日本語でよく使われる「頭が切れる」「あごで使う」「足を引っ張る」等の身体の部位を用いた慣用句。
そのまま日本語の単語を英語に置き換えても、ほとんどの場合、意味が通じることはありません。
日本語の慣用句を英語で表現するポイントは「意味の置き換え」。
慣用句の意味を置き換えることで英語の表現が探りやすく、さらに表現の幅も広がります。使い慣れた日本語の慣用句を英訳することでより細かなニュアンスが伝えることができます。
今回はシーンごとに分けて”使える慣用句”の英訳をご紹介します。
日常会話で使える慣用句の英語表現
まず、日常会話でよく使う慣用句の意味を置き換え、その英訳例をご紹介していきます。頭の中に思い浮かんだ慣用句を会話の中で咄嗟に英語に訳すのは難しいので、ぜひ参考にしてみてください。
頭を冷やす
冷静になる(calm down/cool down one’s anger /cool it)
You should go home and cool off!
(家に帰って頭を冷やせよ!)
顔から火が出る
恥ずかしさのあまり赤面する(get red in the face /flush [be flushed] /blush with embarrassment [shame])
I was flushed with embarrassment at the news.
(それを聞いて顔から火が出るような気持ちだった)
鼻が高い
誇りに思う(be very proud of)
I’m very proud of my son being a lawyer.
(息子が弁護士で鼻が高い )
耳を疑う
聞き間違いではないかと驚く(can’t believe one’s ears)
When I heard (that) he died of cancer, I couldn’t believe my ears.
(彼がガンで死んだと聞いて、私は耳を疑った)
肩を落とす
落胆する(be [get] discouraged /get [become] downhearted)
がっかりする(be disappointed at)
へこたれる (lose heart)
All the teammates were disappointed at being eliminated in the first round.
(初戦敗退でチームメイト全員が肩を落とした)
口がうまい
口が達者(have a smart mouth / be a smooth talker /have the gift of gab)
お世辞がうまい(be good at [with] compliments /good at flattery /have an oily tongue)
口先だけ(be just saying that /be all mouth /be a slick talker)
雄弁(have a silver tongue /have fluency of speech /be eloquent)
※slickは「滑らか」という意味があり、ペラペラとしゃべる口先のうまい人を
「a slick talker」と言います。
He is a very smooth talker.
(彼は本当に口がうまいね)
首を長くする
待ち焦がれる(wait eagerly for /eagerly awaiting /look forward to)
※eagerlyは「はやる思いで」、look forward toは「楽しみにする」という意味。
The mother was looking forward to her son coming back.
(母は息子の帰りを首を長くして待っていた)
腰を抜かす
驚きに足腰が立たなくなる(be scared out of one’s wits)
恐怖に身がすくむ(be paralyzed by [with] fear [shock /fright /terror])
My friend was paralyzed with fear.
(友達は恐怖のあまり腰を抜かした)
手のひらを返す
急に態度を変える(change one’s attitude [tune] quickly [suddenly] , change of heart)
The teacher praised the student in a sudden change of heart.
(先生は手のひらを返したように生徒を褒めた)
手につかない
集中できない(can’t concentrate on)
I can’t concentrate on work at all.
(まったく仕事が手につかないの)
目の色を変える
夢中になる( become mad /become caught up in /go crazy for /get [become] deeply absorbed )engrossed] in
激怒する (blow one’s top [cork /stack] /become extremely angry)
He gets deeply absorbed in playing games all day.
(彼はよく目の色を変えて1日中ゲームをしている)
食事の際に使える慣用句の英語表現
味の表現などに使える慣用句です。日本語だったらこう表現するのに…という言葉の言い換えをご紹介します。
コシが強い
弾力がある(firm / chewy) 「コシが強いうどん」= firm noodles
The Udon noodles in that restaurant are firm and delicious.
(あの店のうどんは、腰が強くておいしい)
舌鼓を打つ
舌鼓を打つごちそう(lip-smacking treats)
うまそうに舌鼓を打つ (smack one’s lips with relish)
My father smacked his lips over the soup.
(父はスープに舌鼓を打った)
頬(ほっぺた)が落ちる
この上なくおいしい(very delicious /scrumptious /be fit for a king)
I had a scrumptious shortcake.
(頬が落ちるほどおいしいショートケーキを食べた)
舌が肥えている
美食に精通し、味の良し悪しがわかる
(have a discriminating [discerning] palate / have a palate /be particular about one’s food /be something of a gourmet)
Mr Yamada seems to have a discriminating palate.
(山田さんは舌が肥えているらしい)
ビジネスで使える慣用句の英語表現
複数の意味がある慣用句もあり、表現方法は様々です。状況に合わせて使い分けるようにしましょう。
頭が切れる
理解が早い(have a mind like a steel trap /have a steel-trap mind)
賢い(harp /smart /clever /brainy /quick-minded /wise)
頭脳明晰(clear-headed)
My superior, Mr Sato looks quick-minded.
