念願の留学が決まった!海外に駐在することになった!……そんな人生の一大イベントを前に立ちはだかるのが、語学の不安。海外経験がゼロに近い人であれば、「留学先/赴任先で自分の英語が通じるのだろうか」という悩みを抱えるに違いありません。そしてその悩みは、「現地にいけば全て解決する」ということでもなさそうです。
そこで今回RareJob English Lab編集部は、Pinterest Japanという今をときめく外資系スタートアップ企業でコミュニティマネージャーを務める松澤亜美さんに寄稿を依頼し、留学や海外赴任を通じて自分の英語力を最大限伸ばすための学習法と、その先に広がっている景色について伺いました!
Pinterest Japan松澤亜美さん寄稿文
私は一般的な日本の家庭に生まれ、どちらかと英語などに疎い伝統的な中高一貫の女子校で育ちました。
大学時代に10ヶ月アメリカに海外交換留学をしていたことがありますが、それが海外に住んだ期間としては最長。それ以外に、一度仕事の合間に1ヶ月ほどパリにいたことがあるくらい。
そんな私でも、現在はたった5人のスタートアップ Pinterest で、毎日のように米国本社と英語で話したりメールしたり議論したり、年5回以上は海外出張をしたりしています。トラベルブロガーもしているので、渡航数は他の方よりかなり多いといえます。また、資格をとって通訳案内士の仕事をしたり、TOEIC900点を超えていたりするというと、すごくできる人に聞こえるかもしれません。
でも、まだまだネイティブには程遠いです。海外出張のときには毎回「自分が一番できない」ことを思い知ります。仕事となると、ネイティブ程度にコミュニケーションできて当たり前の上で結果を求められます。プレゼンテーションや日々のミーティングできちんと言いたいことを伝えること一つ一つの達成感は大きいですが、他の人より準備が必要です。自信喪失も甚だしいので、去年は久々に先生についていただきました。
そんな身でおこがましいのですが、この時点までどうやって英語を話せるようになったのかの記事ということで、今までやってきた「英語学習法」や「心がけ」をいくつか挙げてみます。英語が伸び時期だと感じる、1年の交換留学前後で何をしたかを書いてみます。
留学・海外駐在の前後でオススメの勉強法
まず前提として、私は人と話すことが好きで、語学はツールだと考えていました。留学中は、「いろんな人種背景を持った人いるなかでどのような教育をすべきか」という多文化教育について学びたいと思っていたので、その前に英語を話せるようになる必要がありました。このような背景があるため、これまで英語を使う上では、心のこもった意思疎通で相手に伝え、相手から学ぶことに重点を置いてきたと言えます。以下のアドバイスに関しては、出張でも留学でも、私と同じような目的意識を持っている方には役立つかと思います。また、インプットアウトプットの回数を増やすということに関しては、別に海外に行かなくてもできることがたくさんあります。
また、勉強の段階については私自身の経験に沿って、1) 留学・駐在前 2)留学・駐在中 3)留学・駐在後という3つの段階に分けました。皆さんもご自身のニーズにあわせて最適な勉強法を探ってみてくださいね。
[写真:ゴールデンゲイトブリッジの前で]
留学(駐在)前
いわゆる「英語学習」という視点で一番必死に勉強したのは、実は留学前かもしれません。この時は「現地では英語を学ぶのではなくて英語を通して教育学を勉強したり、現地の文化を理解したい」と思っていたこともあり、とにかく「英語がわからないとどうにもならない」と一生懸命でした。しかも、ただの受験英語ではなくて、生の英語をなるべく身につけようと必死だった時です。
この時期に私が用いた英語教材や学習法は以下の通り。
▼ラジオNHK英語シリーズ:インプット
中学1年生から大学生まで、ずっとこれを聞いていました。中1の時は中2用のラジオ教材、中2の時は中3用、中3の時からは「ラジオ英会話」、そして大学生になってからは「ビジネス英語」を聞いていました。
1日たった15分なので、集中しやすいですし、ただ聞いているだけではなくてちゃんと発音もさせてくれるのが嬉しいです。さらに、教材本も一冊400円程度と経済的なのもいいです。
▼30分テレビ番組をまずは英語でみて、そのあと日本語でみる:インプット
自分の好きな番組で良いと思います。私の場合は人気ドラマの「フルハウス」でした。
テープがすり減るほど(表現が古い?)何度も録画を見てストーリーを覚えてしまい、その時に登場人物が話している言葉をシャドーイングがオススメです。
▼論理的思考の授業をとる:アウトプット
日本語的な起承転結ではなく、「結論を先に言う」ことを徹底する授業を大学でとりました。論文の書き方に役立ちました。今、Pinterestの仕事でもドキュメントの作り方で改めてそれが大事だと実感しています。今でもまだまだ弱いのですが。。
▼アウトプットの場をつくる:アウトプット
インプットすればアウトプットしないと、せっかく覚えたものを3日で忘れてしまうのが人間の脳みそ。習った知識を実践的に使う必要があります。
当時はオンライン語学の場がなかったので、このアウトプットの場を探すのに結構苦労しました。大学で留学生の友達を作ったり、英語ボランティアを自発的にしたり、英会話学校のアルバイトをして先生と話したり、と使える機会はすべて使いました。
