「英検・TOEIC・通訳案内士」は日本人英語学習者の間で、「英語三大資格試験」と言われてきました。実際にこれら3つの試験は日本人の英語学習熱を高め、語学学校や英会話スクールなども、必ずと言っていいほどこれらの試験の対策コースを提供しています。また、「英検一級合格・TOEIC990点取得・通訳案内士試験合格」は「英語資格三冠王」と称され、多くの日本人英語学習者の目標とされてきました。
確かに、これら「英語三大資格試験」は良問が出題され、受験者の英語力を非常に高い精度で判定できる問題内容だと思います。今回はこれら3つの人気資格試験のそれぞれの特徴と活用法についてです。
「英検」について
英検は正式名称を「実用英語技能検定」といい、50年以上前の1963年に第一回検定が実施され、日本で行われている英語関連の検定としては最も長い歴史を持っています。以後、文部省(現在の文部科学省)の認定を受け、着実に受験者を増やし、2014年度の受験者は260万人でした。特に中学生・高校生の間での人気が高く、英検を単位認定や入学試験に活用する学校も増えてきました。
英検は5級から1級、さらに準1級・準2級の7つに分かれています。大切なことは自分のレベルに合った級の合格を目指して勉強することです。ここを間違えてしまっている人が多いように感じます。
英検HPでは以下のように記載されています。そして、同じような基準で説明している語学学校やパンフレットも多く目にします。
級: | 推奨目安 |
5級: | 中学初級程度 |
4級: | 中学中級程度 |
3級: | 中学卒業程度 |
準2級: | 高校中級程度 |
2級: | 高校卒業程度 |
準1級: | 大学中級程度 |
1級: | 大学上級程度 |
「5級」から「準2級」くらいまでは現実的な「推奨目安」となっていると思います。学力偏差値が50前後の平均レベルの中学3年生であれば、「3級」の合格可能性は五分五分と言っていいでしょう。「準2級」も高校在学時に合格する人は多いでしょう。しかし、「2級」から「1級」の「推奨目安」は・・・?です。
まず、「2級」についてですが、ある調査によれば、高校3年生時に「2級」レベルの力のある生徒は日本の高校生全体の2%と言われています。「準1級」を大学在学時に取得できるのはかなり少数の方に限られます。文科省の調査によれば中学・高校の英語教員(英語教員は大学で教員免許を取得します)の英検「準1級」取得者の割合は、高校55%、中学校28%となっています。「1級」を大学時に取得できるのは帰国子女などの一部の限られた方だと言いきれるでしょう。英検の発表はあくまでも「推奨目安」です。実際に過去問などを開いてみてから自分のレベルにあった級の学習をすることが大切です。
「TOEIC」について
TOEICとはETSというアメリカの非営利団体が実施しているコミュニケーション能力を検定するためのテストです。TOEFLもこのETSによって行われています。他の試験との大きな違いは、日本国内だけではなく世界150か国で行われているということです。日本の受験者は毎年伸び続けており、2014年度は260万人が受験しました。
TOEIC受験のメリットはいくつもあります。こちらを参考にしてください。
「日本人英語学習者にはTOEIC®が最適な資格試験だと私が考える理由」
「通訳案内士」について
国土交通省が主管する、語学関連では日本唯一の国家試験です。特に最近は、外国人観光客の増加と東京五輪開催に向けて人気が高まっています。
「筆記」の一次試験と「面接」の二次試験に分かれており、「筆記」では「英語」のほかに、「日本地理」「日本歴史」「産業・経済・政治及び文化に関する一般常識」も出題されます。しかし英語以外の3科目は出題分野がかなり限られており、過去問等で対策しておけばそれほど苦しむことはありません。合否のカギを握っているのは「英語」と言えるでしょう。
私はこの通訳案内士の問題(過去問)は日常の英語学習に非常に役立つと思っています。難易度が高すぎるという批判もありますが、それ以上に、学習を通して英語力の向上がかなり期待されます。例えば、毎年出題される「英作文」の練習をするだけでもかなりの英語力の向上が図れます。対策のやりようのない出題が多いことが特徴なのです。
2014年の英作文の出題は以下のような内容でした。
「式年遷宮」・「だし汁」を英語で説明しなさい。
テスト対策として「式年遷宮」・「だし汁」の模範解答を覚えておくことなど不可能です。そしてまず、単語に困ります。自分の知らない表現を他の表現で説明する力が要求されています。これこそが「使える英語です」。
そして、やはり英語力向上には基礎力が必要であることを感じることができるのです。もちろん、必要最小限の日本文化に関する知識も必要ですが、その知識をいかにして自分の知っている英語を用いて表現・理解するかという点に主眼が置かれている出題です。まさに「アウトプットを意識したインプット学習」が求められています。
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