日本のゲームや英語の映画、ドラマなどで、devil(デビル)やSatan(サタン)という言葉を耳にすることがあるかと思います。両方とも日本語にすると「悪魔」で、「どう違うんだろう?」と不思議に思ったことがあるのではないでしょうか。ここでは、英語圏の文化により親しむために、devil、Satan、demon(デーモン)の違いや、angel(天使)という言葉を日常会話の中で使う方法などをお教えします。
devilとSatan、demonの基礎知識
devilやSatan、demonという言葉を、「悪魔」を表すものとして普段なんとなく聞き流してはいないでしょうか。でも、英語圏の人やキリスト教徒たちは、これらを区別してとらえているようです。「悪魔」とはいったい何かということと、それぞれの言葉が意味するところを押さえておきましょう。
そもそも「悪魔」とは?
「悪魔」と聞くと、まず何をイメージするでしょうか?「悪の化身」「地獄の王」などいろいろなことを思い浮かべるかもしれませんが、キリスト教では、元は天使であったが神に反逆してHell(地獄)に堕ちた堕天使のことを表します。devilはキリスト教に限らず一般に広く「悪魔、悪の権化、地獄の王」を指し、キリスト教の地獄に堕ちた天使もdevilと呼べますが、一方で、キリスト教ではこのdevilにSatanという呼び名をつけています。
devil(デビル)とSatan(サタン)、demon(デーモン)の違い
devil(デビル)と言うときは、「悪魔、悪霊、悪の権化」などさまざまな可能性があり、Satan(サタン)はもっぱらキリスト教の「悪魔」を指します。Satanは一種の固有名詞で、聖書に登場してエデンの園でイブに禁断の木の実を食べさせたり、荒れ野でキリストを悪の道へ誘ったりします。
一方、demon(デーモン)は「悪霊、鬼」などのことで、日本の「鬼」はよくdemonと訳されます。例えばコミック『鬼滅の刃』の英語タイトルはDemon Slayer(鬼を退治する人)です。キリスト教では、demonはSatanに仕える存在とされることがあります。
devilとSatan、demonを日常会話で使うには
日本語で「悪魔のような人」と言うように、devilやSatan、demonも会話の中でよく比ゆ的に使われます。覚えておくと、映画やドラマのセリフが理解でき、自分でも日常会話の中で使えるようになるかもしれません。
devilを会話の中で使う
Don’t trust him. He’s a devil.(彼のことを信じないで。悪魔のような人だから)
like a devil(悪魔のような)と言ってもいいのですが、通常、a devilというだけで通じます。
What the devil is going on?(いったい全体何が起こってるんだ?)
「いったい全体」と強調する言い方。devilの代わりにHell(地獄)が使われることもよくあります。
Speaking of the devil, she’s here.(ウワサをすれば、彼女が来ています)
speaking of the devilは「悪魔のことを話すと(悪魔が来る)」で、日本語の「ウワサをすれば」に近い意味です。
You won the lottery? You lucky devil!(宝くじ当たったの?ツイてるね!)
「悪魔のように幸運な」ということで、特に悪い意味はありません。
Meet our little devils, Charlie and Jane.(うちの小悪魔たち、チャーリーとジェーンです)
子どもを紹介するフレーズ。わんぱくな小さい子どものことを、冗談めかしてdevilと呼ぶことがあります。
Satanを会話の中で使う
He gave a satanic smile.(彼はサタンのような微笑みを浮かべていました)
Satanは形容詞satanicとして使われ、「サタンのように恐ろしい」という意味になります。
I saw a satanic look on her face.(彼女はサタンのような恐ろしい表情をしていました)
satanic lookは「サタンのように恐ろしい邪悪な表情、顔つき」ということ。
demonを会話の中で使う
Peter works like a demon.(ピーターは鬼のように働く)
非常にエネルギッシュだったり、何かに特に優れている様子を表します。これはいい意味です。
My inner demons whisper me.(内なる悪魔がささやくんです)
「心の中にあるよこしまな考え」を、inner demonと言います。
He turned to be a demon of revenge.(彼は復讐の鬼と化した)
a demon of ~で「~の鬼」。a demon of anger(怒りの鬼)、a demon of jealousy(嫉妬の鬼)のように使います。
天使に関する基礎知識
angel(天使)と聞くと、大きなwing(翼)を持つ大人の天使を思い浮かべることもあれば、かわいらしい赤ん坊の姿をイメージすることもあるでしょう。angelとは果たして何なのか、また英語の会話の中ではどう使われるかを考えながら、神聖さを表す言葉の使い方も見ていきましょう。
そもそも「天使」とは?