(上司の佐藤さんは、頭が切れるように見えるね)
顔が広い
多方面に知人が多い(know a lot of people)
顔が知られている (be widely [well] known)
「交際範囲が広い (have a wide acquaintance /have a large circle)
That person is an expert and knows a lot of people in the industry.
(あの人はベテランで、業界に顔が広い)
腕が鳴る
腕前を発揮したくてうずうずしている(be itching to put [show] one’s skills /be burning to try my hand at it)
He said “I’m itching to show my skills against that strong opponent!”
(彼は「対戦相手が強くて、腕が鳴るよ!」と言っていた)
※be itching toは、「 すぐに~したくてたまらない」という熱望を表すイディオム。
腕を磨く
技術を高める(build [hone /cultivate /polish] one’s skills)
She decided to study in the US to build her skills.
(彼女は腕を磨くために、アメリカ留学を決意した)
※技術などを磨き直す場合は、brush up を使いましょう。
あごで使う
他人を思いのままに使う(have someone at one’s beck /lead someone around by the nose)
こき使う(drive someone like a horse)
馬のように(work someone like a slave)
It seems like she has her husband at her beck.
(彼女は旦那さんをあごで使うらしい)
足を引っ張る
邪魔をする(drag down /get in the way of)
Don’t drag me down!
(私の足を引っ張るなよ!)
腰が低い
謙虚(be humble /be very modest)
Although he holds a key post in the company, he is humble to everyone.
(彼は会社の要職にありながら、誰に対しても腰が低い)
尻拭いをする
他人の失敗の後始末をする(make up for somebody’s mistake [ failure, error] /clean up someone’s mess)
I don’t like clearing up the mess one of his subordinates had made of his job.
(部下の不始末の尻拭いをするのは嫌いだ)
※この場合のmessは「ゴタゴタ」「面倒」「混乱」などの意味。
手を打つ
対策を講ずる(take[adopt] measure)
合意する(make a deal with /strike [close] a bargain with)
思い切った手を打つ = adopt drastic measures
問題が小さいうちに手を打つ = get a handle on a problem when it’s small
巧妙な手を打つ = make a clever move
That politician should get a handle on a problem while it’s small.
(あの政治家は、問題が小さいうちに手を打つべきだ)
手を抜く
いい加減にすます(cut corners /not really try /get lazy about)
ずさんな仕事をする(do a sloppy job)
仕事で手を抜く(ease up on the job/skimp [scamp] one’s work)
Your work is sloppy.
(仕事が雑だ )
※cut cornersには「工程を省く」「近道をする」「節約をする」など無駄を省くという意味があり、sloppyは「ずさんな」「ぞんざいな」という意味。
英語にもあった!身体の部分使った慣用句の英語表現
日本語の慣用句と意味が同じでも、英語では表現方法が少し異なるものもあります。「頭を使う」は英語でUse your brain [head]と言い、頭(head)の他に、脳(brain)も使用。また、意味が同じでも、使用される身体の部位が異なる慣用句もあります。
足を洗う
wash one’s hands of something [someone]
日本語では「足」ですが、英語では「手」が使われ、「手を引く」という意味になります。
He washed his hands of gambling.
(彼はギャンブルから足を洗った(手を引いた))
頭数を数える
count noses
日本語が「頭」で数えるのに対し、英語では「鼻」で数えています。
Please count noses to make sure everyone is here.
(全員がここにいるかどうか頭数を数えてください)
口が軽い
have a loose tongue [be loose tongued]
日本語では「口」、英語では「舌」で例えています。
She is extremely loose tongued!
(彼女は本当に口が軽いんだよ!)
頭をよぎる
cross someone’s mind
日本語では「頭」、英語では「心」で表現。理論的に物事を理解するのが頭で、感情的に物事を理解するのが心であるとすれば、日本人は何らかの考えや懸念を理論的に受け止め、英語圏の人は感情的に受け止めるのかもしれませんね。
What she said suddenly crossed my mind.
(彼女の言葉がふと頭をよぎった)
腕を試す
try one’s hand at
日本語では「腕」、英語では「手」。どちらも技量を意味しているので、発想は同じなのかもしれません。
I would like to try my hand at something new.
(腕を試すため何か新しいことをやってみたい)
「置き換え」を身につけて英語の表現の幅を広げよう
日本語の慣用句から、それぞれの英語表現を探ってみました。頭に浮かんだ日本語の慣用句の意味を置き換えれば、表現の幅は広がります。
また、慣用句にとどまらず、何事においても意味の置き換えを身につければ、表現の幅はさらに広がるでしょう。表現の幅が広がれば会話もはずみ、英語学習がますます面白くなるはずです。表現の違いから、文化の違いなども発見できるかもしれませんね。
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