ビジネスシーンで英語を使う機会は、外資系企業だけではなく、今後、より身近になっていくと考えられます。
「来週のA社へのプレゼンは英語で頼むよ」
こんな指示を受けたら、「英語でプレゼンなんて絶対無理」と思ってしまうかもしれません。
実は、プレゼンを成功させる秘訣は、「プレゼンのフォーマット」を意識した事前準備にあるんです。
そこで今回は、英語でのプレゼンの定番フォーマットを基本フレーズとともに学んでいきましょう。
重要なポイントを身に付ければ、英語のプレゼンでも安心です!
英語でのプレゼン「基本の流れ」は?
プレゼンの準備を始める最初のステップは、全体の流れを作ることです。
ここでは、英語でのプレゼンの「基本の流れ」となる構成とそれぞれの役割について確認しておきましょう。
「導入→本論→締め」の3パート
英語でのプレゼンの基本となる構成は、日本語で一般的に行うプレゼンと全く同じです。
基本の流れは、「導入」「本論」「締め」の3つのパートです。それぞれ、英語では「Introduction(イントロダクション)」「Body(ボディ)」「Closing(クロージング)」と言います。
プレゼンで伝えるべき本題の前後に、「始まり」と「終わり」を付けてまとめるというイメージで覚えましょう。
導入の役割
「Introduction(導入)」は、文字通りそのプレゼンの内容を「紹介する」役割を担います。
プレゼンで取り上げるテーマを簡単に説明するだけではなく、どのような構成でそのプレゼンが進むのか、という概要を説明しましょう。
また、特に英語でのプレゼンでは、後述する「アイスブレイク」の役割もあり、聞き手がリラックスして聞きやすい雰囲気を作ることを意識する必要があります。
本論の役割
「Body(本論)」は、プレゼンの芯となる部分です。聞き手に自分の論を明確に伝える役割を担います。
近年では日本のビジネスマナーとしても認知されていますが「Answer first(結論を最初に)」が、英語でのプレゼンでは重要です。
まず核となる「結論」を挙げて、その論を支える根拠や理由・事例を示すことで、プレゼンの本論をしっかり伝えていきましょう。
締めの役割
「Closing(締め)」は、プレゼンの印象を決める重要なパートです。本題で伝えたポイントのまとめをする役割を担います。
プレゼンで伝えたいキーメッセージを、端的にインパクトを残すように述べましょう。ここでは、聞き手に対して「具体的な働きかけ」をするパートでもあります。
また質疑応答もプレゼンの締めで欠かせないパートです。聞き手との直接のコミュニケーションなので、事前に十分な準備をして対応できるようにしましょう。
次に、基本の流れに沿って、実際のプレゼンで活用できるフレーズをご紹介します。
アイスブレイクなど、プレゼンの「導入」で使える英語フレーズ
プレゼンの「導入」は、聞き手がそのプレゼンを傾聴する姿勢を作るために重要なパートです。
「聞きやすい」空気を意識しながら、まずプレゼンをするあなた自身について話して、概要や構成を説明していきます。
具体的にどのようなフレーズで進めていくかを、確認していきましょう。
【挨拶】
I would like to thank you for giving me the opportunity to speak here.
(この場でお話しできる機会を与えていただき感謝しております)
まずは、そのプレゼンができることに対して感謝の気持ちを伝えます。英語は直接的な表現を好むというイメージがある人も多いようですが、このように日本人の私たちにも馴染みのある表現法をして、相手への敬意を表現します。
感謝の気持ちなので、言いよどむことなくサラッと口にできるように、しっかり音読して練習しましょう。
【自己紹介】
I’m 〇〇 from ~.
(私は〜の〇〇です。)
「from ~」部分に、社名や組織名を入れます。日本語名は海外の人にとって聞き取りづらいことが多いので、フルネームを伝えた後で、「Please call me 〜.(〜と呼んでください)」とニックネームを伝えることをおすすめします。
英語圏では、ビジネスシーンでも相手の名前を呼ぶことは関係性を築く上で重要視されているので、相手に自分の名前を知ってもらうことを意識しましょう。
またここで、アイスブレイクとして、場を和ますようなちょっとした話を盛り込みます。例えば、「このプレゼンに緊張しすぎてランチが喉を通らず、今すごくお腹が空いています」といった、何気ない「今の素の自分」を開示するようなトークができるといいですね。
【概要紹介】
Today, I would like to cover 3 points.
(今日は、3つのポイントについてお話ししたいと思います。)
プレゼンの概要を説明します。「cover」は、最近では日本語でも「カバーする」という使い方をしているので、使いやすいですね。
ビジネスシーンで「〜したい」と表現するときは、「would like to」を必ず使いましょう。「want to」は、子供っぽい直接的なトーンに聞こえてしまうので、この機会に「would like to」を使う癖をつけることをおすすめします。
【プレゼン構成説明】
I will be taking your questions at the end of the presentation.
