同時通訳者小熊弥生さん。なんとスタートはTOEIC280点。その彼女が今や世界を舞台に同時通訳者として活躍する理由(わけ)は?英語を話せるようになるために、小熊さんが実践してきたことは?わかりやすい明快なお話は、目からうろこです。
英語をが話せるようになりたいなら、チャンスは逃さない
Q:英語に本格的に取り組むようになったきっかけは?
学生時代から英語にあこがれはもっていましたけれど、決して得意とは言えませんでした。ところが、高校時代に、さまざまな文化も体験してきたバイカルチャラルの教育実習の先生と出会ったことを通じて、英語の魅力を知り、「英語が話せるようになりたい」と強く願うようになりました。
それをきっかけに、洋服代やお昼のパン代を節約して、英会話スクールに通ったのが、私の英語学習の第一歩です。最初のクラス分けのテストでは、もちろん一番下のクラスでした。最初の授業で“What’s your name?”と聞かれたことは今でもはっきりと覚えています。
高校の卒業旅行は、アメリカのホームステイプログラムにどうしても参加したくて、母親に頼んで、費用の36万円を貸してもらいました。“What’s up?”と言われれば空を見上げるような、“Go ahead!”と言われれば頭を思い浮かべるような、ほとんど英語が話せない状況でした。当時の私は、両親が離婚しており、いわゆる家庭不和の中にいましたから、ホストファミリーの温かな愛情を受けて、英語だけでなくアメリカという国に対するあこがれがより一層強くなりました。
高校卒業後は、短大の国文科に進みました。しかし、英語が話せるようになりたいという気持ちは強くなる一方で、英会話スクールで本格的に学びたいけれど、家庭の事情もあってその費用を捻出することが難しい状況でした。
でも、制約は発見、想像力を生みます。もし、恵まれた家庭環境で、英会話スクールに簡単に通うことができていたら、今の私はなかったかもしれません。英語が話せるようになりたいけれどお金のない私は、地下鉄で偶然目の前に座ったアメリカ人に「英語を教えてください。私は日本語を教えますから」と、話しかけたんです。どうしても英語が話せるようになりたかったですから。運の良いことに、語学エクスチェンジを半年して、その後はその方、その方のご友人と共同生活をすることになりました。
Q:初めて会ったアメリカ人と共同生活ですか!?
当時の私の英語力といったら、彼らの会話が理解できず、“never mind”(気にするな)と言われても、その意味さえわからないくらいでした。でも彼らは、決して正しいとはいえない英語でも、自分の考えを伝えようとする私の姿勢を評価してくれたんです。それがとてもうれしくて、いつかちゃんと話せるようになって、日本と海外の橋渡しができるような職業に就きたいと思うようになりました。
日本人だって、海外旅行に出かければ、外国人に道を聞くことはあるでしょう?それなのに、なぜ日本にいると外国人に声をかけることを躊躇するんでしょう? すぐ近くに外国人はたくさんいますよね。話しかければいいんです。それこそ日常でできる英会話の訓練の場なんです。私は今でも、外国人が道を探しているようだったら、“May I help you?”と声をかけます。そこから友情が生まれることだってあります。英語を話せるようになるためだったら、チャンスは逃しません!
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短時間で効率的に学習する方法は?
Q:そこから通訳の道へまっしぐらですね。
短大を卒業したときは、TOEICは280点でした。おまけに、所持金は6円、貯金もありません。サバイバル精神が旺盛でしたので、英語を話せるようになるためなら、どんなことでもやろうと思いました。
まずは自己分析をして、私に合いそうな職業、コンサルタント、カウンセラー、通訳の3つの職業に絞りました。そこから、短大卒の私が生計を立てられる職業として残ったのが、通訳者でした。図書館にある雑誌に、「学歴がなくても、こつこつ努力すれば、年収2,000万円になる可能性がある」と書いてありました。「これだ!」とスイッチが入った瞬間でした。
そして、通訳学校、留学準備のスクールに入りましたが、まだまだ英語力は足りなかったので、本格的に話せるようになるためにはどう勉強したら一番効率的なのかを真剣に考えました。ひとつは、先生の言うことを、繰り返し口にする、シャドーイングです。そしてもうひとつは、間違ってもいいから、先生の問いに答えること。間違うこともありましたが、間違って恥ずかしい思いをすれば、同じ間違いはしなくなります。後に、トニー・ブザンのマインドマップの本も読み、私の学習方法は間違っていなかったこともわかりました。どう勉強するかも大切ですが、それよりどうやって自分の脳を最高の状態にもっていくか、どうやって短時間で効率よく吸収するかが重要なんですね。そうして今、私は通訳者という職業に就いています。
Q:自分の脳を最高の状態にするために必要なことを教えてください。
例えば、お芝居を観に行ったとき、女優さんが台詞を覚えていなかったらどう思いますか? プレゼンの直前に資料を作っている業者がいたらどう思いますか?
私がお勧めしているのは、ASAP勉強法です。
「A」 は“aim”
鉄砲を撃つときには、まず “Ready. Aim. Fire.”と言いますが、まずはどの英語を射貫くのかという目標を設定します。
「S」は“Simulate”
今日、私を取材する前に、どんなことを話すか、シミュレーションしませんでしたか? それと同じですよ。例えば、アメリカ人のお友達と話をするのであれば、どんなシーンで、何を話すかをシミュレートして、脚本を書きます。そして次は英語に直す。今は、Googleで検索すればかなりの英語表現は確認できますし、レアジョブのレッスンの時に、先生に「この表現でわかりますか?」Does it make sense?“と確認するんです。正しい表現をインストールできたら、その後は、“practice”の「P」、練習あるのみです! 話せるようになりたかったら、このようにレッスン時間をフル活用することをお勧めします。
日本人の習いごとは全て受け身なんです。英語も同じです。でもこれでは、英語が話せるようになるのは相当先になります。なぜなら脳の性質上、情報の80%は、48時間後には消えてしまうからです。ですから、まずは、脳の記憶の構造を理解したうえで、効果的に勉強しないとだめなんです。
【本当に英語を話せるようになるためには?】英語を習得するための”仕組み”を知ろう!レアジョブ英会話セミナーレポート
簡単な単語でシンプルな英文を作ることから
Q:ビジネス英語にも脚本が必要ですか?
