フィリピンママに学ぶ多言語習得法

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レアジョブでママ先生に出会ったときに、どんなふうに子供に英語を教えているのかを、いつも聞いてしまいます。そんな話題から、分かったこと、学んだことがたくさんあります。

子供は数カ国語で育つ

フィリピンではフィリピン語(タガログ語)と同時に英語が使われています。そして多くの場合、地域の言葉も話されています。主なものだけでも、lolko、Pangasinan、Kapampangan、Tagalog、Bikol、Waray、Hiligaynon、Cebuano、Meranao、Chavacano、Maguindanaon、Tausug などがあり、それ以外のものを含めると100以上ともいわれています。例えば、Cebuであれば「Cebuano」、Iloilo市であれば「Hiligaynon」が使われています。

フィリピンでは、何カ国語かを子供の時から親に習っている人がたくさんいます。実際に、50人の親世代の先生に、どんな言葉で育ったかを聞いてみたところ、3言語で育ったという方が3人。英語を含めた2カ国語で育った方は17人、それ以外の方は英語、フィリピン語、もしくは地域の言葉のいずれか1カ国語でした。ちなみに英語だけで育った先生は4人でした。
 
経済格差も言語習得に反映されるということなので、レアジョブの先生だけのインタビューでフィリピン全土の様子とすることはできなくても、多くの人が子供の頃から親に英語を習ってきているのです。この結果で見ると、24人の先生が小さい頃から親に英語で話しかけられてきた、ということになります。

実際にどのように多言語をマスターしているのでしょうか?

3カ国語を子供の頃から話せたというK先生の場合、親や周りの人から地域の言葉であるKinaray-aを聞いて覚え、親から基本的な英語(色・数・物の名前など)を教えてもらったといいます。フィリピン語は主にテレビで耳から覚え、小学校に上がりフィリピン語の授業で文法をマスターしたそうです。
 
現在のフィリピンのママ達は、幼稚園から英語教育が始まり、小学校では基本的に英語での教育を受けた世代です。そのため、親の「子供に英語を」というプレッシャーも相当大きかったのではないかと思います。近年は「母語での教育」が政府によって進められています。しかし、親達は今までと変わらず英語に重きを置いており、フィリピン国内でも新しい方針が議論の的となっているそうです。

スーパーの商品も半分が英語

学校教育だけでなく、フィリピンでは英語が日常生活の一部となっているため、読めないと困るという現実的な問題もあります。例えばスーパーに並んでいる商品の約半数は英語の表記、本屋さんに並ぶ本も英語がメイン、海外映画もテレビアニメも、海外の英語版がそのまま輸入され翻訳されることなく放映されています。社会的階層における英語習得のプレッシャーもあり、今のママ世代においても、やはり「子供に英語を」というプレッシャーから逃れることはできないのです。

フィリピンママも悩んでいる

英語で悩んでいるのは、フィリピンママも同じです。
「英語が完璧なほうが将来のためにいいからと、上の子を英語だけで育てたら学校でいじめられた。下の子にはローカルな言葉も教えている」というママ。子供に話しかける時に、毎回のように「ローカル+英語」(「おはよう。Good morning. のように)と繰り返しているママもいます。それがどれだけ大変なことか。きっと私なら一日も続かないでしょう。

「フィリピンの人は英語ができていいなぁ」などと、単純に思ってしまいますが、その裏には親と子の小さな頃からの努力、積み重ねがあるのです。こういったことを知ると、単純に「フィリピンの人はいいなぁ」とも言っていられなくなります。自分の子供に英語を覚えてほしいと思うなら、まずは自分がフィリピンママに習って、もっと家で英語を使わなければならないと思うのです。

でも、自分の英語は完璧じゃないし……

とはいえ、自分にそんな英語力があるのか、という不安は尽きません。そんな悩みを相談すると、みんなこぞって応援をしてくれます。

「発音は大人になって直せるから大丈夫よ」
「私はコールセンターで働いていた時にアクセントを直したの」
「単語をたくさん教えればいいの。それならできるでしょ」
「英語の歌をずっと流しておけば、子供はアメリカンアクセントを学ぶから」「あいさつとか、身の回りの単語とか、基本的なことだけでいいから」

フィリピンママだって、そのママだって、みんながみんな英語が完璧だったわけではないですものね。完璧さを求めるあまり躊躇して何もしないのではなく、とにかく家で英語を話してみる、子供が英語に触れる機会をできるだけ増やしてみるという姿勢を持ちたいと思います。フィリピンのママ先生に悩み相談をする日々は、子供が大きくなるまで、しばらく続きそうです。

by 黒坂 真由子

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