人種のるつぼニューヨークには、さまざまな国籍の人々がビジネスや留学、観光などで訪れます。街を歩いていて、また地下鉄やお店などで聞こえてくるのは、アクセント(なまり)のある英語ばかり(注:アメリカ人もなまっています)。
日本語なまりの英語も例外ではありません。アメリカ人は「アクセントはその人のアイデンティティー」と尊重する傾向がありますが、できれば外国人と気づかれない綺麗な英語を話したいですよね?
子供ならいざ知らず、大人のアクセントは取れないの? いいえ、そんなことはありません。トレーニング次第でいくらでもネイティブスピーカーに近づけます。
今回紹介するのは、日本人の発音の癖に精通し、発音矯正に特化したクラスを開講しているニューヨーク在住のジョシュア・ポペノ先生です。同地でライターとして活動する私、安部かすみ(ニューヨーク在住歴14年。今だに日本語なまりが取れない)が、先生に発音矯正のコツを教わってきました。もう「Pose(ポーズ)」を「え?Pause(休止)?」とは言わせません!
ジョシュア・ポペノ(Joshua Popenoe)氏
海外育ちで、言語特有の「音」に興味持つように
Q: 発音矯正の講師になったきっかけは?
アメリカ、マレーシア、イギリスで育ったため、小さいころからさまざまな言語特有の「音」に興味を持つようになりました。日本とのつながりはなかったのですが、ある日旅行中に飛行機が日本にトランジットすることがあり、初めて日本に立ち寄りました。そのときに直感で「ここに住もう!」とひらめきました。
私はもともとミュージシャンで、移住した日本でもバンド、声優、ナレーターなど「音」に関わる仕事に従事しました。発音矯正指導者としてもキャリアを積み、企業の重役や歌手、役者などに英語の正しい発音を教えました。
たくさんの日本人と交流して分かったのは、英語に興味を持って勉強をがんばり、単語もたくさん知っているし正しい文法で文章を書けるのに、正しい発音ができていない人が多いことでした。つまり日本人にとって最大の問題は発音だと。それなのに、正しい発音をロジカルに説明できる指導者がいなかったのです。
1998年にこちらに戻って来たときに「自分が今後もできることは、日本人に向けた発音矯正」だと思いました。なぜなら私は日本語がわかるし、クリエイティブな人間で、VoiceとEar(声と耳)のスペシャリストですから、それを生かさない手はないなと。
それで生まれたのが英語発音教授法「ポペノメソッド」です。よく「いつ開発したのか?」と聞かれますが、私は日本人に指導しながら、生徒ができることやできないことを見ながら、どうやったら彼らが正しい発音ができるようになるかを考えながら少しずつこのメソッドを作り上げていったので、いつと聞かれると、だいたい10年ぐらい前かなぁと答えています。今でも教えながら、改良をし続けています。
Q:ニューヨークでクラスを開講中ですが、どういう人が通っていますか?
俳優、歌手、社会人、主婦、学生… こちらに在住のあらゆる人たちが通っています。また旅行で訪れる人もたまに参加してくれます。リピートしてくれる生徒には割引をしているので中には1年以上通い続けている人も。また30年アメリカに在住しながら初めてクラスを受けて目から鱗が落ちたと言ってくれた方や80歳で杖をつきながら通ってくれた女性もいます。
発音矯正は「筋肉の記憶」=エクササイズが必要
Q: ポペノメソッドとはどういうメソッドなのでしょう?
まず私のクラスでは、アメリカ人のように発音する方法を教えているわけではなりません。ブルックリンなまりや南部なまり、スラング英語を教えているのではなく、あなたが発言をしたときに、1回で理解してもらえるようになること、これこそがゴールです。
アクセントが強いと人は理解できないから、あなたではなくアクセントにフォーカスされてしまいます。もちろんあなたらしいジャパニーズフレイバーはこれからもキープしていいと思いますが、「え?」と聞かれないようにするためのトレーニングです。
さて、私は生徒に発音は「Physical Skill(体で覚えること)」だと言っています。別名で「筋肉の記憶」や「口のヨガ」「口のふりつけ」とも呼びます。発音矯正はエクササイズが必要なのです。
まず、声ってどうやって出るかご存知ですか? 声、つまり息は最初肺から出て、声帯を流れるように通ってトンネル内でバイブレートすることで出ます。
「あー」と言ってみてください。「あー」と言うときあなたは口を開けていますね。開いた口の中で何もしなければその声は変わりません。そして、それはすべての人類に共通しています。中国人、フランス人、アフリカの国々… どこの国の人でもすべての人類は、息が肺から声帯を通ることで同じ音を出すので。
息が小川を流れているようなイメージです。流れなければ声は出ません。声を出すために、息がその小川を流れて口から出てきています。単に「あー」と発生するときは口の中で何もしていないけれど、ほかの発声のときは顎、舌、歯、唇の4つを使っています。例えば「おぅ~」「い~」「う~」などを言ってみるとわかりますね。
声のシェイプを描いている感じをイメージしてみてください。私はこれを「見えない彫刻」と呼んでいます。そして日本語のシェイプも英語のシェイプもフランス語のシェイプも、それぞれ違うのです。
これは意識しなければわからないことですが、他言語の発音矯正をするときの一つの鍵となります。第一言語を取得するのは幼少時だから無意識のうちにコミュニケーションができるようになって発音のことなんて考えもしないですよね。これはさっき言った無意識の「フィジカルスキル」です。
日本人としか話さないのであれば発音のことなど考えることもないでしょう。でも英語で会話をしたいとなると話は違います。日本語と英語のシェイプが違うのですから、日本語の筋肉の記憶のまま英語をしゃべると「ジャパニーズイングリッシュウ~アクセントォー」になるのです。
発音を矯正したければ、筋肉の記憶の切り替えが重要です。どのように口の中が動いているかを意識し、英語を話すときの正しい口(や口の中)の動き、パターン、ポジションを学ばなければなりません。それが「口のヨガ」と呼ばれる所以です。
だから私のレッスンでは、鏡を持参してもらいます。自分の口の動きを鏡で見たら「え、私ってこんな動きをしていたの?」と気づくでしょう。
「Goと言うときの”o”の発音はこういう口の形になるんだよ」とポペノ先生
後編では、具体的に英語と日本語の発音の仕方がどのように違うのか教えてもらいました。
インタビュー後編:ニューヨークでクラス「ポペノメソッド」を定期開講。日本語と英語の発音の違いとは?(後編)【レアジョブNY通信#3】
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