心して誘うことができると思います。
「私たちの一冊」を選ぼう
本選びは大事なポイントです。ピア・リーディングでは議論の時間が大切になるので、あまり長い本を選ばない方が良いです。短編小説や、長い本の1章だけなどが良いでしょう。
本のテーマはなんでも大丈夫です。大事なのは、一緒に勉強する人同士が興味を持てる内容だということですね。また、議論を盛り上げるために、できるだけ議論の余地のあるものを選びましょう。絵本や詩などは少し使いにくくなります。
先に読んでくる vs その場で一緒に読む
ピア・リーディングでは、先に読んできてから感想だけを話す方法と、その場で一緒に読む方法があります。筆者は後者の方がより学びの機会が多くなると考えています。
わからない単語や表現が出てきたときに、辞書を引くより前に「これどういう意味?」と相手に聴くことによって、お互いに教え合うことができます。教える経験をすることで、ただ読むよりも積極的に英語を学び取ることができるのです。また、めんどうな辞書を引く時間を減らすことができ、よりリーディングに集中できます。
先に読んでくる場合も、担当する場所を先に決めるなどして、「教え合い」がしやすいように心がけましょう
内容をおさらいしよう:もっと深い理解のために
どんな内容が書いてあったか、お互いに説明し合いましょう。自分の読みがあっているかどうか、1人では確認できません。仲間と勉強することで、読みを深くすることができます。
この時、「ジグソー」という勉強法をすることもできます。英文をコピーしておいて、段落ごとにばらばらに切ってしまいます。その上で、みんなでばらばらの段落を、もとの順番にもどすのです。文の流れやトピックの移り変わりを見抜かなければ、もとの順番には戻せません。みんなで話し合って作業するなかで、結果的に読みがもっと深くなります。
感想をシェアしよう:読みを深くする=英語を深く理解する
ピア・リーディングは、もともと「学びの場」を作るために開発された教育方法です。先生が一方的に話したり、生徒が1人で勉強したりといった「一方向」ではない勉強を目指しています。だからこそ、考え方や人生までも豊かになるような勉強ができるのです。
英語の勉強でピア・リーディングをする場合には、大事なのはこのポイントです。感想を出し合い、議論を深めます。内容をみんなでおさらいしているからこそ、英文をしっかりと理解した上で議論ができるのです。1人で読んでいると、どうしてもひとりよがりの理解になりがちですよね? 他の人の意見を聴く中で、より深く・正確に英語を理解できるのです。
まとめ
リーディングは語学マスターのために必ずやらなければいけません。ですが、コツコツタイプでない人にとっては苦痛であったりします。また、1人で読んでいると理解が間違ってしまうことも多く、浅い学びになりがちです。
仲間との学びを通して、より深いリーディング力を目指しましょう!
参照文献
舘岡洋子. (2005). ひとりで読むことからピア・リーディングへ 日本語学習者の読解過程と対話的協働学習. 東洋大学出版会.
石黒圭編. (2018). どうすれば協働学習がうまくいくか 失敗から学ぶピア・リーディング授業の科学. ココ出版.
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