皆さんは前置詞の「by」と聞いて、どう日本語に訳されますか?多くの方が「〜によって」と訳すのではないでしょうか。しかし「by」には「〜によって」以外にもいろいろな用法があり、ネイティブの会話の中でも頻繁に登場します。今回はそんな「by」の本来の意味と、そこから派生する多くの用法をご紹介し、表現の幅を広げるお手伝いができればと思います。
間違いやすいby
日本では、byを初めて習う際に、「~によって」という意味のみをまず学びます。そのため、日本語に「〜によって」と出てくるとそのままbyを使ってしまうケースも多く見られます。
正しいものもありますが、中にはネイティブが聞くとふさわしくないケースも。
例えば「結果によって決める。」という文章を、
✗・ I will decide by the result.
とするのは不自然で、正しくは
○ ・It will depend on the result.
などと表現します。
また、「人によって考えが違う」というような文章も、
✗ ・It is different thinking by people.
のようにbyでなんとか表現しようとしても間違いで、正しくは、
○ ・Every person has different opinions.
などと英語では表現するのが正しいでしょう。
このように「〜によって」にこだわりすぎると間違って使ってしまいやすいbyですが、実際にはbyはもっと根本的な意味があります。次にそれを見ていきましょう。
そもそもbyの意味とは
そもそもbyという前置詞には「そばに」という基本イメージがあります。下記の図のように、対象物のそばにあるというイメージです。
例えば下記の例文を見てみましょう。「そばに」の意味を持つbyの、典型的な例文です。
She stood by him.
(彼女は彼のそばに立っていた。)
彼と彼女がそばに位置するというbyのイメージ通りの例文ですね。図を少し書き換えるとこんな感じです。
ちなみに、「Good bye(さよなら)」という言葉も、語源は「God by」だとする説があり、別れ際に「神があなたのそばにいますように」「神のご加護がありますように」というところから来ているそうですよ。
このように、byには「そばに」という根本的なイメージがあるのですが、時間や空間など、いろいろな次元で派生することで、多くの意味を持つことになります。次にそれらをまとめてご紹介していきたいと思います。
byのいろいろな表現
「~によって」だけではなく、様々な意味をもつby。一見多岐に渡るようでも、「そばに」という根本的なイメージで捉えることで、案外理解しやすいかもしれません。これらの意味を理解して、表現の幅を広げていきましょうね。
▼by car:「〜で」と訳す手段のby
I usually go to work by car.
(私は通常、車で職場に行きます。)
「車で」や「電車で」など、手段を表すby。「〜で」と訳しますが、これもネイティブはbyを「そばに」のイメージで捉えながら使っています。つまり、「私(I)」は常に「車(car)」の「そばに」いながら、職場へ向かっているという感覚です。
▼by Mike:「〜によって」と訳す動作主のby
The letter was written by Mike.
(その手紙はマイクによって書かれた。)
中学でもよく使った「受け身+by 人」の形。「人によって〜される」と訳すbyですが、ここでも、「手紙(Letter)」と「マイク(Mike)」がそばにあったということが見て取れます。
▼by 12:00:「までに」と訳す期限のby
I have to go back to my office by 12:00.
(12時までにオフィスに戻らなければいけません。)
時間にもbyは用いられます。「〜までに」と期限を表すbyですが、これは、11時50分や11時59分など、とにかく「12時という時間」のそばの、「ある時間までに」戻らなければならない、というイメージで捉えることができます。
▼by Italy:「〜を経由して」と訳す経路のby
I am going to travel by Italy.
(イタリアを経由して旅行します。)
「〜を経由して」「〜を通って」と訳すby。よく旅行英会話などでは使われる表現です。これも「私(I)」が「イタリア(Italy)」のそばを通過したというイメージを持つことができますよね。
▼by one point:「〜差で」と訳す差のby
We lost the game by one point.
(一点差でゲームに負けた。)
「1点差で」や「2秒差で」など、byには差を表す用法もあります。これも「自分たち(We)」と「相手チーム」をそばに置いた時、その差が1点差であった」というイメージでネイティブは捉えています。
▼by using chopsticks:「〜することによって」と訳すby+動名詞
We eat sushi by using chopsticks.
(私達は箸を使って寿司を食べます。)
「by 〜ing」というようにbyの後ろに動名詞を伴うことで「〜することによって」と訳すbyの用法。これも便利で、頻繁に使われます。この場合も、「箸を使うこと」という概念と、「寿司を食べる」ということが「by」によって密接になり、そばにあるというイメージで捉えることができます。
まとめ
多岐に渡る意味を持つbyは、一見とっつきにくく覚えにくい前置詞ですが、「そばに」というイメージで捉えていくと、全てつながっているということがおわかり頂けたかと思います。ぜひわからなくなったら原点に戻ってイメージしてみてくださいね。
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