時は21世紀。ITの発展したビジネスシーンでは、革新的なサービスによって世界を相手に勝負を挑むことも珍しくなくなり、YouTubeでは自作の英語曲をアップした芸人さんの動画が全世界で大ヒット。「英語を通じてチャンスをつかんだ」成功者たちのエピソードがなんとも羨ましく思えるような、そんな時代になりました。
しかし、そんな成功者たちもかつては“I have a pen.”から英語を学んだ一人の日本人。彼らの多くが青春を過ごした「昭和」という時代は、スマホはもちろん、自前のノートパソコンもなく、格安航空券もありませんでした。そんな時代に、日本人はどうやって英語を勉強していたのでしょうか?
この記事では、「1970から80年代」の国際化の動き、「1990から2000年代」の英会話スクールブーム、スマホ時代に突入した「2010年代」における学習環境の充実まで、日本人の英語学習史を年代別に振り返ります!
1970年から80年代:マックやコンビニが日本に!英語学習にも「国際化」の動き
1970年代といえば、マクドナルドやコンビニが始めて日本に入ってきた時代。SONYの「ウォークマン」がこの世に誕生したのも1979年と、まだまだカセットテープが最先端だった頃です。また、1970年には大阪万博が開催され、多くの日本人が外国人と触れ合う機会を得ました。
そんな70年代には、初めての“語学留学”ブームが起こります。アメリカに多くの英語学校が設立され、語学学校やホームステイを目的に海を渡る人が増えました。留学関連書籍も、1960年の10年間では116点だったにもかかわらず、1970年代には3倍以上の355点に増加しています。(参考:駒田聡「留学観の系譜:書籍名の分析を通して」)
その後、80年代になると日本人の間でも大学留学や私費留学が本格化し、バブル期には企業による留学制度も流行します。1983年には留学情報の専門誌である『留学ジャーナル』が創刊。バブル経済が頂点に達した1989年には、「ステップアップOL留学」や「有給休暇で行ける!2W~のリフレッシュ留学」という見出しが同誌の表紙を飾っていることからも、留学が幅広い層にとって魅力的な選択肢となっていたことがうかがえます。
それでもまだ、留学は経済的に余裕のある家庭など一部の人たちだけの特権だったともいえるでしょう。例えば1985年の時点で、日米間での国際通話は、平日昼間3分間の平均料金が1,500円。今のようにスマホなどもないので、一度海外に出たら家族と連絡をとることはほとんどできません。「海外に渡る」ということは、相当な覚悟を必要とした一大イベントでした。
「コミュニケーション英語」の時代に
80年代は教育分野でも「国際化」に注目が集まり始めます。コミュニケーション能力が重視されるようになり、それまで文法や英文読解が中心だった英語教育にも変化が現れはじめました。
学校の授業でもロールプレイングなどの形式を取り入れ、“使える英語”の学習に力を注ぐように。この頃にはラジカセも普及していたので、ラジオ英会話番組『百万人の英語』が人気を博しました。小林克也さん、早見優さん、ケント・デリカットさんなど、昭和後期のテレビ番組ではおなじみだった英語タレントたちや、字幕翻訳家の戸田奈津子さんなどがパーソナリティーを務めたこのラジオ番組、当時英語を勉強していた人であれば「聞いたことがある!」という人も多いのではないでしょうか。
また、日本人の間違いやすいポイントを指摘しながら英語特有の発想をネイティブの目線から解説するマーク・ピーターセン著『日本人の英語』や、身の回りのことを英語でつぶやく学習法を提唱した『起きてから寝るまで英語表現』シリーズが、英語学習者の間で人気を集めました。
1990から2000年代:英会話スクールが一大ブーム!
