ニューヨークでクラス「ポペノメソッド」を定期開講。日本語と英語の発音の違いとは?(後編)【レアジョブNY通信#3】

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ニューヨーク在住の英語の発音矯正講師で、英語発音教授法「ポペノメソッド(Popenoe Method)」を開発し、クラスを定期開講しているジョシュア・ポペノ先生を現地で取材。

前編では、ポペノメソッド独自の発音矯正のアプローチについて、そして今回の後編では、正しい英語発音について詳細を伺います。

正しい英語を発音するために大切な4つのこと

Q: 具体例を交えて英語の発音について解説していただけますか?

口の動きに効果的にフォーカスするために、ポペノメソッドでは4つのカテゴリーに分けて指導しますーー(1)母音(Vowel)(2)子音(Consonant)(3)リズム(4)コネクション、です。それぞれを1ヵ月ごとに教えて全4ヵ月で完結します。月初めであればどの月からスタートしても構いません。

まず母音と子音から説明しますね。母音はOpen sounds(開いた音)、子音はClose sound(閉じた音)です。

「ブラーブラーブラー」と話すと、音(息)が想像上の小川を流れるときに口は閉じて開けて閉じて開けてを繰り返しますね。口を開けているときはいつも母音(a, e, i, o, u)です。「あいうえお」と言うとき、口の中で舌や唇や歯など何もタッチしません。つまり母音は口の中から流れてくる障害物のない解放されたシェイプによって作られています。

それから母音の話でもう一つ。日本語の母音は「あいうえお」の5つだけど、英語はたくさんあります。「o」は日本語で「お」だけですが、英語ではさまざまな発音があります。「Go」「Soft」「So Long」「No Sauce」… それぞれ正しく発音できますか?「Pause」と「Pose」の「o」はまったく違います。
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ポペノメソッドのクラスで使う発音記号表

一方、閉じた音の子音は、口の中で何かが当たることで発せられます。「ブブブ」「トゥトゥトゥ」「グググ」「ズー」「ヴー」などですね。日本語の「かきくけこ」「なにぬねの」などは、母音と子音が一緒にセットになっています。でも英語は母音と子音は別々です。母音と子音を一緒にすると、まったく違う音になります。それが英語と日本語の一つの大きな違いです。母音と子音をうまく発音するテクニックを学ぶことが必要です。

また、英語の音節(シラボル)は母音から生まれます。音節はリズムを作ります。

ですから、英語特有のリズムを覚えることも大切です。言語とは単語と単語の繋がりとその動きから発せられます。動きをクリエイトするときにリズムが生まれるのです。「あいうえお」「かきくけこ」「さしすせそ」… シェイプは同じです。「食べなければならない」=「だだだだだだだだだだ」は同じリズムです。

英語は例えば、大きい母音、大きい子音、小さい母音、小さい子音などで、これらは違うリズムを生み出します。分かりやすい例として日本語の「バナナ」、英語では「バナーナ」。小さい/大きい/小さいと違うリズムです。

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ポペノ先生作のビデオ『リズム オブ ニューヨーク』シリーズでは、ニューヨークの街を散策しながら英語の正しいリズムの取り方を教えている(大きいリズムは、この場合太い「●」のところ。「●」を特に強調すると正しいリズムになる)。

人は相手の話していることを聞く時、用心深く一つひとつの音を聞きません。リズムのパターンを聞いて理解しようとします。だからそのリズムが正しくなければ、「え?」となるのです。リズムは英語を話す際に本当に大切なのに、英語を学んでいるほとんどの日本人はその大切さを知らないので、矯正事項の一つとしてフォーカスしていません。

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ポペノ先生作のビデオ『リズム オブ ニューヨーク』シリーズ。ビデオを観ながら、先生の通りにやってみよう!

最後に大切なのはコネクション(繋がり)。日本語は基本的に、子音/母音/子音/母音… です。「かきくけこ」「なにぬねの」は子音と母音で作られています。「食べなければならない」=子音母音/子音母音/子音母音/子音母音…。コネクションは簡単ですね。

しかし英語の場合、例えば、子音/母音/子音/子音/子音/母音などから成り立っています。だから日本人にとって英語のコネクションは難しいのです。コネクションが流れるようにスムーズにできるようになれば、正しいリズムがキープできます。

正しいコネクションの説明として、例えば「I need to get a new job.」。多くの日本人は「get」 でストップして「a」と言います。でも正しいコネクションは「ゲットアニュージョブ」ではなく、「get」と「a」をスムーズに繋げ「ゲッラニュージョ~ブ」となります。

ほかにも私のクラスではあらゆることを教えます。例えば、「Tストップ」と「Tタップ」などもその一つ。

日本語も英語も「t」で始まる単語は同じ発音です(time, touch, 宅急便…)。しかし英語では、単語の最後に「t」がくるとき「t」の発音で1回止まってリリースします。「I want to get a new job.」の「want to」は、1回止まってリリースするのです。これが「Tストップ」です。一方で単語の後ろの「t」が母音の次にあり、その後も母音が続くときは「t」でタップします(「get a new job」など)。これを「Tタップ」と呼びます。

ほかにも有声音と無声音、二重母音、鼻音(びおん)、摩擦音、音節(シラブル)… など、ここでは説明しきれないたくさんのことを教えていまます。

発音矯正は「難しい」ではなく「新しいこと」と考えよう

長年「音」に関わる仕事に従事しているポペノ先生が制作した、日本食をコミカルに楽しく紹介したビデオ

Q: 発音矯正を成功させるコツは何でしょうか?

発音矯正を難しいことや不可能なことと考えないことです。私のクラスでは「難しい」という単語は禁句にしています(笑)。「は~、難しいな~、できないな~」とぼやいても、それは何の助けにもならないばかりか、「難しい」という言葉を使えば使うほどもっと難しくなります。

そのかわり「This is new for me」(これは自分にとって新しいこと)と言いましょう。新しいことはもちろん克服するのに時間がかかります。あなたができること、できないこと、なぜできないか、どうやったらできるようになるか、一つひとつ解明して教えます。だから生徒にはこう伝えています。「正しいエクササイズの仕方を指導するので、僕を信じてついてきてください。そうすればいつかは“You can do it!”(できます)」

発音は「筋肉の記憶」「口のヨガ」だと説明してくれたポペノ先生。ニューヨークを訪れることがあれば、そのクラスを受講してお口のエクササイズをし、発音矯正にチャレンジしてはいかがでしょうか?

取材・執筆・撮影:安部かすみ
編集協力:岡徳之

インタビュー前編:ニューヨークでクラスを定期開講。日本語なまりを効果的に直す「ポペノメソッド」とは?(前編)【レアジョブNY通信#3】

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