(プレゼンの最後に質疑応答を受け付けます。)
プレゼンでは、質疑応答は重要なパートです。どのタイミングで質疑応答を受け付けるのか、最初に伝えておくことで、プレゼンの本論部分を円滑に進めることができますね。
本題に入る前に、そのプレゼンをどのような流れで進めるのかを聞き手に説明することで、より「聞きやすい」「集中できる」環境を作り出すことができます。
プレゼンの「本論」を効果的に伝える英語フレーズ
いよいよプレゼンのメインである「本論」に入りました。
「本論」では、キーメッセージを伝えるために、聞き手の注意を引き、テンポよく論を展開するために役立つフレーズを使っていきましょう。
【問題提起】
As you all know
(皆さんご存知の通り)
このフレーズは、プレゼンではもちろん、普段の会議でも多用されています。
問題提起をする際に、聞き手の共感を得るために非常に効果的なフレーズです。「you all」とすることで、その場にいる「皆さん」と全体を意識している姿勢を示すことができます。
【具体例紹介】
Let’s take a look at the example to show this.
(これを示す一例をみてみましょう)
例を示すフレーズといえば、「for example(例えば)」が有名ですが、プレゼンでは「聞き手を引き込む」表現を使ってみましょう。「Let’s take a look at」で一緒に確認してみましょう、というトーンになるので、プレゼン向きの表現です。
【比較提示】
Compared to A, B is more efficient.
(Aと比べると、Bはより効率的です。)
キーメッセージとなる論を支える上で、比較の提示は効果的です。この「compared to ~(〜と比べると)」は、比較して論を展開する上で使えるフレーズなので、具体的な例文とセットにして使い方をマスターしましょう。
【話題転換】
Now, let me move on to the next topic.
(では、次のトピックに進みましょう。)
プレゼンでは複数のトピックを扱うことが多い分、話題転換のフレーズは重要な役割を担います。
まず「Now」という「今」を意味する単語は、「さて・では」といった意味のフレーズとして使われています。普段の会話でも、切り替えのタイミングで「Now」ということで、「さて」と次のトピックに進めることができます。
また「move on」と「on」をつけることで、「続く」というニュアンスを出しています。「動かす」という動作に、話が続いている感覚がついているとイメージすると、「move on」のもつニュアンスを理解できますね。
【結論提示】
In concluding my presentation
(このプレゼンの結論として)
プレゼンで何よりも重要なのが、「何を伝えたいのか」という結論です。重要なメッセージだからこそ、「ここからが結論です」ということを示すこのフレーズが役立ちます。
「In conclusion」の代わりに「To conclude」とすることもできます。よく使うフレーズなので、いろいろな言い方ができるように準備しておくといいですね。
まとめと感謝をコンパクトに!プレゼンの「締め」で使えるフレーズ
プレゼンの印象を決めるともいえる「締め」では、コンパクトで端的なまとめと感謝の気持ちを伝えて、質疑応答で聞き手とのコミュニケーションをしてプレゼンをまとめます。
次のような便利フレーズを、「締め」では活用していきましょう。
【展望】
I will continue to work on this.
(本件につき、引き続き取り組んでいきます。)
「continue to ~」で「〜を続ける」という意味です。本論で取り上げた件について、今後の展望を伝えることができます。
「work on」は、ビジネスシーンでは万能フレーズともいえます。今回のように「取り組む」というニュアンスだけではなく、「検討する」に近いニュアンスで「Let me work on your request.(ご要望にお応えできるよう検討します)」というように使うことができます。
【お礼】
Thank you so much for taking the time to join.
(ご出席いただきありがとうございました。)
プレゼンではもちろん、ビジネスシーンではお礼をする機会がとにかく多いです。だからこそ、感謝の気持ちを伝えるフレーズのバリエーションは日頃から増やすようにしましょう。
ここでは、感謝フレーズの基本形「thank you for ~ing」を使って、「出席する時間をとってくれた」ことに感謝しています。
【質疑応答】
I would welcome any questions or comments.
(質問やコメントがあれば喜んでうかがいます)
最後の質疑応答に入る場面で使うフレーズです。ここで「would」を使うことで、婉曲的なニュアンスが加わり謙虚なトーンを出すことができます。ビジネス英語の基本として、この機会に「would」の使い方もマスターしましょう。
「welcome」は「歓迎する」という意味の動詞で使っています。ゲストを迎えるときに、「I am happy to welcome you. (お迎えできて嬉しいです)」というような使い方もできます。
【回答】
In my opinion, I think that…
(私の意見では、…と思います。)
質疑応答では、答えづらい質問でもはっきりと考えを述べるようにしましょう。このフレーズでは、「あくまで私個人の考えですが」という前提をつけることができ、聞き手への配慮を示すことができます。
「思う」を意味する「think」の部分を、他の動詞にすることで微妙なニュアンスを出せることも併せてチェックしておきましょう。
・believe: 確信している
・suppose: 推測する(根拠が弱い)
・doubt: 疑問に思う
基本の形を覚えて、そこから動詞で表現の幅を広げると、すぐに実践できるのでおすすめします。
まとめ
「英語でプレゼン」も、基本のフォーマットはシンプルで、決して難しいことではありません。正しい英語を話そう、という意識よりも、キーメッセージを相手に「伝える」姿勢を大切にしましょう。
まずは基本のフォーマットで、ご紹介したフレーズを使って、わかりやすく伝える練習をすることが大切です。
聞き手とのコミュニケーションができるプレゼンを目指しましょう!
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