[写真:旅ブロガーとして足を運んだノルウェイの一枚]
留学(駐在)中
この時期は、インプット→アウトプットのサイクルが一番多い時!なるべくそのサイクルを増やすように、次のことを心がけました。とはいえ、わたしは英語を学びに来ているわけではなく、留学の中身が大事だと思っていたので、日常の中でできることを優先しました。
▼なるべくネイティブ(英語が自分より上手い)親友を作る
端的に言えば、英語漬けの日々を送る、ということ。でも、これをもっと具体化して言うと、「英語が上手な親友を作る」ことが一番の近道です。
留学中などの海外滞在期間に、一番よくある落とし穴といえば「ずっと日本人の友達といる」ことです。あなたの海外滞在期間が短ければ短いほど、この日本人の友達といる時間はあなたのライバルです。友達自体があなたのライバルなわけではなくて、そこに頼ってしまうあなた自身との戦いです。
この時のコツは、「相談」です。女性は特に、一度日本語で相談を日本人にしてしまうと、その後ずっと同じ友人相手にその相談事のアップデートをしてしまう傾向にあります。そうすると、いつまでも自分の悩み事を日本語で日本人に話すことになります。さらには、そこまで頑張らなくてもいい、たまには息抜きも必要、という人もいるかもしれません。
でも、この「息抜きの時、リラックスしている時」にこそ英語を話すのが大事。お酒に酔っていても、眠くても、たとえ夢の中であっても、気がついたら英語を話していた……。そんな瞬間が、3ヶ月も毎日英語しか話していなかったら必ずやって来るはずです。わたしは実際に初めて英語で夢を見たとき、目が覚めてからも嬉しかったのを覚えています!
[写真:留学していたオレゴン大学を再訪]
▼友人(同僚)が話しているテンションやイントネーションを真似る
これは、難しいフレーズを覚えることや、アクセントを覚えるだけが目的ではありません。難しい諺や言い回しを覚えるのではなくて、簡単なフレーズに感情を込めて伝える方法を学ぶためは、とにかくマネあるのみです。
たとえば、”Oh No!”の言い方ひとつでも、アメリカ人は、日本人からすると大げさと思えるほどに感情表現をします。また、風邪をひいてしまった、とか、失敗してしまった時にいう「I am sorry」には最初びっくりしました。だって Sorryはごめんね、と謝罪する時にしか言わないものだと思っていたから。「残念だね」とか、「かわいそうに」という気持ちを表情にも込めながら、イントネーションを変えて「I am sorry」といえば、それは謝罪ではなくて慰めの言葉になるのです。
例えば皮肉なジョークをいうタイミングなども、ここに含まれます。私も含め日本人はあまり皮肉を言わないので、いちいち驚いたり素直に反応してしまうと思うのですが、雨の日に「今日はいい天気だね!」という明白なものから、話のまとまらない人について「彼はほんとにわかりやすい話し方するよね」というようなものまで。何度も話しているうちに、段々と掴めてきます。
▼小さなノートを持ち歩き、現地の友人が使った面白いと思ったフレーズを書きとめて使う。
例えば「最高だよ!」というときの「off the hook!」 という言葉や、「酔っ払い」ということを表す複数の表現。いつもピンクの小さなノートを持ち歩いて、友達が使った面白いフレーズや言い回しを書いていました。新しい言葉を学んで書くと、現地の友達も喜んでくれます。いつも皆、「あの言葉はAmi’s noteに書かれたんだよ」と笑ってくれていましたし、みんなで私の英語の成長を楽しんでくれている、つまり応援してくれているようで心強く思いました。
今ならスマートフォンで書くのもよいかもしれませんが、物理的に書いている姿をみせることで、みなの印象に残ったように思います。
海外に行く機会がない人は、ドラマで繰り返し出てくる知らない表現を書き留める、などができると思います。
▼一時期は、その国の人になりきって話してみる
これは英語そのものというより、英語を含めて文化をどれくらい取り入れるか、という話ですね。現地にいる人だけができることかも。「日本人のプライドがあるから、僕は/私はこれができない」という人も多いでしょう。わたしも、例えばお箸をご飯の上に立てるとか、箸同士でご飯を渡すとか、そういったマナーではどうしても受け入れられないものがあります。戦争の話とか政治的な話になっても、どうしても日本人として譲れないこともあります。そういう時は、きちんと主張するのがマナー。
でも、許せる範囲であれば、期間を区切って全面的にその現地の文化をどっぷり浸かり、取り入れて行動したり話したりすることをお勧めします。文化と言語は強く関係しているので。わたしにとっては1年間、アメリカの文化にどっぷりと浸かり、朝から晩までアメリカ人とだけ過ごしたことが、飛躍的な英語の伸びにつながりました。
同時に留学していた日本人とは距離を置いていましたが、何かあった時は助け合っていましたし、何年も経った今でもとても仲が良いのです。日本人の輪の中から外されることを恐れる人もいますが、何のためにわざわざ苦労して海外にきているんでしょうか。帰国すればいくらでも大好きな日本人と話せます。もともと日本の親友もいるのだから、別に現地で日本人の親友を作る必要はありません。それより、一度しかないであろうこの滞在期間を最大限楽しみ活用すべき!