90年代というと、バブルがはじけた頃。昭和から平成へと時代も移り変わる象徴的な時代です。93年にはポケベルがようやく普及し、ガングロなどギャル文化が流行します。
この時代に、留学はより身近になり始めます。それまでは、留学といえばアメリカでしたが、オーストラリアやニュージーランドに渡る人も増えました。ワーホリを利用する若者も年間100万人を超え、1996年には20歳から29歳の若者のうち実に5人に1人の割合で海外に渡航するなど、目覚ましい国際化が進んだのです。
同時に、日本国内でも英語を学べる環境が次々に生まれてきます。特に90年代から2000年代にかけては、英会話学校に注目が集まった時代でもありました。それまでは英会話学校といっても、日本人講師が教える大人数形式のレッスンが主流でしたが、英会話スクールNOVAなどが広く知られるようになると、外国人講師が教える少人数制のクラスの人気が高まります。「No problem. I am NOVA.」のキャッチフレーズが話題になったTVコマーシャルは90年代育ちには思い出深いものでしょう。同校が打ち出した「駅前留学」というコンセプトからも、英語学習が身近になったということがよく分かりますね。
TOEICへの注目・デバイスの進化
英会話への憧れが広まり、国際化への意識が高まると共に、TOEIC教材への注目も集まります。関連書籍の発行数は、90年初頭から終わりにかけてなんと約3倍になり、90年に約33万人だった受験者数も95年には約56万人と急激に増えていきました。
90年代にはCDもすっかり普及していたので、リスニング教材の人気が出始めます。CMでおなじみの教材「スピードラーニング」が初めて発売されたのも1993年。2001年にはDVDも登場し、21世紀にはデバイスの進化に伴って学習スタイルも多様化していきました。2004年にはニンテンドーDSが発売され、『英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け』など、ゲーム感覚で勉強できるソフトも続々と発表されました。
2000年代後半にはインターネットが一般家庭にも浸透し、メルマガや掲示板、ポッドキャストを使った英語学習が生まれます。iPodなどの携帯音楽プレーヤーで、英語のポッドキャストを聞いていた!という方も多いのではないでしょうか?一人一台デバイスを持つことが当たり前になっていくにつれて、個々人のスタイルにあった英語学習環境が形成されていったのです。
世界が手のひらの中に。2010年以降のスマホ時代
2010年代にはスマホが普及、FacebookやTwitterなどのSNSが流行してからは、世界との距離もぐっと縮まっていきました。
この頃になると、企業や学校の英語教育にも変化がみられます。2010年には楽天やユニクロでおなじみのファーストリテイリングが、英語を社内公用語化することを発表。2013年には英語が小学校で正式な教科として導入されました。企業の海外市場進出が目立ち、グローバル人材の育成に対する意識が高まります。
動画人気も高まり、YouTuberという職業も登場します。『バイリンガール英会話』などの人気チャンネルで英語を学習する人やTED Talksなどの動画で英語を学ぶ方法も話題になりましたね。
そして忘れてはならないのが便利な学習アプリの台頭。「duoLingo」、「TED Audiobooks」、「NHK WORLD RADIO JAPAN」など人気アプリも登場し、いつでも気軽に英語学習を始められる環境が整いました。スマホ1台でリスニングから単語の学習まで、なんでもできる時代になったのです。
「オンライン英会話」で英語がもっと自由に
「英会話レッスン」にもオンライン化の波が訪れます。Skypeを利用することにより、いつでもどこでも海外のネイティブ講師と簡単につながれるようになったのです。移動時間に、英語のラジオやポッドキャストを聞いてリスニングの勉強をしたり、英字新聞を読んでリーディングの勉強をしたりとスキマ時間を上手に使った学習が手軽にできる……本当に便利な時代になったと思いませんか?
もちろん、従来の英会話スクールもまだまだ健在です。大切なのは、今が歴史上でもっとも英語学習にまつわる選択肢に恵まれた時代であるということ。時間がないビジネスパーソンにとっても、この学習環境の豊かさはきっと大きな味方になるはずです。やろうと思えば、いつでもどこでも英語学習が始められる時代ですから、皆さんもインターネットを活用して英語学習を始めてみてはいかがでしょうか?
【参考書籍・リンク】
・『知っておきたい!海外留学の理想と現実』浅井宏純、岩波書店
・『留学観の系譜:書籍名の分析を通して』留学生教育学会『留学生教育』 (5) 2000年
・『日本人は英語をどう学んできたか』江利川春雄、研究社
・『英語ベストセラー本の研究』晴山陽一、幻冬舎
・「成人英語学習者と学習インフラストラクチャーに関する考察」岩田京子、中村学園大学・中村学園大学短期大学部研究紀要 第45 号 2013
・「日本人ワーキング・ホリデーメーカーの経験とキャリア形成―日本人ワーキング・ホリデーメーカーの海外経験の事例研究―」大井真澄
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