angel(天使)とは、普段はHeaven(天国)にいる神のmessenger(使い)。聖書の中では聖母マリアに神の子キリストを身ごもったことを伝えたり、Satanの軍隊と闘ったりします。もともと大人の姿をしているはずなのですが、ローマ神話の恋愛の神Cupid(キューピッド)の影響を受けて、いつしか翼を持つ裸の赤ん坊の姿でも描かれるようになりました。
有名なangelを知っておこう
英語圏ではMichael(マイケル)という名前が多いのですが、これはarchangel(大天使)であるMichael(日本語では「ミカエル」)の名前を取ったもの。ルネッサンスの有名な画家Raphael(ラファエル)の名は、大天使Raphaelと同じ。
また、Gabriel(ガブリエル)も大天使の一人で、基本的には男性の名前ですが、Gabrielle(ガブリエル)として女性の名前に使われることもあり、略してBella(ベラ)、Gabby(ギャビー)のようになります。
saint(聖人)とは
キリスト教のsaint(聖人)とは、神でも天使でもなく元々普通の人間で、殉教した人や、世を救うために功績を残した人などを指します。洗礼者John(ヨハネ、すなわちジョン)、使徒Peter(ペテロ、すなわちピーター)、使徒Paul(パウロ、すなわちポール)などがよく知られたsaintで、近代で言うとMother Teresa(マザー・テレサ)もsaintです。
angelと神聖さを表す言葉を日常会話で使うには
angelは普段の会話の中で「とても優しい人、思いやりのある人」を指すのに使われ、angelic(天使のような)と形容詞にもなります。他にもholy(聖なる)、divine(神聖な)、heavenly(天国のような)といった言葉を覚えて、日常会話の中で上手に使いこなしましょう
angel(天使)を会話の中で使う
She’s an angel.(彼女は天使のような人だ)
一般には、優しい人、親切な人、思いやりがある人に対して使いますが、外見がかわいらしいときにもこういう言い方をします。
Be an angel and help me with this.(お願いだからこれを手伝って)
直訳すると「天使になって、これを手伝って」ですが、Be an angel and ~は「お願いだから~して」という意味で使えます。
We’re looking for an angel investor.(エンジェル投資家を探しています)
スタートアップ企業などに投資する人や会社を、angel(エンジェル)と呼ぶことがあります。
She has an angelic voice.(彼女の声は天使のようだね)
優しくソフトな声だけでなく、マライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンのような、powerfulな力強い声に対して使われることもあります。
神聖さを表す言葉を会話の中で使う
I’m no saint. (私は聖人と言うわけじゃありません)
いつも清廉潔癖というわけではなく、お酒は飲むし羽目も外す、といったことを言いたいときに使えます。
The holy season starts now.(聖なるシーズンが始まります)
キリスト教ではholy seasonは一般に、クリスマス前の時期のことを指します。
It was a divine moment.(素晴らしい瞬間でした)
divineは「神聖な」で、「神々しいまでに素晴らしい」という意味で使われることがあります。
This cake is heavenly!(このケーキは天国のようにおいしいですね!)
heavenlyは「天国のような」ですが、「すばらしい、うっとりするような」と言いたいときによく使われます。
Don’t disturb. This is a sacred place to me.(邪魔しないで。これは私の聖域なんです)
sacred placeは「とても大事な場所、誰にも邪魔してほしくないところ」という意味で、物理的な場所を指すこともあれば、心の中の領域を意味することもあります。
天使と悪魔の関連英語を理解したら
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