グローバル化とボーダレス化に伴い、世界中で活躍する日本人が増えてきています。
今回は、「【IT、コンサル、金融…】グローバルに活躍する仕事人たちの英語歴を探る!〈前編〉」に引き続き、われわれRareJob English Lab編集部が、10月某日に代々木で行われたグローバルビジネスパーソンの交流会に参加し、取材した様子をお伝えしていきます。
グローバルシーンで活躍するビジネスパーソンを取材する中で、私たちは彼らの中にある共通点を見いだしました。
これからの日本人に求められるその共通点とは?
1.世界を回って気づいたことは、多様性の中にある人間としての普遍性
今回まずご紹介するのは、ピースボートでの通訳ボランティアの経験などを経て、現在はエンジニア派遣の人材会社でグローバルな仕事を担当するミワさん。ミワさんは小学生の時に英会話スクールに通うなど幼少期から英語に関心があり、大学時代にはアメリカのテキサスに留学しました。
※ピースボート:国際交流を目的として設立された日本のNGO(非政府組織)
大学卒業後、外資系のメーカーに就職し、英語を使いながらシステム管理の仕事に従事。「通訳になろう」と思い、忙しい日々の合間を縫って通訳学校に通い始めます。その後、転職活動をしながら2012年よりピースボートに通訳のボランティアとして参加しました。
「たくさんの人と会って喋るのが好きで、人の中で仕事をするのが好き」
通訳になろうと思ったきっかけについてこう話すミワさん。ピースボートに参加して約40カ国を回りました。
「日本で育った自分として、それまでは『これって当然だよな、礼儀だよな』と思うことが沢山あったけど、海外を回るうちに『常識なんてないんだな』って思わされた。その反面、『海外の人はそんなこと気にしないよね』って思ってたことでも、実際に現地で出会う人たちが意外と気を遣ってくれたりとかして、それってすごい日本的だったりするんですよね。全く違う世界、国の人たちなのに、共通点はあるなって」
世界中をクルーズする中でミワさんは、世界各国でそれぞれ文化は違えど、「人間としての本質的な部分、普遍的な部分はみな同じ」ということに気づいたと言います。日本人以上に気を遣う外国の方にもたくさん出会ったそう。
ピースボートでの活動を終えた後は、日本でエンジニアを派遣する人材会社に転職。成長拡大する会社において、海外企業とのM&A交渉や契約に関連するやりとりを担当する通訳として活躍しています。
「色んな人と関わって、色んな文化を見てきたので、そういった面での柔軟性を交渉の場で発揮したい」
これからのキャリアにおける、自分の強みの生かし方についてそのように語るミワさん。そんな世界を駆け巡ってきたミワさんが、「世界で一番美味しい!」と感じた料理はペルー料理で、その中でもセビーチェが特に絶品だったそうです。
2.「うちの会社は英語でケンカできないとダメ」
続いて紹介するのは、金融情報を取り扱う大手外資系企業に勤める、ジョーダンさん、マヨさん、コトハさんの三人です。
(写真左から)大学時代をアメリカで過ごし、帰国後に日系企業に勤め、その後現在の会社に転職したというマヨさん。テキサス出身で10年前に来日したジョーダンさん。3歳から高校卒業までをパプアニューギニアで生活し、アメリカの大学で学んだというコトハさん。
「日本には『言わなくても分かる』という文化があるけど、アメリカや他の国の人は『言わないとわからない』が普通。外資で働く日本人のなかには『なんでわかってくれないの』とイライラしてやめる人もいるんじゃないかな」と話すのはジョーダンさん。
英語でやり取りするのが当たり前な職場において、日本特有の「言わなくても分かる」、「空気を読む」文化は通用しないため、このスタンダードに満たない人には働きづらい環境であるのは確かだそう。
日本企業での職務経験も持つマヨさんは、日本企業と外資系企業との違いについてこう話してくれました。
「日本企業ではトレーニングとして『与えられたことをやる』というのが多い中で、外資は分からなかったら『教えてください』、『トレーニングやってください』と自分からどんどんアピールしていかなきゃならない。そういう発言や発信を自分でやっていかないといけない。」
外資系企業の中で生き残るには、高い語学力と同時に、「自分で仕事を作り出す」ための強いマインドセットが求められます。そう考えるマヨさんが外資系企業への転職を決めたきっかけは何だったのでしょうか?
「日本企業で5年間働く中で、会社に『守られている』『甘えている』という環境に気づき、将来を見据えた時に「自分はここにいて成長できるのだろうか」と疑問に思ったんですね。」
さらには女性ならではのこんな鋭い視点も。
「日本企業には女性でマネジメントレベルにいる人が本当に少ない。今の会社では女性でマネジメントレベルに立って活躍している人が沢山いるから、自分がロールモデルにしたいと思える事例にも事欠きません。」
日本企業にも優秀な女性はたくさんいるにも関わらず、彼女たちはまだまだキャリアにおいて苦戦を強いられている。マヨさんは、そんな状況を打破すべく転職を決意したといいます。
・全世界とフラットにコミュニケーションをとる
人生の大半を海外で過ごしたコトハさんは、日本で働き始めた時、「日本のお笑いがよく分からない」など文化の違いへの戸惑いがあったそう。
そんな異なる文化、異なるバックグランドを持つメンバーが働く職場ではどのようなコミュニケーションが行われているのでしょうか。
彼らが勤める企業では、「日本チーム」がある訳ではなく、シンガポールや香港など世界中に自分の上司やチームメンバーがいて、みながそれぞれのオフィスで仕事をしています。全世界のオフィスが内線とチャットでつながっているので、いつでもメンバーとコミュニケーションを取ることができるのです。
そのように世界中のチームメンバーと共に働く職場環境では、それぞれに独特の英語の訛りがあり、「英語の中の多様性」を知ることができるのも、面白さの一つなんだとか。
外資系などグローバルな職場では、上下関係などを気にしないで「フラットなコミュニケーション」をとれるかどうかが鍵となります。
「うちの会社は英語でケンカできないとダメ」
このジョーダンさんの一言が、どういう職場なのかを全て表しています。英語が話せるのは当然のことで、それよりも大事なのは「自分の意見をしっかり言えること」、そして「周りにうまくとけ込めること」なのです。
3.グローバル人材に必要な資質は「柔軟性」と「自主性」
これまで前編と後編にわたって、グローバルなシーンで活躍する人たちを紹介してきました。そしてそれぞれが持つ共通点を見いだしました。
それは「柔軟性」と「自主性」。
一つの文化や考えに固執することなく、常に新たな変化に対応できる「柔軟性」。それに加えて、受け身の姿勢ではなく自分を積極的に発信し行動できる「自主性」。
語学力はあくまでもツールであり、この二つの要素を兼ね備えていることこそが、グローバルな舞台で活躍するために必要な資質だったのです!
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