ビジネス英語も考え方は同じです。例えば、海外に赴任するなら、赴任を想定した脚本が必要ですし、プレゼンするのならプレゼンに合った脚本を書きます。
「プレゼンするときには高度な英語を使わなくちゃいけないですよね?」とおっしゃる方がいますが、それは幻想です。英語のいわゆる基本5文型のパターンさえ覚えていればいいんです。まずは自分のわかる簡単な単語を組み合わせて文章を作ることがスタートだと思います。中学、高校で英語を勉強している方が話せるようになるためには、必要なものを必要なだけインストールしたほうが効率的だということです。
ある企業で英語の社内研修をしたときに、「会議を設定するって英語で何て言えばいいですか?」という質問を受けました。
「会議……、“meeting”という単語を知りませんか?」
「知っています」
「“set up”って聞いたことはないですか?」
「知っています」
“I would like to set up a meeting.”
そう、知っている単語を並べればいいんです。
すごくシンプルなことなのに、残念ながら、英語そのものに「メンタルブロック」がかかってしまっているんです。難しく考えずに、自分の知っているシンプルな英文に置き換えることから始めてみてはいかがでしょうか。もちろん、日本語から発想した英語なので、最初は不自然かもしれません。でもそれでいいと思うんです。アジア人同士だったら、その不自然なものでも十分コミュニケーションがとれるでしょうし、例えばレアジョブの先生に、その英文を見てもらって、もっと良い表現が見つかれば、そちらに変えていけばいいんです。
私たち通訳者も、複雑な日本語は頭の中でシンプル化しています。そのうえで、シンプルな英語で伝えるようにしています。だから皆さんも、まずは簡単な英単語で、できるだけシンプルな英文を作ってみてはいかがでしょう。最初はそれで十分です。
失敗は、英語を話せるようになるためチャンス!?
Q:英語を話せるようになることを邪魔していることは?
人間は、自分にメリット、得があると思ったときに行動するものです。特にビジネスの場合、さまざまなメリット、デメリットを比較して、受けるかどうかを決めますよね。英語もそれと同じだと思うんです。失敗を恐れたり、照れたり人前で話さなかったりすることが得なのか、間違えて恥ずかしい思いをしても英語を話せるようになることが得なのか、冷静に比較されるといいと思います。自分自身の英語活動について、費用対効果を分析するんです。
その結果に応じて、論理的に、合理的に判断を下して、英語の勉強をするかしないかを決めるんです。先の震災の際に、トイレットペーパーが不足して、私たちはそのありがたみを実感しました。でももうそんなことは忘れていませんか? トイレットペーパーは、あのときと何も変わっていないんです。ただ私たちの解釈が変わっただけなんです。つまり、物事の解釈は全て意味付けから始まるということなんですね。
まずは、ご自分の「照れ」や「失敗」をどう意味付けるかを分析してください。恥ずかしい気持ちや照れというリスクがあっても、失敗したことが一生記憶に残るのだとしたら、そのほうが学習効果は高いということに気付けるはずです。気付けたらその後は、ただやればいいだけです。それが英語を話せるようになるための、最も近道だと思いますよ。
どれだけ必死になって勉強しても、
日本人が英語を話せるようにならない理由
英語が話せるようになることで無限に広がる可能性
Q:英語が話せるようになれば、仕事の可能性も広がりますか?
たいていの方が「英語を使う職業」といって思い浮かべられるのは、通訳や英語の先生、ホテルのフロント……くらいでしょうか。しかし、私たちがふだん何気なく使っているものの多くは、外国から輸入されていて、どこかで英語に関わっています。ご自分の得意な分野で、英語との接点を探していけばいいんですよ。きっとお仕事に活かせるはずです。そして、2020年のオリンピック開催を考えれば、道を尋ねる外国人も増えていくでしょうから、タクシーの運転手さんや駅員さんも、街のカフェの店員さんも、英語が話せるようになることは必要かもしれませんね。
実は女性が英語を使う職業に就いた場合、使わない職業より、42.8%も給与が高いという統計もあります。英語を話せることで、Q:OL(生活の質)を上げることもできます。アニメやラーメンなど、日本ではごく普通のことが、海外で大ブレークすることだってありますよね。もし英語が話せるようになっていたら、新しい分野で起業できるかもしれません。可能性は無限に広がります。
今、日本の人口は、1億2,000万人です。しかし英語人口は17億5,000万人と、10倍です。ということは、英語が話せるようになれば、私たちが今もっている情報量の10倍の世界が広がっていくんです。当然、ビジネスチャンスも10倍になるということです。
Q:英語学習者へのメッセージをお願いします。
私は今、投資の勉強をしています。でも、預貯金よりも、株式よりも、英語への投資をお勧めします。英語は決して裏切りませんから(笑)。正しく勉強さえすれば、その分伸びて、話せるようになります。自分の“aim”(狙い)にマッチした先生を見つけて、正しい戦略をもって、正しく学べば、一番確実なリターンが得られますよ。
そして、先生を選ぶときは、流ちょうな英語を話せるようになりたいのか、学習方法を知りたいのか、文法を学びたいのか、あなたの“aim”にマッチした先生を探すことが重要です。
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