[写真:留学、インターン時代の友人達と]
帰国後
▼伸びた英語力をなるべくすぐに形で証明する
これは帰国後からすぐに英語力は落ちます。残念ながら、毎日インプット→アウトプットを繰り返す数が圧倒的に減るので、これは仕方のないことだと思います。
なので、なるべくすぐにその英語力を数字や資格で証明することをお勧めします。その後の自分へのプレッシャーという意味で(笑)。私の場合は、帰国して1年以内に、すぐにTOEICで高得点をとったり、通訳案内士の資格をとったりしました。
▼なるべく現地スピードの英語をインプット&アウトプットし、自分の未熟さを自覚し続ける。
日本人のほとんどは英語ができないので、日本に帰ると一気に英語ができるようになったように感じます。
私の場合に限った話かもしれませんが、帰国する直前まで、「もっと伸ばしたい」と思っていたのに、簡単に緩んでしまい、「自分は英語ができるんだ」という自惚れも甚だしい時期がありました。
最初に働いた日本のメーカーでは、海外の売上げが9割という企業にも関わらず英語ができると褒め続けていただき、全社国際会議で社長のウィスパリング通訳にも挑戦しました。そして、通訳案内士として日本を回ったり、日本の会社で英語を使うという環境の中、自分の語学力を誰かと比較されることもなかったので、自惚れが生まれたのだと思います。
さらには、主催するLunchTripという食から異文化を知る活動の中、大使館をはじめとした外国の方とお話しすることも多いのですが、わざわざ勉強することもなくとも褒められる状況に、完璧に怠惰になっていました・・・。
現在は、 Pinterestで毎日英語を使わなきゃいけない状況で、それこそ日常的に自分の英語力のなさを痛感しています。冒頭に述べたように周りは毎日ネイティブとコミュニケーションをとりますし、「日本人だから」「ノンネイティブだから」という甘えが通用しません。論理的なドキュメントやメール作りは元来苦手だったのですが、英語にすると更に意味不明、と言われたこともあります。
語学は、ある程度意思疎通ができるレベルになると、そこから先に登るのは本当に難しいと言われますが、今まさにそのハードルを感じているところです。
おわりに
わたしがお伝えした学習法に共通するのは、五感を使うこと、そしてインプットとアウトプットを繰り返すサイクルを作って、たくさん回すことです。両方、日本にいる間もできることで、海外にいればその回数を多く回せるというだけです。
なので、もし英語を勉強したいという方がいたら、留学や駐在や旅関係なく、私は「インプット&アウトプットの機会を意識して作り回すといいよ」とアドバイスします。
英語学習は、楽しく、自分にあったものを探すのが大事。英語はあくまでもツールで、それを使って何を話したいのかなので、好きなことや興味のあることを読んだり書いたり話したりしながら、楽しく学びたいですね。
私にとっても、どうやって英語力をあげるかは目下の課題。RareJob English Labの読者のみなさんと一緒に向上していきたいな、と思う次第です。
2014年9月、ピンタレスト・ジャパン株式会社 コミュニティマネージャーに就任。Pinterestの楽しさを伝えながら、Discover, Doする人たちを増やそうとしている。自身の経験を踏まえ、ミートアップイベントとPRを中心にコミュニティマネジメントを行なう。
早稲田大学教育学部にて学士号を取得後、大手メーカーJUKI株式会社にて、海外工場コンサルティング、事業企画、貿易業務に携わり、退社後パリのParsons The New School for Designへ短期留学。その後、フリーランスとして日本ファッション・ウィーク推進機構、旅ブロガーとして世界を旅しながらHuffington Post、EU MAG、繊研新聞などにコラムを掲載。国土交通省通訳案内士として外国人に日本を案内。
また、2008年に、食と旅を通じて異文化を学ぶ「LunchTrip」を設立して以来代表を務め、全国のレストランや大使館で70回以上開催。観光庁から若旅事業関東ブロックの表彰をうける。メディア掲載、出演、講演多数。
ウェブサイト: http://ami-world.strikingly.com/
ブログ:http://fashionflight-ami.blogspot.com/
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